
東京31%、青森12% — 大卒者の割合で見る都道府県の「学歴地図」
2025年度から多子世帯の大学授業料無償化がスタートし、教育の機会均等が改めて議論されています。しかし、そもそも大学を卒業した人の割合は、都道府県によってどのくらい違うのでしょうか。
この記事では、国勢調査をもとにした「社会・人口統計体系」の最終学歴データを使い、大学・大学院卒者の割合(対卒業者総数)を都道府県別に分析します。進学率ではなく「実際に住んでいる人の学歴構成」を見ることで、人材の地域偏在の実態が浮かび上がります。
全国の大卒者割合の推移
まず、全国全体で大学・大学院卒者の割合がどう変化してきたかを確認します。
全国の大卒者割合は、1980年の8.8%から2020年には21.7%へと40年間で約2.5倍に増加しました。特に2010年から2020年にかけての伸び(+4.4ポイント)が大きく、大学進学の大衆化が加速していることがわかります。
都道府県ランキング
では、この大卒者割合を都道府県別に見るとどうなるのでしょうか。2020年国勢調査のデータで上位15と下位15を表示します。
東京都が31.6%で突出し、神奈川県(29.2%)、奈良県(26.3%)が続きます。一方、最も低いのは青森県の11.8%で、東京都の約3分の1です。上位には首都圏・関西圏の都府県が集中し、下位には東北・九州の県が並ぶ構図が鮮明です。奈良県が3位に入っているのは、大阪・京都への通勤圏として大卒者の居住地になっていることが背景にあると考えられます。
40年間の変化 — 格差は縮まったのか
1980年から2020年にかけて、大卒者割合はすべての都道府県で上昇しています。しかし、地域間の格差は縮まったのでしょうか。代表的な都道府県の推移を追います。
すべての地域で割合は上昇していますが、東京都は2010年から2020年にかけて+6.5ポイントと急上昇しています。一方、青森県・秋田県の上昇幅は各期間2〜3ポイント程度にとどまっています。1980年時点では東京都17.5%、青森県3.9%で差は13.6ポイントでしたが、2020年には31.6%対11.8%で19.8ポイントに拡大。大卒者の「集中」は加速しているといえます。
学歴構成の地域差
大卒者が少ない地域では、代わりにどの学歴層が多いのでしょうか。2020年の学歴構成を、大卒割合の上位5県と下位5県で比較します。
下位の県では「高校・旧中」卒の割合が46〜51%と最大のボリュームゾーンを占めています。秋田県では高校卒が50.8%と過半数に達する一方、東京都では大学・大学院卒(31.6%)が高校卒(23.1%)を上回り、最大の学歴層です。この構成の違いは、産業構造や雇用のあり方とも深く結びついていると考えられます。
まとめ
- 全国の大卒者割合は40年間で8.8%から21.7%へと2.5倍に増加した
- 東京都31.6%に対して青森県11.8%と、最大で約2.7倍の地域差がある
- 1980年から2020年にかけて差は13.6ポイントから19.8ポイントに拡大しており、格差は縮まるどころか広がっている
大学進学の大衆化が進むなか、大卒者は都市部に集中する傾向を強めています。これは進学時の地域移動だけでなく、卒業後の就職先が大都市圏に偏在していることの反映でもあります。2025年度から始まった多子世帯の授業料無償化は進学機会の拡大に寄与しますが、「卒業後にどこで働くか」という問題が残る限り、大卒者の地域偏在は簡単には解消されないでしょう。