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給料は東京の6〜9割、物価は9割強。地方では物価の安さで給料の差の2割しか埋まらない

地方の企業が東京で働く人をUIJターンで迎えるとき、提示できる年収は東京より低くなるのがふつうです。そこで候補者への説明によく添えられるのが「地方は物価が安いので、暮らし向きは変わらない」という言い方です。給料が低いぶん物価も安く、差し引きするとおおむね同じになる、という見方は採用の場に限らず広く共有されています。

給与と物価を都道府県ごとに並べると、この見方は成り立ちません。東京都を100としたとき、東京都以外の46道府県の年間給与は62.8から90.6まで開いているのに対し、物価は92.0から98.6の幅に収まっています。給与の差のうち物価の差と同じ大きさの分は、中央値で20.4%です。差の8割は物価では説明できません。

給与は東京の6〜9割、物価は東京の9割強

給与は厚生労働省の賃金構造基本統計調査の都道府県別の値を使います。ここでいう年間給与は、6月分の所定内給与額を12倍し、前年1年間の賞与その他特別給与額を足したものです。所定内給与には残業代などの超過労働給与が入らないので、実際の年収より少し低めの値になります。対象はフルタイムで働く一般労働者で、パートなどの短時間労働者は入りません。企業規模は10人以上で、働いている事業所の所在地で都道府県を分けています。

物価は総務省の小売物価統計調査(構造編)の消費者物価地域差指数で、e-Stat「社会・人口統計体系」の都道府県別経済基盤データ(c_pref_economy)に収録されています。全国平均を100として、同じ品目を全国共通の割合で買ったときの価格の差を表します。2013年以降の系列は費目別に12のカテゴリがあります。

コード 内容
C5701 総合
C5702 家賃を除く総合
C5703 食料
C5704 住居
C5705 光熱・水道
C5706 家具・家事用品
C5707 被服及び履物
C5708 保健医療
C5709 交通・通信
C5710 教育
C5711 教養娯楽
C5712 諸雑費

ここでは家賃を含む総合(C5701)を使います。指数は全国共通の支出の割合で品目の値段を重み付けしたものなので、地域差の大きい住居費も、支出全体に占める住居費の割合の分しか効きません。住まいの広さや車を持つかどうかといった暮らし方の違いも入りません。

給与は2020〜2024年調査、物価は2020〜2024年の5年平均をとり、どちらも東京都を100とする指数に直しました。下の図の点線は、物価が安いのと同じ割合だけ給与が低い場合の線です。点がこの線の上にあれば物価で割り戻した給与が東京都より高く、下にあれば低いことになります。

産業計の給与は、年齢・業種・企業規模の構成が違う働き手の平均どうしの比較で、同じ仕事に就いたときの給与の差ではありません。東京都の年間給与は5年平均で567.5万円です。東京都以外で最も高い神奈川県が90.6、最も低い青森県が62.8で、中央値は74.5です。物価は最も安い宮崎県が92.0、最も高い神奈川県が98.6で、中央値は94.5です。すべての道府県が点線より大きく下にあります。

給与の差のうち、物価の差と同じ大きさの分がどれだけを占めるかを県ごとに計算すると、中央値は20.4%でした。最も大きい愛知県でも43.7%で、46道府県のうち40で3割に届きません。青森県なら給与の差は37.2ポイント、物価の差は6.0ポイントです。給与が東京都の7割に届かない14県では、この割合はどこも23.4%以下です。給与が低い県ほど物価も安いという関係は弱く、46道府県の給与と物価の指数の相関係数は0.28です。

給与の指数を物価の指数で割ると、物価の差を差し引いた給与の水準になります。青森県は62.8が66.9になり、東京都との差は37.2ポイントから33.1ポイントに縮むだけです。こうして割り戻しても、46道府県は沖縄県の66.8から大阪府の92.1までに収まり、東京都に届く県はありません。

同じ業種どうしで比べても、差は大きく残る

東京都には金融や情報通信のような給与の高い業種が集まっているので、産業計の差には業種の構成の違いが含まれます。そこで業種別のテーブル(prefecture_industry_wage)を使い、同じ業種の中で東京都と比べます。業種は日本標準産業分類の大分類で、鉱業は標本が少なく欠ける県があるため除いた15業種です。都道府県×業種の値は標本調査からの推計で、組み合わせによっては年ごとに大きく動くので、ここでも5年平均をとっています。

46道府県×15業種の690通りで見ると、東京都の同じ業種と比べた年間給与の中央値は75.8で、産業計の74.5とほとんど変わりません。物価で割り戻しても中央値は80.3です。業種をそろえても、差の大きさは産業計と同じ程度に残ります。なお、同じ業種でも東京都には本社や大企業が多く、ここで比べているのは同じ仕事どうしの給与ではなく、その県のその業種で働く人の平均どうしです。

業種ごとに46道府県の中央値をとると、物価で割り戻した後に残る差は業種によって3倍以上開きます。

物価で割り戻した後の差が最も大きいのは不動産業・物品賃貸業で、給与は66.4、割り戻して69.7です。卸売業・小売業が73.4、金融業・保険業が74.4で続きます。差が最も小さいのは医療・福祉で、給与は85.8、割り戻して91.4です。電気・ガス・熱供給・水道業の91.0、情報通信業の87.4がこれに次ぎます。物価で割り戻した後に残る差は、不動産業・物品賃貸業の30.3ポイントに対して医療・福祉は8.6ポイントです。

690通りのうち、物価で割り戻すと東京都の同じ業種と同じかそれを上回るのは次の9通りだけです。このうち神奈川県の2つは、割り戻す前から東京都を上回っています。次の図で100.0と表示される愛知県の生活関連サービス・娯楽は、丸める前の値が100をわずかに下回るため、この9通りには入りません。

自分の県と業種で、東京との差を確かめる

採用の現場で必要なのは、自社の所在県と業種の組み合わせでの値です。下の図は、46道府県×15業種のすべてについて、物価で割り戻した年間給与を東京都の同じ業種を100として並べたものです。行は産業計の同じ指数が高い県ほど上にあります。

赤いほど東京都との差が大きい組み合わせで、青い組み合わせは東京都を上回ります。最も差が大きいのは高知県の不動産業・物品賃貸業で56.8でした。同じ県の中でも業種によって値は大きく開き、最も高い業種と最も低い業種の差は46道府県の中央値で23.7ポイント、40の道府県で20ポイント以上あります。自社の業種の差は、県全体の平均からは見積もれません。

採用の現場での使い方

  • 候補者に年収を提示するとき、東京との差を物価の安さだけで説明しないようにします。物価の差で埋まるのは給与の差の2割程度なので、残りは住まいの広さや通勤時間のような、物価指数に入らない条件で示す必要があります
  • 自社の所在県と業種の組み合わせで、東京の同じ業種との差の目安を持っておきます。不動産業・物品賃貸業、卸売業・小売業、金融業・保険業は差が大きく、医療・福祉、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業は小さい業種です

データの出典

本記事は厚生労働省の賃金構造基本統計調査の都道府県別の一般労働者の賃金(2020〜2024年調査)と、総務省の小売物価統計調査(構造編)の消費者物価地域差指数(2020〜2024年)を、2026年10月13日時点で集計しています。

東京との給与の差がどれだけ物価で埋まるのかは、賃金の統計と物価の統計を別々に眺めているだけでは分かりません。Queriaは、賃金構造基本統計調査や社会・人口統計体系をはじめとする官公庁のオープンデータを、列名・単位・文字コードを揃え、テーブルやカラムの意味をメタデータとして添えた形で公開しています。本記事で使った都道府県別の賃金テーブル、都道府県・業種別の賃金テーブル、都道府県別の経済基盤データから、自社の県と業種で東京との差を確かめられます。データを集めて表をつなぐ手間をかけずに、候補者に示す条件の組み立てそのものに集中できます。

続きや気になることをAIエージェントで深掘りする

Claude Code や Codex に Queria スキル を入れて、下のプロンプトを貼るだけです。ターミナルでも、スマホやブラウザのリモート画面でも使えます。

たとえば「宮城県・広島県・福岡県について、医療・福祉と情報通信の年間給与(所定内給与×12+年間賞与)を2020〜2024年調査で毎年出して。東京都と比べた比率と、消費者物価地域差指数で割り戻した比率も並べて」といった深掘りができます。

Queria の公開データで次を分析してください: 宮城県・広島県・福岡県について、医療・福祉と情報通信の年間給与(所定内給与×12+年間賞与)を2020〜2024年調査で毎年出して。東京都と比べた比率と、消費者物価地域差指数で割り戻した比率も並べて
参考 (この記事): https://queria.io/showcase/local-wage-price-gap.md
Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。
ターミナル(CLI)で始める
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参考 (この記事): https://queria.io/showcase/local-wage-price-gap.md
Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。"

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本記事はAIエージェントがQueriaの公開データを分析して作成し、別のエージェントが記事内のSQLをすべて実行して本文と照合したうえで、が公開前に確認しています。記事の数値はすべて掲載しているSQLから再現できます。