
谷や斜面を埋めて造った宅地に住む人は推計391万人。住民の2割を超える市町村が17ある
市区町村で宅地の防災を担当していると、大規模盛土造成地の調査をどこから進めるかを決める場面があります。国土交通省は、盛土の位置を示すマップの公表に続いて、地盤調査で安定性を確かめる段階では優先度の高い盛土から手を付ける進め方を示しています。そのときに知っておきたいのが、盛土の上にいま何人が住み、その街がこれからどうなるかです。盛土造成地は山あいの話と思われがちですが、人の数で数えると、大都市の郊外の住宅地に集まっています。
盛土の上に住む人は、大都市圏の県に集まっている
この記事では、国土交通省の国土数値情報から2つのデータを重ねます。
| テーブル | 内容 |
|---|---|
nlftp.hazard.large_fill_area |
大規模盛土造成地。谷や沢を埋めた盛土(谷埋め型)と、傾斜地に土を盛った盛土(腹付け型)のうち、一定の規模を超える造成地のポリゴン |
nlftp.population.future_population_mesh_500m |
500mメッシュ別将来推計人口。500m四方の区画ごとの2025年・2050年の人口(population_*)と65歳以上の割合(elderly_ratio_*) |
盛土造成地のポリゴンは全国で52,530あり、盛土の区分(fill_type)は次の3つです。
盛土造成地のマップは盛土のある場所と規模を示すもので、地震のときに危ない場所を示すものではありません。ここで数えるのは、調査や説明の対象になりうる人の規模です。
人数は、500m四方の区画ごとに、区画の面積のうち盛土造成地が占める割合でその区画の人口を按分して合計しています。区画の中では人が均等に住んでいると仮定した推計なので、盛土の上に住宅が密集していて周りが山林の区画では、実際より少なく出ます。2025年の人口も、2020年の国勢調査をもとにした推計値です。
全国で盛土の上に住む人は、2025年に推計約391万人で、全人口の3.2%にあたります。都道府県別に並べると、神奈川県が約92.6万人と飛び抜けていて、大阪府・愛知県・千葉県・福岡県・兵庫県・東京都が続きます。神奈川県と奈良県では、県民の1割を超える人が盛土の上に住んでいます。
市区町村別では、横浜市だけで推計約62.9万人が盛土の上に住んでいます。横浜市民の16.5%にあたり、全国の盛土の上に住む人の16.1%を1つの市が占めます。
住民の2割以上が盛土の上に住む市町村は17ある
人数ではなく、住民に占める割合で並べ直すと、顔ぶれは大きな市から郊外の町や市に移ります。次の図は、住民に占める盛土の上の推計人口の割合が高い20の市区町村です。福島県の浜通りなどの市町村は、将来推計人口が複数の市町村をまとめた区画で作られているため、この比較には入っていません。
奈良県三郷町では住民の37.1%、上牧町では34.4%が盛土の上に住んでいます。人数の多い市では、東京都多摩市が27.9%(約4.1万人)、神奈川県横須賀市が27.2%(約10.0万人)です。住民の2割以上が盛土の上に住む市区町村は全国に17あり、そのうち10は奈良県・大阪府・兵庫県の市町村です。
市によっては、盛土の上の街が市全体の2倍の速さで人が減る
盛土の上に住む人が1万人以上いる77の市区町村について、2025年から2050年までの人口の増減率を、盛土の上と市区町村全体で比べます。点が斜めの線より下にあれば、盛土の上のほうが速く減ります。
77のうち48の市区町村で、盛土の上のほうが市区町村全体より速く人が減ります。ただし多くの市では差が数ポイントにとどまり、盛土の上が5ポイントを超えて速く減るのは11、逆に5ポイントを超えて遅いのは4です。全国でまとめても盛土の上は14.0%減、全人口は15.1%減とほぼ同じです。差が大きい10市は次のとおりです。
大阪府堺市では盛土の上の人口が34.1%減り、市全体の17.8%減のほぼ2倍の速さです。愛知県春日井市(23.2%減と10.8%減)、札幌市(22.8%減と11.4%減)も、盛土の上が市全体の約2倍の割合で減ります。この10市はいずれも、2025年の時点で盛土の上の65歳以上の割合が市全体より高く、春日井市では37.2%と26.5%で10ポイント以上違います。77の市区町村全体でも、盛土の上のほうが65歳以上の割合が高いのは50です。一方で、千葉県成田市(5.6%増と4.9%減)や沖縄県沖縄市(6.0%増と0.5%減)のように、盛土の上で人が増える市もあります。
調査や対策の工事には住民への説明や合意が要ります。上の10市のように盛土の上で高齢化と人口減少が市全体より先に進む市では、地盤の条件で決まる優先度が同じ盛土どうしなら、そうした地区を先に進めるという考え方もできます。
業務での活用
- 自分の市区町村で、盛土の上に住む人の数と住民に占める割合を確かめる。調査の予算を議会や住民に説明するとき、何か所あるかに加えて、何人に関わる話なのかを示せます
- 自分の市区町村で、盛土の上の人口の2050年までの増減と65歳以上の割合を、市全体と比べる。盛土の上で人口減少と高齢化が先に進む市なのか、逆に人が増える市なのかが分かり、第二次スクリーニングの進め方を考える前提になります
- 隣り合う市区町村と割合を比べる。住民の2割以上が盛土の上に住む市町村は同じ府県の中に並んでいることが多いので、近隣の自治体と調査の進め方や住民への説明の仕方を共有する相手を見つけられます
データの出典
本記事は国土交通省の国土数値情報から、大規模盛土造成地データと500mメッシュ別将来推計人口データ(R6国政局推計)を、2026年10月22日時点で集計しています。将来推計人口は総務省「令和2年国勢調査」と国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」に基づく推計値で、盛土の調査と対策の進め方は国土交通省の大規模盛土造成地の滑動崩落対策にまとめられています。
盛土造成地のマップは市区町村ごとに公表されていて、人口と重ねて地域どうしを比べるには、空間データを扱う手間がかかります。Queriaはこうした国土数値情報を、列名と座標系をそろえ、各列の意味をメタデータとして添えた形で公開しています。本記事で使った大規模盛土造成地のテーブルと500mメッシュの将来推計人口のテーブルから、自分の市区町村の盛土の上に住む人の規模とその将来を確かめられます。データを集めて重ね合わせる作業に時間を取られず、どの盛土から調査を進めるかという判断そのものに集中できます。
続きや気になることをAIエージェントで深掘りする
Claude Code や Codex に Queria スキル を入れて、下のプロンプトを貼るだけです。ターミナルでも、スマホやブラウザのリモート画面でも使えます。
たとえば「盛土の区分(fill_type)が谷埋め型の盛土造成地だけに絞って、市区町村ごとに2025年の盛土の上の推計人口と、住民に占める割合を出して。腹付け型を含めたときと上位20の顔ぶれが変わるかも比べて」といった深掘りができます。
Queria の公開データで次を分析してください: 盛土の区分(fill_type)が谷埋め型の盛土造成地だけに絞って、市区町村ごとに2025年の盛土の上の推計人口と、住民に占める割合を出して。腹付け型を含めたときと上位20の顔ぶれが変わるかも比べて 参考 (この記事): https://queria.io/showcase/fill-land-residents.md Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。
ターミナル(CLI)で始める
claude "Queria の公開データで次を分析してください: 盛土の区分(fill_type)が谷埋め型の盛土造成地だけに絞って、市区町村ごとに2025年の盛土の上の推計人口と、住民に占める割合を出して。腹付け型を含めたときと上位20の顔ぶれが変わるかも比べて 参考 (この記事): https://queria.io/showcase/fill-land-residents.md Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。"
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