
地元で使う量より多くの太陽光の電気を送り出している市区町村が、全国に63あります
自治体で再生可能エネルギーの導入計画を担当していると、地域にどれだけ太陽光が入ったかは設備容量(kW)の積み上げで把握することになります。ただ、その設備が実際に送り出している電気の量が、地域で使っている電気に対してどれくらいなのかは、容量からは分かりません。
資源エネルギー庁の電力調査統計には、2022年度から市区町村別の統計表が2つ加わっています。ひとつは市区町村ごとに小売電気事業者が供給した需要電力量、もうひとつは市区町村ごとに発電設備から系統へ流れ出た電力量(逆潮流量)を電源別に分けたものです。どちらも月ごと、単位はMWh(1,000kWh)でそろっているので、そのまま並べて割れます。
送り出した電気と、使った電気を並べる
この記事で使うのは次の2つのテーブルです。
| テーブル | 収録内容 |
|---|---|
power_demand_by_municipality |
市町村別需要電力量。特別高圧・高圧をまとめた列(extra_high_and_high_demand_mwh)、低圧(low_demand_mwh)、合計(total_demand_mwh) |
reverse_power_flow_by_municipality |
市町村別逆潮流量。水力・火力・原子力・風力・地熱・太陽光・バイオマス・蓄電池・その他の電源別(太陽光は solar_mwh) |
どちらも市区町村×月の1行で、政令指定都市は市単位、東京都の特別区は区単位です。需要電力量の表に載っている1,746市区町村について、太陽光の逆潮流量(solar_mwh)を、同じ市区町村の需要電力量の合計(total_demand_mwh)で割った比率を見ます。
逆潮流量が数えているのは系統に流れ込んだ電気だけで、屋根の上で発電してその場で使った分は入りません。需要電力量のほうも小売電気事業者が供給した量なので、自家消費は同じように外れています。この比率は、地域で発電された電気の総量ではなく、系統を通って出入りした電気どうしの比較です。
2024年度でこの比率を計算し、高いほうから20市区町村を並べたのが次の図です。破線が100%、つまり送り出した太陽光の電気と、その市区町村に供給された電気がちょうど同じ量になる線です。
最も高いのは岩手県軽米町の472.2%です。町に供給された電気の4.7倍にあたる量の太陽光の電気が、町内の設備から系統へ流れ出ています。上位20には福島県の富岡町(432.6%)・川内村(366.1%)・浪江町(365.7%)・鮫川村(317.1%)・飯舘村(242.5%)・小野町(193.6%)と、同じ県から6つが入っています。
比率の高さは、送り出している電気の量が多いことを意味しません。上位20の太陽光逆潮流量は群馬県神流町の21,154MWhから岡山県美作市の439,691MWhまで20倍以上の幅があり、比率が上がるのは分母である需要が小さいときも同じだからです。人口の少ない町村に大きな発電設備が1つ入るだけで、比率は跳ね上がります。
需要の0.66%の地域から、太陽光の8.8%が出ている
2024年度に比率が100%を超えたのは63市区町村です。この63市区町村に供給された電気は全国の0.66%にすぎませんが、系統に流れ込んだ太陽光の電気の8.8%はここから出ています。1,746市区町村を合計すると、太陽光の逆潮流量は92.5TWh、需要電力量は831.0TWhで、比率は11.1%です。
収録されているのは2022年度からの3年度分で、100%を超えた市区町村は56(2022年度)・58(2023年度)・63(2024年度)と増えました。50%を超えた市区町村は148・174・183で、全国の比率も9.9%・11.0%・11.1%と上がっています。3年で急変する数字ではありませんが、向きははっきりしています。
同じ比率を都道府県単位で計算すると、地域の偏りが見えます。
高いのは鹿児島県(31.2%)・福島県(30.0%)・宮崎県(29.2%)・茨城県(28.1%)・栃木県(27.6%)です。低いのは東京都(0.7%)・神奈川県(1.9%)・大阪府(2.2%)で、上位と下位では40倍以上の開きがあります。都市部は需要そのものが大きく、まとまった設置場所も限られるため、この比率は低く出ると考えられます。
余るのは春と初夏で、1月には足りなくなる
年度で合計すると需要の2倍・3倍という数字になりますが、電気は発電したそばから使われるものなので、月ごとに見ないと需給の関係は分かりません。100%を超えた63市区町村を合計して、月別の比率を全国と並べたのが次の図です。水準が10倍以上違うので縦軸は対数目盛にしてあります。線の傾きが同じなら、増え方・減り方も同じです。破線は先ほどと同じ100%の線です。
63市区町村の合計は5月に212.0%、6月に211.8%と需要の2倍を超え、そこから下がって1月には97.3%になります。年度を通せば需要を上回っている地域でも、1月だけは合計しても足りません。全国の系列も形は同じで、6月の15.9%が最も高く、1月の7.5%が最も低くなります。
この上下は日射の強さだけでは説明できません。63市区町村が送り出した太陽光の電気は5月に829,742MWh、8月に834,936MWhとほとんど変わらないのに、比率は212.0%から165.0%まで下がります。分母である需要が5月の391,419MWhから8月の506,079MWhへと3割ほど増えるためです。冷暖房で需要が膨らむ夏と冬は、発電が同じでも比率が押し下げられます。逆に、冷暖房のいらない5月・6月に、送り出す電気と使う電気の差が最も開きます。
業務でどう使うか
- 蓄電池や電気を使う設備の設置場所を検討するとき、年間の比率だけでなく月別の振れ幅で候補地を絞り込めます。年間の比率が同じでも、5月・6月に2倍を超えて1月には100%を割る地域は、時間や季節をずらして使う仕組みの効き目が大きくなります
- 地域新電力や再エネの地産地消の計画で、「地域の需要のうちどれだけを地域の太陽光で賄えているか」の出発点となる数字を、推計ではなく公表統計から置けます。同じ表から月別も出せるので、年間の数字だけでは見えない冬の不足まで示せます
- 2022年度からの3年度分が同じ定義でそろっているので、補助や誘導策を入れた前後で比率がどう動いたかを追えます
データの出典
本記事は経済産業省 資源エネルギー庁の電力調査統計から、市町村別需要電力量(power_demand_by_municipality)と市町村別逆潮流量(reverse_power_flow_by_municipality)を 2026-08-11 時点で集計しています。収録範囲は2022年度から2024年度までの3年度分で、値はいずれも月ごとのMWhです。都道府県の地図は国土交通省の国土数値情報 行政区域データを使っています。
設備容量では見えない「地域の需要に対してどれだけの電気が流れ出ているか」は、需要と発電を同じ地域区分・同じ単位で並べて初めて出せる数字です。こうした分析の土台になるデータを、Queriaは整えた形で公開しています。資源エネルギー庁や国土交通省のオープンデータについて、列名・単位・文字コードを揃え、テーブルやカラムの意味をメタデータとして添えてあります。データを集めて加工する手間をかけずに、本記事で使った市町村別逆潮流量から自分の市区町村の値を確かめたり、市町村別需要電力量と突き合わせたりできます。エネルギー統計の整備に時間を取られず、どこに何を置くかの判断そのものに集中できます。
続きや気になることをAIエージェントで深掘りする
Claude Code や Codex に Queria スキル を入れて、下のプロンプトを貼るだけです。ターミナルでも、スマホやブラウザのリモート画面でも使えます。
たとえば「reverse_power_flow_by_municipality の風力(wind_mwh)とバイオマス(biomass_mwh)についても、市区町村ごとに power_demand_by_municipality の需要電力量と比べて、2024年度に需要を上回った市区町村を出して」といった深掘りができます。
Queria の公開データで次を分析してください: reverse_power_flow_by_municipality の風力(wind_mwh)とバイオマス(biomass_mwh)についても、市区町村ごとに power_demand_by_municipality の需要電力量と比べて、2024年度に需要を上回った市区町村を出して 参考 (この記事): https://queria.io/showcase/solar-surplus-municipalities.md Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。
ターミナル(CLI)で始める
claude "Queria の公開データで次を分析してください: reverse_power_flow_by_municipality の風力(wind_mwh)とバイオマス(biomass_mwh)についても、市区町村ごとに power_demand_by_municipality の需要電力量と比べて、2024年度に需要を上回った市区町村を出して 参考 (この記事): https://queria.io/showcase/solar-surplus-municipalities.md Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。"
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