
人口あたりの50cc原付は、和歌山市と松山市で東京都の5倍以上。125ccまでの原付も同じ地域に多い
2025年4月から、125cc以下で出力を抑えた二輪車を原付免許で運転できる新基準原付の区分が設けられました。50ccの原付に乗っている人が、次に何に乗り換えるかの選択肢が変わる節目です。二輪車の販売店や、メーカーの販売会社で地域ごとの販売計画を立てる人にとっては、いま走っている50ccの原付がどこにどれだけ残っていて、乗り換えの需要がどこで生まれるのかが、仕入れや店づくりを決める前提になります。
この記事では、軽自動車税の課税の基礎になる車両の台数を、全国・都道府県・市区町村の3つの単位で2010年度から2024年度まで並べ、人口あたりの台数と14年間の減り方を比べます。結論を先に書くと、50ccの原付は全国で4割以上減り、50cc超125cc以下の原付の増加はその減少の6分の1にとどまります。人口あたりの残り方は都道府県で10倍違い、50ccが多く残る地域は50cc超の原付も多い地域です。人口30万人を超える和歌山市や松山市でも、人口あたりの50ccは東京都の5倍以上あります。
全国では14年で327万台減った
使うのは e-Stat 社会・人口統計体系の居住分野のテーブル(都道府県別の h_pref_housing、市区町村別の h_municipal_housing)です。元データは総務省の市町村税課税状況等の調で、軽自動車税の賦課期日である各年度の4月1日時点の台数が入っています。原付は排気量などで次の区分に分かれています。
| コード | 内容 |
|---|---|
| H7209 | 原動機付自転車台数(下の区分の合計) |
| H720901 | 原動機付自転車台数(50cc以下) |
| H720902 | 原動機付自転車台数(50cc超90cc以下) |
| H720903 | 原動機付自転車台数(90cc超) |
| H720904 | 原動機付自転車台数(ミニカー) |
| H720905 | 原動機付自転車台数(特定小型、2024年度のみ) |
この記事の主役は50cc以下(H720901)です。比べる相手として、50cc超90cc以下(H720902)と、125cc以下のスクーターなどが入る90cc超(H720903)も並べます。台数は車両を主に置いている場所(主たる定置場)の市区町村で数えられ、課税されない車両も含みます。
50cc以下の原付は2010年度の744万8,862台から2024年度の417万6,785台へ、43.9%減りました。減った台数は327万2,077台です。14年間、毎年減り続けていて、前の年より増えた年はありません。
一方、90cc超の原付は90万218台から169万6,951台へ88.5%増えています。ただし、50cc超の2区分を合わせても増えたのは55万2,647台で、50ccの減少分の6分の1ほどです。50ccから125cc以下のスクーターへの乗り換えだけで、50ccの減少を説明できる大きさではありません。
人口あたりでは、和歌山県が北海道の10倍
台数の多さは人口の多さに引っ張られるので、都道府県ごとに人口100人あたりの台数にします。分母は住民基本台帳の人口(社会・人口統計体系の a_pref_population、A2301)で、台数の時点(2024年4月1日)に最も近い2024年1月1日の値を使います。
全国では人口100人あたり3.34台です。最も多い和歌山県は10.73台で、住民のおよそ9人に1台にあたります。続く愛媛県が8.04台、奈良県が6.84台、高知県が6.81台、京都府が6.70台で、上位10のうち山梨県を除く9つを近畿・中国・四国・九州の府県が占めます。最も少ない北海道は1.07台で、和歌山県とは10倍の開きがあります。下位には北海道のほか富山県(1.40台)、石川県・福井県(ともに1.65台)、秋田県(1.74台)と、北海道・北陸・東北の道県が並び、東京都も1.90台で下から6番目です。
50ccが多い県は、50cc超の原付も多い
では、50ccが少ない県では、その分だけ125cc以下の原付への乗り換えが進んでいるのでしょうか。都道府県ごとに、横軸に人口100人あたりの50ccの台数、縦軸に50cc超の2区分(50cc超90cc以下と90cc超で、いずれも125cc以下)を合わせた人口100人あたりの台数をとります。点にカーソルを合わせると、50ccの2010年度からの増減率も表示されます。
点は右上がりに並びます。50cc超が多いのは京都府(3.45台)・和歌山県(3.18台)・沖縄県(3.11台)・愛媛県(3.00台)で、いずれも50ccも多い府県です。少ないのは北海道(0.57台)、秋田県・石川県・福井県(いずれも0.66台)で、50ccも少ない道県です。2024年度の時点で、50ccが少ない県ほど125cc以下の原付が多い、という形にはなっていません。原付がふだんの足として使われる地域では排気量を問わず台数が多く、そうでない地域ではどちらも少ない、という分かれ方です。
減り方にも地域差があります。50ccが多く残る和歌山県(−37.6%)・愛媛県(−37.1%)・沖縄県(−30.9%)は全国(−43.9%)より緩く、秋田県(−57.2%)・島根県(−58.5%)・青森県(−55.7%)は半分以上減りました。ただし北海道は人口あたりで最も少ないのに−40.6%と全国より緩く、残り方と減り方がいつも対応するわけではありません。
人口30万人を超える市でも、東京都の5倍以上
市区町村別のテーブルでも同じように人口100人あたりの台数を出します。人口の少ない町村は台数が少しの違いで大きく動くので、まず人口3万人以上の市町村で上位20を見ます。
最も多いのは和歌山県田辺市の14.98台で、愛媛県八幡浜市(13.13台)、大阪府熊取町(12.02台)が続きます。上位20のうち和歌山県が4市、愛媛県が4市町、大阪府が4市町を占めます。県庁所在地では人口35万6,472人の和歌山市が11.27台、人口50万231人の松山市が9.69台で、東京都(1.90台)のそれぞれ5.9倍、5.1倍です。人口の多い市でも、50ccがふだんの足として使われていると考えられます。台数は車両を主に置いている市区町村で数えるので、配達などに使う事業者の車両も含みます。
人口の規模を問わずに並べると、上位は離島の町村が占めます。台数は車両を主に置いている市区町村で数えるので、住民が持つ車両だけとは限りません。
香川県直島町(41.5台)、東京都神津島村(33.1台)、鹿児島県与論町(30.5台)が上位に入り、島以外では和歌山県湯浅町(17.4台)が10位です。
14年間の増減でも、島の町村は目立ちます。1,741市区町村のうち、50ccの台数が2010年度より減っていないのは7つだけで、市区町村ごとの増減率の中央値は−48.6%です。減っていない7つのうち4つは香川県直島町と東京都の利島村・御蔵島村・小笠原村で、ほかは沖縄県恩納村、東京都渋谷区、愛知県高浜市です。配達や貸し出しに使う事業者の車両も、置き場所の市区町村で数えられるので、台数が少ない町村ほど1つの事業者の動きで増減が決まりえます。
販売計画にどう使うか
- 乗り換えの需要の大きさは、いま残っている台数で見積もります。和歌山市(4万192台)や松山市(4万8,473台)のように人口の多い市で人口あたりの台数も多い地域は、新基準原付や125cc以下のスクーターの在庫と、点検・修理の受け皿を厚くする候補になります
- 50cc超の原付も多い府県は、排気量を問わず原付をふだんの足にする人が多い地域です。乗り換え先として125cc以下の車種をそろえる意味が大きいのは、こうした地域だと考えられます。減り方の速さは、その需要が消えていく速さの目安として、残っている台数とは分けて見ます
- 離島や観光地の町村では、台数に事業者の車両が含まれている可能性があります。人口あたりの台数が飛び抜けて高い町村は、住民の数だけで需要を見積もらず、地元の事業者の保有台数も合わせて確かめると見誤りにくくなります
データは2024年4月1日時点までで、新基準原付の導入の後の台数の動きは含みません。
データの出典
本記事は e-Stat 社会・人口統計体系の都道府県別・市区町村別データを 2026-10-01 時点で集計しています。原付の台数の元データは総務省の市町村税課税状況等の調(各年度4月1日時点)、人口の元データは総務省の住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(2024年1月1日時点)です。
50ccの原付が減り続けていることは知られていても、原付が排気量を問わず同じ地域に偏っていることは、台数と人口を地域ごとにそろえて初めて見えてきます。Queriaは官公庁の統計の列名・単位・文字コードをそろえ、メタデータを添えて公開しています。本記事で使った市区町村別の居住データや都道府県別の居住データから、自店の商圏に入る市区町村の台数の推移や、50cc超の原付の台数を確かめられます。データを集めて加工する手間をかけずに、どの地域に在庫と人手を振り向けるかの判断そのものに集中できます。
続きや気になることをAIエージェントで深掘りする
Claude Code や Codex に Queria スキル を入れて、下のプロンプトを貼るだけです。ターミナルでも、スマホやブラウザのリモート画面でも使えます。
たとえば「自分の県の市区町村ごとに、50cc以下の原付と90cc超の原付の台数を2010年度と2024年度で並べ、人口100人あたりでも比べて」といった深掘りができます。
Queria の公開データで次を分析してください: 自分の県の市区町村ごとに、50cc以下の原付と90cc超の原付の台数を2010年度と2024年度で並べ、人口100人あたりでも比べて 参考 (この記事): https://queria.io/showcase/moped-50cc-regional-gap.md Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。
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claude "Queria の公開データで次を分析してください: 自分の県の市区町村ごとに、50cc以下の原付と90cc超の原付の台数を2010年度と2024年度で並べ、人口100人あたりでも比べて 参考 (この記事): https://queria.io/showcase/moped-50cc-regional-gap.md Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。"
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