
首都圏と京阪神の外で、私立中学に入る子の割合は25年で1.5倍になった
学習塾が中学受験のコースをどの教室に置くかを決めるとき、まず思い浮かぶのは首都圏と京阪神です。それ以外の地域では子どもの数が減り続けているので、私立中学に進む子も同じように減っていると考えるのが自然です。
学校基本調査の学年別の生徒数を2000年から2025年まで並べると、そうはなっていません。東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県と京都府・大阪府・兵庫県・奈良県の8都府県を除く39道府県では、中学1年生が833,781人から586,343人へ29.7%減りました。同じ25年で、私立中学校の1年生は22,713人から26,378人の間で推移し、1年生に占める私立の割合は2.72%から4.07%へ1.5倍になっています。
全国では、中学1年生が23.2%減り、私立中学の1年生は8.6%増えた
使うのは文部科学省の学校基本調査の、都道府県別・設置者別・学年別の在学者数です。毎年5月1日現在の人数で、設置者は国立・公立・私立の3つに分かれます。ここでは中学校の1年生を、設置者の計(国公私立の合計)と私立で比べます。中等教育学校の前期課程と義務教育学校の7〜9年生はこの数に入りません。公立の中高一貫校のうち中学校として設置されたものは公立に入るので、ここでいう私立中学の1年生は「中学受験をした子」全体ではなく、私立の中学校に入った子の数です。
全国の値を2000年を100とした指数で並べます。
全国の中学1年生は2000年の1,325,930人から2025年の1,018,443人へ23.2%減りました。私立中学校の1年生は77,620人から84,267人へ8.6%増え、1年生に占める割合は5.85%から8.27%になっています。私立の1年生は2007年の88,642人がこの期間の最多で、その後2017年の79,648人まで減ってから、ふたたび増えています。
首都圏と京阪神の外でも、私立の割合は1.5倍になった
学校基本調査は生徒を学校の所在地で数えます。県境をまたいで私立中学に通う子は通学先の県に数えられるので、県ごとの値は「その県に住む子のうち私立に通う割合」になりません。そこで、通学で行き来の多い東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県を首都圏の4都県、京都府・大阪府・兵庫県・奈良県を京阪神の4府県としてまとめ、残りの39道府県と分けて比べます。
3つの区分とも、私立の割合は2000年より2025年のほうが高くなっています。首都圏の4都県は12.58%から15.46%、京阪神の4府県は8.77%から11.08%、その他の39道府県は2.72%から4.07%です。その他の39道府県の上がり方は2018年の3.97%までがほとんどで、2018年以降は3.97%から4.09%の間で横ばいです。
その他の39道府県の私立の1年生は、2007年の26,378人がこの期間の最多です。2025年の23,853人は2000年より5.0%多く、2007年より9.6%少ないので、人数が増えたか減ったかはどの年と比べるかで変わります。2007年と比べても、2007年から2025年に39道府県の中学1年生は744,422人から586,343人へ21.2%減り、私立の1年生の減り方(9.6%)より大きくなっています。一方で直近の2年は逆で、2023年から2025年に私立の1年生は24,935人から23,853人へ4.3%減り、中学1年生全体の609,773人から586,343人への3.8%減を上回りました。
39道府県のうち24で、2000年より私立の1年生が多い
その他の39道府県を1つずつ見ると、2000年より2025年のほうが私立中学の1年生が多いのは24道府県、少ないのは15県です。青が増えた道府県、灰色が減った県です。
増えた人数が多いのは愛知県(+380人)、宮崎県(+320人)、静岡県(+302人)、群馬県(+261人)、長野県(+249人)です。倍率で見ると、石川県は56人から243人へ4.3倍、長野県は106人から355人へ3.3倍、島根県は38人から99人へ2.6倍、群馬県は213人から474人へ2.2倍になりました。青森県は2000年に私立中学の1年生がいませんでしたが、2025年は193人です。減ったのは三重県(−466人)、高知県(−299人)、広島県(−255人)、福岡県(−194人)などで、山形県と秋田県は2025年の私立中学の1年生が0人です。
県単位の人数は年ごとになだらかに動くとは限りません。滋賀県は2006年の326人から2007年に527人へ、石川県は2021年の146人から2022年に271人へ、1年で大きく増えました。2007年は全国の中学1年生も前年の1,187,620人から1,226,760人へ3.3%増えた年ですが、滋賀県の増え方(62%)はそれを大きく上回ります。私立中学が少ない県では、1校の新設や定員の変更が県の人数の段差として出ると考えられます。
年収の順位が40位台でも、私立の割合が上位に入る県がある
2025年の私立中学の1年生の割合を、同じ都道府県の働く人の年収と並べます。年収は厚生労働省の賃金構造基本統計調査の一般労働者(短時間労働者以外の常用労働者)の値で、6月分のきまって支給する現金給与額を12倍し、前年1年間の賞与その他特別給与額を足して推計しました。この年収は事業所の所在地で数えた働く人の平均で、世帯の収入ではありません。東京都で働いて神奈川県・埼玉県・千葉県に住む人の給料は東京都の側に入ります。私立の割合のほうも学校の所在地で数えた値なので、ここでの県ごとの比較は、県境をまたぐ通勤・通学の多い都府県ほど粗くなります。
47都道府県の相関係数は0.59で、全体としては年収の高い都府県ほど私立の割合が高い傾向があります。ただし東京都を除くと0.37、首都圏と京阪神の8都府県を除いた39道府県だけでは0.08です。首都圏と京阪神の外では、年収の水準から私立の割合はほとんど読み取れません。
私立の割合が最も高いのは東京都の27.32%で、推計年収も678万円で1位です。2位の高知県は18.67%ですが、推計年収は431万円で47都道府県の40位です。11位の宮崎県(6.89%)は推計年収が45位でした。逆に、推計年収が3位の愛知県は私立の割合が5.05%で、17位です。
教室計画での使い方
- 担当エリアの県の私立中学の1年生の数を2000年から毎年並べると、子どもの数とは別の動きをしているかが分かります。その他の39道府県の私立の割合は2018年まで上がり、その後は4%前後で横ばいなので、これからの教室計画では直近の数年の人数を見ます
- 生徒は学校の所在地で数えられているので、県境をまたいで通学する地域では、近隣の都府県と合わせて見ます。首都圏や京阪神では、県ごとの割合よりもまとめた区分の人数のほうが市場の大きさに近くなります
- 人数が1年で大きく増えた年は、私立中学の新設や定員の変更があった年である可能性があります。その年の学校の動きと照らし合わせると、需要の変化と供給の変化を分けて読めます
- 高知県や宮崎県のように、年収の順位が40位台でも私立の割合が上位15位に入る県があります。候補地を年収で絞る前に、その県の私立中学の1年生の数を確かめます
データの出典
本記事は文部科学省の学校基本調査の都道府県別・設置者別・学年別の中学校生徒数(2000〜2025年、各年5月1日現在)と、厚生労働省の賃金構造基本統計調査の都道府県別の一般労働者の賃金(2025年調査)を、2026年10月6日時点で集計しています。
子どもの数が減るなかで私立中学に入る子がどこで増え、どこで減ったのかは、県ごとの年次の表を1年ずつ見ているだけでは分かりません。Queriaは、学校基本調査や賃金構造基本統計調査をはじめとする官公庁のオープンデータを、列名・単位・文字コードを揃え、テーブルやカラムの意味をメタデータとして添えた形で公開しています。本記事で使った学年別の児童生徒数テーブルと都道府県別の賃金テーブルから、担当エリアの私立中学の1年生の推移を2000年から確かめられます。データを集めて表をつなぐ手間をかけずに、どの教室に中学受験のコースを置くかの判断そのものに集中できます。
続きや気になることをAIエージェントで深掘りする
Claude Code や Codex に Queria スキル を入れて、下のプロンプトを貼るだけです。ターミナルでも、スマホやブラウザのリモート画面でも使えます。
たとえば「長野県・群馬県・宮崎県について、私立中学校の1年生の数と中学1年生全体の数を2000〜2025年で毎年出して。前の年の小学6年生の数と比べて、私立中学に入った割合はどう動いた?」といった深掘りができます。
Queria の公開データで次を分析してください: 長野県・群馬県・宮崎県について、私立中学校の1年生の数と中学1年生全体の数を2000〜2025年で毎年出して。前の年の小学6年生の数と比べて、私立中学に入った割合はどう動いた? 参考 (この記事): https://queria.io/showcase/private-junior-high-regional-enrollment.md Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。
ターミナル(CLI)で始める
claude "Queria の公開データで次を分析してください: 長野県・群馬県・宮崎県について、私立中学校の1年生の数と中学1年生全体の数を2000〜2025年で毎年出して。前の年の小学6年生の数と比べて、私立中学に入った割合はどう動いた? 参考 (この記事): https://queria.io/showcase/private-junior-high-regional-enrollment.md Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。"
おすすめ記事
関連50cc以下の原付は14年で327万台減りましたが、50cc超125cc以下の原付の増加はその6分の1です。人口あたりで多く残る地域は、50cc超の原付も多い地域でした。
関連1980〜2024年度の市区町村別データで小学校を数え直します。児童数は半減、学校数は4分の3、教員数は1割減。1校あたり児童数は2002年度に下げ止まっていました。
関連国土数値情報の学校データから都道府県別の私立高校比率を比較し、所得とのずれを手がかりに教育サービスの出店候補地の進学志向を読み解きます
関連小中学校の不登校児童生徒数は1991年度からの32年間で約5.2倍に増え、2023年度は34.6万人。都道府県別の不登校率、20年間の変化幅、いじめ認知件数との関係をe-Statのデータで分析します
関連国勢調査の最終学歴データでは2020年に卒業者の14.9%が学歴不詳で、その割合は東京26.9%・山形6.2%と開きます。不詳を除いて集計し直すと、東京と青森の大卒者割合の差は19.7ポイントから30.4ポイントに広がります。
関連津波浸水想定区域と500m四方の将来推計人口を重ねました。28道府県の区域内に住む人は2050年までに17.6%減り、65歳以上は4.6%増えます。