
送電網につながる蓄電池が3年2か月で14倍——ただし出力の6割は4つの道県に集まっています
自治体の企業誘致や産業振興の窓口に、「蓄電池を置く施設を建てたい」という相談が持ち込まれることがあります。工場や住宅に付ける蓄電池ではなく、送電網に直接つないで、電気が余るときにためて足りないときに流す設備です。受けた側は用地の広さや周辺への影響を判断することになります。
ただ、その案件が全国のなかでどれくらいの規模なのかは、相談を受けた時点では分かりません。比べる相手がないからです。この記事では、資源エネルギー庁の電力調査統計を使い、送電網につながる蓄電池が全国のどこに何か所あり、1か所あたりどれくらいの出力なのかを、都道府県別・月ごとに数えます。
数えているのは「箇所数」と「最大出力」の2つ
電力調査統計は、発電設備を電源の種類ごとに数えた統計です。都道府県ごとに、その電源の発電所が何か所あるか(箇所数)と、それらを合わせた最大出力が何キロワットか(kW)が、月ごとに記録されています。電気をためて流す設備がこの表に並ぶのは、送電網から見れば電気を送り出す側にあるからです。
大きな区分は水力・火力・原子力・新エネルギー等・その他の5つで、蓄電池は「新エネルギー等」の内訳として風力・太陽光・地熱と並んでいます。次の表の6行のうち、太陽光・風力・蓄電池はこの内訳にあたるので、水力・火力・原子力と足しても都道府県の発電所総数にはなりません。蓄電池の収録は2023年4月分から始まり、それより前の月には欄そのものがありません。
蓄電池は169か所・1,800,990kWです。箇所数では原子力の15か所より多く風力の406か所より少なく、最大出力では太陽光19,007,140kWの1割弱にあたります。ただし、この区分だけは2023年3月分までは存在していませんでした。
3年2か月で12か所から169か所へ
蓄電池が収録され始めた2023年4月から2026年6月まで、全国の箇所数と最大出力を月ごとに並べます。左の軸が箇所数、右の軸が最大出力です。
2023年4月は12か所・193,542kWでした。2026年6月には169か所・1,800,990kWで、箇所数は14.1倍、最大出力は約9.3倍になっています。
2本の線は同じようには動きません。2025年8月から10月にかけて、箇所数は40か所から62か所へ22か所増える一方、最大出力は389,190kWから1,064,348kWへ2.7倍に伸びています。この2か月に増えた出力675,158kWを増えた22か所で割ると、1か所あたり30,689kWです。既存の設備の出力が変わった分も含む平均ですが、2025年8月時点の1か所あたり平均9,730kWの3.2倍で、それまでとは規模の違う設備が加わったことになります。
出力の6割は4つの道県に
次に、2026年6月時点の最大出力を都道府県別に並べます。棒の中の数字は、その道県にある箇所数です。
上位は鹿児島県400,947kW(7か所)、宮崎県300,295kW(1か所)、宮城県217,732kW(7か所)、北海道164,342kW(7か所)です。この4道県で1,083,316kWとなり、全国の最大出力の60.2%を占めます。一方、箇所数で見ると4道県の合計は22か所で、全国169か所の13.0%にすぎません。
この4道県の割合は、大きな設備が加わった2025年9〜10月を経て、10月から2026年4月までは66.9〜70.7%で推移していましたが、5月に66.3%、6月に60.2%へ下がりました。4月から6月の2か月で全国の最大出力は252,840kW増え、そのうち山口県が99,900kW、福島県が68,465kW、青森県が42,275kWを占めます。宮城県と北海道は、この2か月で出力がわずかに減っています。
表の山形県の40kW減と山梨県の40kW増は同じ大きさで、1件の記録が県をまたいで移ったものと見られます。徳島県は2026年4月分に、箇所数0のまま最大出力1,999kWが記録されていました。月ごとの記録には、こうした揺れが含まれます。
箇所数が同じ道県どうしを並べると、開きがはっきりします。7か所ある5道県は、鹿児島県400,947kW・宮城県217,732kW・北海道164,342kW・熊本県12,874kW・兵庫県11,859kWで、鹿児島県は兵庫県の33.8倍です。11か所では福岡県70,489kWと埼玉県21,089kWで3.3倍の差があります。宮崎県にいたっては1か所だけで、最も箇所数の多い静岡県(12か所・31,291kW)の9.6倍の出力を持っています。
1か所しかない12府県で規模を比べる
蓄電池が1か所だけの府県では、その1か所の最大出力がそのまま記録されています。合算されていないので、設備1つの規模を直接くらべられます。横軸は目盛の幅が一定ではない対数目盛です。
最も大きいのは宮崎県の300,295kW、最も小さいのは山梨県の40kWで、その差は7,507倍です。山梨県の40kWは、前の節の表で山形県から移ったように見えた記録です。2番目に小さい岩手県の1,500kWと比べても、宮崎県は200倍の出力です。また、大分県1,960kW・奈良県1,979kW・秋田県1,998kW・香川県1,998kWと、2,000kWのすぐ下に4県が固まっています。
つまり「蓄電池が1か所できた」という同じ言い方の中に、4桁違う規模の設備が入っています。最も大きい宮崎県の300,295kWは、この統計に載る火力発電所495か所の1か所あたり平均309,657kWに近い出力です。ここでの出力は一度に出せる電力の大きさで、何時間流し続けられるか(蓄えられる電力量)はこの統計には記録されていません。相談を受けた案件が何キロワットなのかを聞かないかぎり、必要な用地も系統の話も見当がつきません。
どこまで広がっているか
最後に、箇所数を地図で見ます。色が濃いほど箇所数の多い都道府県です。
蓄電池が1か所以上あるのは41都道府県で、2023年4月の9都道府県から4倍以上に広がりました。2026年6月時点で1か所もないのは、山形県・神奈川県・富山県・福井県・京都府・高知県の6府県です。
色の濃い都道府県は、北海道から九州まで散らばっています。箇所数の上位3県は静岡県(12か所)・福岡県(11か所)・埼玉県(11か所)ですが、最大出力は21,089kWから70,489kWにとどまり、出力の上位4道県には入りません。逆に宮崎県は1か所だけで、出力は全国2位です。数が増えている地域と、大きな設備が入っている地域は、部分的にしか重なりません。
業務でどう使うか
- 立地の相談を受けたとき、その案件の最大出力を全国の分布の中に位置づけられます。1か所しかない12府県のうち6県は2,000kWに満たず、4府県が8,130kWから12,000kWの間、残る2県が48,000kW以上です。数万kW以上の案件は、1か所しかない府県の中では和歌山県・宮崎県と並ぶ規模です
- 自分の自治体が属する県と近隣の県について、箇所数と最大出力を同じ集計で並べられます。同じ箇所数でも出力が10倍以上違うことがあるので、近隣の状況は箇所数だけでなく出力とあわせて見る必要があります
- 月ごとに記録されているので、庁内の説明資料を更新するときに同じクエリを回し直すだけで最新の数字に差し替えられます
データの出典
本記事は資源エネルギー庁の電力調査統計の都道府県別・電源種別の発電所数と最大出力を、2026年10月18日時点で集計しています。対象は蓄電池の収録が始まった2023年4月分から2026年6月分までで、数値は各月時点の記録です。
送電網につながる蓄電池は、まだ全国のどこにでもある設備ではありません。6府県には1か所もなく、出力の6割は4つの道県に寄っています。この形は、国が公表する電源種別の月次の集計を、3年あまり・47都道府県分そろえて初めて見えてきます。こうした集計の土台になるデータを、Queriaは整えた形で公開しています。電源種別ごとの箇所数と最大出力を扱いやすい列にそろえ、都道府県の境界データと組み合わせられる形にして、テーブルやカラムの意味をメタデータとして添えてあります。本記事で使った都道府県別の発電所数・最大出力テーブルから、自分の自治体が属する県の推移を確かめたり、近隣の県と並べたりできます。統計の加工に時間を取られず、立地相談への向き合い方そのものを考えることに集中できます。
続きや気になることをAIエージェントで深掘りする
Claude Code や Codex に Queria スキル を入れて、下のプロンプトを貼るだけです。ターミナルでも、スマホやブラウザのリモート画面でも使えます。
たとえば「自分の県と隣接する県について、蓄電池の箇所数と最大出力を2023年4月から月ごとに並べて。1か所あたりの平均出力も出して」といった深掘りができます。
Queria の公開データで次を分析してください: 自分の県と隣接する県について、蓄電池の箇所数と最大出力を2023年4月から月ごとに並べて。1か所あたりの平均出力も出して 参考 (この記事): https://queria.io/showcase/grid-storage-battery-sites.md Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。
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claude "Queria の公開データで次を分析してください: 自分の県と隣接する県について、蓄電池の箇所数と最大出力を2023年4月から月ごとに並べて。1か所あたりの平均出力も出して 参考 (この記事): https://queria.io/showcase/grid-storage-battery-sites.md Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。"
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