
送電網につながる蓄電池が3年で11倍——ただし出力の7割は4つの道県に集まっています
自治体の企業誘致や産業振興の窓口に、「蓄電池を置く施設を建てたい」という相談が届くようになっています。工場や住宅に付ける蓄電池ではなく、送電網に直接つないで、電気が余るときにためて足りないときに流す設備です。遊休地を探しているという話とセットで持ち込まれることが多く、受けた側は用地の広さや周辺への影響を判断することになります。
ただ、その案件が全国のなかでどれくらいの規模なのかは、相談を受けた時点では分かりません。比べる相手がないからです。この記事では、資源エネルギー庁の電力調査統計を使い、送電網につながる蓄電池が全国のどこに何か所あり、1か所あたりどれくらいの出力なのかを、都道府県別・月ごとに数えます。
数えているのは「箇所数」と「最大出力」の2つ
電力調査統計は、発電設備を電源の種類ごとに数えた統計です。都道府県ごとに、その電源の発電所が何か所あるか(箇所数)と、それらを合わせた最大出力が何キロワットか(kW)が、月ごとに記録されています。電気をためて流す設備がこの表に並ぶのは、送電網から見れば電気を送り出す側にあるからです。
大きな区分は水力・火力・原子力・新エネルギー等・その他の5つで、蓄電池は「新エネルギー等」の内訳として風力・太陽光・地熱と並んでいます。次の表の6行のうち、太陽光・風力・蓄電池はこの内訳にあたるので、水力・火力・原子力と足しても都道府県の発電所総数にはなりません。蓄電池の収録は2023年4月分から始まり、それより前の月には欄そのものがありません。
蓄電池は136か所・1,542,161kWです。箇所数では原子力の15か所より多く風力の403か所より少なく、最大出力では太陽光18,718,593kWの12分の1にあたります。ただし、この区分だけは3年前には存在していませんでした。
3年で12か所から136か所へ
蓄電池が収録され始めた2023年4月から2026年4月まで、全国の箇所数と最大出力を月ごとに並べます。左の軸が箇所数、右の軸が最大出力です。
2023年4月は12か所・193,542kWでした。2026年4月には136か所・1,542,161kWで、箇所数は11.3倍、最大出力は約8.0倍になっています。
2本の線は同じようには動きません。2025年8月から10月にかけて、箇所数は40か所から62か所へ22か所増える一方、最大出力は389,190kWから1,064,348kWへ2.7倍に伸びています。この2か月に増えた22か所は、増えた出力675,158kWを割ると1か所あたり30,689kWにあたります。2025年8月時点の1か所あたり平均9,730kWの3.2倍で、それまでとは規模の違う設備が加わったことになります。
出力の7割は4つの道県に
次に、2026年4月時点の最大出力を都道府県別に並べます。棒の中の数字は、その道県にある箇所数です。
上位は鹿児島県400,947kW(7か所)、宮崎県300,295kW(1か所)、宮城県219,232kW(8か所)、北海道167,373kW(7か所)です。この4道県で1,087,847kWとなり、全国の最大出力の70.5%を占めます。一方、箇所数で見ると4道県の合計は23か所で、全国136か所の16.9%にすぎません。
箇所数が同じ道県どうしを並べると、開きがはっきりします。7か所ある3道県は、鹿児島県400,947kW・北海道167,373kW・熊本県12,874kWで、鹿児島県は熊本県の31.1倍です。8か所では宮城県219,232kWと静岡県23,320kWで9.4倍、9か所では福岡県62,781kWと埼玉県17,097kWで3.7倍の差があります。宮崎県にいたっては1か所だけで、9か所ある埼玉県の17.6倍の出力を持っています。
1か所しかない12府県で規模を比べる
蓄電池が1か所だけの府県では、その1か所の最大出力がそのまま記録されています。合算されていないので、設備1つの規模を直接くらべられます。横軸は目盛の幅が一定ではない対数目盛です。
最も大きいのは宮崎県の300,295kW、最も小さいのは山形県の40kWで、その差は7,507倍です。真ん中には、奈良県1,979kW・佐賀県1,988kW・青森県1,998kW・香川県1,999kWと、2,000kWをわずかに下回るところに4県が固まっています。
つまり「蓄電池が1か所できた」という同じ言い方の中に、4桁違う規模の設備が入っています。最も大きい宮崎県の300,295kWは、この統計に載る火力発電所492か所の1か所あたり平均309,844kWに近い出力です。ここでの出力は一度に出せる電力の大きさで、何時間流し続けられるか(蓄えられる電力量)はこの統計には記録されていません。相談を受けた案件が何キロワットなのかを聞かないかぎり、必要な用地も系統の話も見当がつきません。
どこまで広がっているか
最後に、箇所数を地図で見ます。色が濃いほど箇所数の多い都道府県です。
蓄電池が1か所以上あるのは37都道府県です。地図に色が付いていない残り10府県のうち、9府県には2026年4月時点でまだ1か所もありません。残る徳島県は最大出力が1,999kW記録されている一方で箇所数が0のままなので、箇所数を数えた37都道府県には入っていません。
色の濃い都道府県は、北海道から九州まで散らばっています。宮城県・鹿児島県・北海道のように箇所数も最大出力も上位に来る道県がある一方、福岡県・埼玉県・静岡県・熊本県は箇所数では上位に来ながら、最大出力は12,874kWから62,781kWにとどまります。数が増えている地域と、大きな設備が入っている地域は、部分的にしか重なりません。
業務でどう使うか
- 立地の相談を受けたとき、その案件の最大出力を全国の分布の中に位置づけられます。1か所しかない12府県のうち5県は2,000kWに満たず、5府県が3,994kWから12,000kWの間、残る2県が48,000kW以上です。数万kW規模の相談は、全国でも数えるほどしかない型にあたります
- 自分の自治体が属する県と近隣の県について、箇所数と最大出力を同じ集計で並べられます。同じ箇所数でも出力が10倍以上違うことがあるので、近隣の状況は箇所数だけでなく出力とあわせて見る必要があります
- 月ごとに記録されているので、庁内の説明資料を更新するときに同じクエリを回し直すだけで最新の数字に差し替えられます
データの出典
本記事は資源エネルギー庁の電力調査統計の都道府県別・電源種別の発電所数と最大出力を、2026年9月1日時点で集計しています。対象は蓄電池の収録が始まった2023年4月分から2026年4月分までで、数値は各月時点の記録です。
送電網につながる蓄電池は、まだ全国のどこにでもある設備ではありません。9府県には1か所もなく、出力の7割は4つの道県に寄っています。この形は、国が公表する電源種別の月次の集計を、3年分・47都道府県分そろえて初めて見えてきます。こうした集計の土台になるデータを、Queriaは整えた形で公開しています。電源種別ごとの箇所数と最大出力を扱いやすい列にそろえ、都道府県の境界データと組み合わせられる形にして、テーブルやカラムの意味をメタデータとして添えてあります。本記事で使った都道府県別の発電所数・最大出力テーブルから、自分の自治体が属する県の推移を確かめたり、近隣の県と並べたりできます。統計の加工に時間を取られず、立地相談への向き合い方そのものを考えることに集中できます。
続きや気になることをAIエージェントで深掘りする
Claude Code や Codex に Queria スキル を入れて、下のプロンプトを貼るだけです。ターミナルでも、スマホやブラウザのリモート画面でも使えます。
たとえば「自分の県と隣接する県について、蓄電池の箇所数と最大出力を2023年4月から月ごとに並べて。1か所あたりの平均出力も出して」といった深掘りができます。
Queria の公開データで次を分析してください: 自分の県と隣接する県について、蓄電池の箇所数と最大出力を2023年4月から月ごとに並べて。1か所あたりの平均出力も出して 参考 (この記事): https://queria.io/showcase/grid-storage-battery-sites.md Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。
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claude "Queria の公開データで次を分析してください: 自分の県と隣接する県について、蓄電池の箇所数と最大出力を2023年4月から月ごとに並べて。1か所あたりの平均出力も出して 参考 (この記事): https://queria.io/showcase/grid-storage-battery-sites.md Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。"
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