
有料老人ホームの定員が特養を上回る県は、10年で14から36に。75歳以上あたりで多いのは沖縄・大分・宮崎
有料老人ホームの新しい開設先を探すとき、最初に確かめるのはその地域にどれだけ高齢者がいて、すでにどれだけ受け皿があるかです。受け皿の代表として思い浮かぶのは特別養護老人ホーム(特養)で、有料老人ホームはそれを補う民間の選択肢で、数が多いのは都市部。そう考えている人は多いのではないでしょうか。
この記事では、有料老人ホームと特養の定員を都道府県ごとに2014年から2024年まで並べ、75歳以上の人口と突き合わせます。どの県で、いつ、受け皿の中心が入れ替わったのかを見ていきます。
有料老人ホームのほうが多い県は、10年で14から36に
有料老人ホームの定員は厚生労働省の社会福祉施設等調査、特養の定員は同じく介護サービス施設・事業所調査から取っています。どちらも毎年10月1日現在の数字で、別々の調査です。Queria ではそれぞれ次のテーブルに収録しています。
| テーブル | 使う区分 | 内容 |
|---|---|---|
welfare_facility.facility_statistics |
有料老人ホーム(サービス付き高齢者向け住宅以外)、有料老人ホーム(サービス付き高齢者向け住宅であるもの) | 2つを足して有料老人ホームの定員とする |
kaigo_service.insurance_facility |
介護老人福祉施設 | 定員30人以上の特養の定員 |
どちらも、全施設から届く基本票の定員(measure = 'capacity'、survey_form = '基本票')を使っています。有料老人ホームの定員には、介護職員が常駐する介護付きと、外部の介護サービスを使う住宅型の両方が入っていて、このデータでは分けられません。サービス付き高齢者向け住宅は、食事の提供などで有料老人ホームに当たるものだけが含まれます。
特養の側は、定員29人以下の地域密着型の特養を含みません。地域密着型を足すと特養の定員は増えるので、次の図の県の数は、有料老人ホームと特養の差が小さい県の分だけ多めに出ている可能性があります。逆の向きの注意もあり、有料老人ホームのうちサービス付き高齢者向け住宅であるもの(2024年は全国で222,874人分)を除くと、有料老人ホームが上回る県は2014年の10から2024年の21になります。県の数そのものはどこまでを有料老人ホームと数えるかで動きますが、10年で2倍以上に増えた向きはどちらで数えても変わりません。
有料老人ホームの定員が特養より多い都道府県は、2014年の14から2024年の36へ、10年で一度も減らずに増えました。2024年に新しく加わったのは京都府で、有料老人ホーム12,630人分に対して特養12,558人分と、ほぼ同じ数です。京都府のように差が小さい県は、地域密着型の特養を含めると判定が入れ替わりえます。
特養のほうが多いまま残っているのは、新潟県・福井県・秋田県・福島県・滋賀県・茨城県・山形県・山梨県・岩手県・長野県・高知県の11県です。高知県は有料老人ホーム4,198人分に対して特養4,209人分で、差は11人分しかありません。
75歳以上が増えた分を受け止めたのは有料老人ホームだった
施設に入る人の多くは75歳以上なので、総務省統計局の社会・人口統計体系から都道府県別の75歳以上人口(A1419)を取り、その1,000人あたりの定員に直しました。75歳以上人口は2015年と2020年が国勢調査、それ以外の年は推計人口で、2020年に国勢調査で人口を数え直した分だけ、図の2019年から2020年に段差があります。
全国の有料老人ホームの定員は、2014年の475,284人分から2024年の939,033人分へ、10年で2.0倍になりました。特養は498,327人分から604,469人分で1.2倍です。全国の合計では2015年に有料老人ホームが特養を上回りました。
75歳以上の人口はこの10年で1,592万人から2,078万人に増えています。その1,000人あたりで見ると、特養は31.3人分から29.1人分へ下がり、有料老人ホームは29.9人分から45.2人分へ上がりました。都道府県別でも、75歳以上あたりの有料老人ホームの定員は47都道府県すべてで増え、特養は39都道府県で減っています。高齢者が増えた分の受け皿は、主に有料老人ホームが広げてきたことになります。ここでの定員は入居できる枠の数で、入居している人の数ではありません。
最も多いのは都市部ではなく、沖縄県・大分県・宮崎県
都道府県ごとに、2024年の75歳以上1,000人あたりの定員を並べます。紫が有料老人ホーム、灰色が特養で、有料老人ホームの多い順です。
有料老人ホームの定員が75歳以上1,000人あたりで最も多いのは沖縄県の76.1人分で、大分県73.8人分、宮崎県72.6人分が続きます。大阪府(66.3人分)と福岡県(65.2人分)がその次に来るので都市部も多い側にいますが、東京都は45.7人分の15位です。最も少ないのは山梨県と福井県の21.7人分で、沖縄県とは3.5倍の開きがあります。
特養のほうは、最も多い新潟県の40.4人分から最も少ない大分県の22.8人分まで、開きは1.8倍に収まっています。大分県は有料老人ホームの定員が特養の3.2倍あり、特養が少ない県で有料老人ホームが多い組み合わせになっています。反対に、75歳以上あたりの特養が最も多い新潟県(40.4人分)と2番目の福島県(40.1人分)は、有料老人ホームが少ないほうから3番目と6番目です。47都道府県で両者の相関係数を取ると-0.42で、特養の多い県ほど有料老人ホームが少ない傾向があります。有料老人ホームの多さは、都市か地方かだけでは決まらず、その県で特養がどれだけ整備されてきたかとも結びついていると考えられます。
開設エリアを検討するときの使い方
- 候補の県の75歳以上1,000人あたりの有料老人ホーム定員を、2024年の都道府県の中央値(37.6人分)と比べます。中央値を大きく上回る県では、すでにある有料老人ホームと入居者を分け合うことを前提に、自社の入居実績から需要を確かめる必要があります。下回る県では、特養と合わせた受け皿全体が75歳以上1,000人あたり何人分あるかを先に見ます
- 供給がこの10年で急に増えた県は、伸びの倍率で分かります。75歳以上あたりの有料老人ホームの定員が最も伸びたのは富山県で、8.5人分から29.1人分へ3.45倍になりました。岐阜県が2.88倍、徳島県が2.67倍で続き、3県とも2014年には75歳以上1,000人あたり15人分に届いていませんでした。3県とも2024年の値は中央値以下ですが、この10年で競合の開設が続いてきた県です
- 介護付きと住宅型の内訳や入居率はこのデータに無いので、自社の入居実績や自治体の介護保険事業計画と合わせて読みます
データの出典
本記事は厚生労働省の社会福祉施設等調査・介護サービス施設・事業所調査と、総務省統計局の社会・人口統計体系の都道府県別データを、2026-10-03 時点で集計しています。施設の定員はいずれも各年10月1日現在の値です。
有料老人ホームと特養の定員は別々の調査に入っていて、県ごとの入れ替わりは2つを並べて初めて見えます。Queriaはこの2つの調査と人口統計を、列名・単位をそろえ、テーブルや列の意味をメタデータとして添えて公開しています。本記事で使った社会福祉施設等調査のテーブルと介護保険施設のテーブルから、開設を考えている県の定員の推移を確かめたり、市区町村まで下りて特養の配置を見たりできます。統計を集めて突き合わせる手間をかけずに、どこに開くかの判断に時間を使えます。
続きや気になることをAIエージェントで深掘りする
Claude Code や Codex に Queria スキル を入れて、下のプロンプトを貼るだけです。ターミナルでも、スマホやブラウザのリモート画面でも使えます。
たとえば「e_stat.welfare_facility.facility_statistics の有料老人ホームと e_stat.kaigo_service.insurance_facility の介護老人福祉施設の定員を、自分の県と隣接県について2014年から2024年まで並べて出して。75歳以上人口(e_stat.ssds.a_pref_population の A1419)あたりでも比べたい」といった深掘りができます。
Queria の公開データで次を分析してください: e_stat.welfare_facility.facility_statistics の有料老人ホームと e_stat.kaigo_service.insurance_facility の介護老人福祉施設の定員を、自分の県と隣接県について2014年から2024年まで並べて出して。75歳以上人口(e_stat.ssds.a_pref_population の A1419)あたりでも比べたい 参考 (この記事): https://queria.io/showcase/private-nursing-home-overtakes-tokuyo.md Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。
ターミナル(CLI)で始める
claude "Queria の公開データで次を分析してください: e_stat.welfare_facility.facility_statistics の有料老人ホームと e_stat.kaigo_service.insurance_facility の介護老人福祉施設の定員を、自分の県と隣接県について2014年から2024年まで並べて出して。75歳以上人口(e_stat.ssds.a_pref_population の A1419)あたりでも比べたい 参考 (この記事): https://queria.io/showcase/private-nursing-home-overtakes-tokuyo.md Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。"
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