Queria

外国人が同じ数だけ住む町でも、1年に生まれる子どもの数は8倍違う

外国人住民が増えている自治体では、次の年度に何を用意するかを決めなければなりません。保育所の枠や日本語指導の体制を厚くするのか、それとも単身者向けの住まいや生活相談の窓口を増やすのか。準備の中身は、増えた人数だけでは決まりません。

この記事では、総務省の住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数を使い、外国人住民が「どれだけ増えたか」ではなく「そこで子どもが生まれているか」を追います。

全国で増えた203万人は、ほとんどが1人だけの世帯

このデータは、毎年1月1日時点の人口と世帯数、およびその直前1年間の出生・死亡・転入・転出を、全国・都道府県・市区町村の単位で収めています。住民区分(resident_kind)は3つに分かれます。

区分 内容
total 総計
japanese 日本人住民
foreign 外国人住民

ここでは外国人住民(foreign)だけを使います。外国人住民が住民基本台帳の対象になったのは2012年7月で、日本人と分けて追えるのは2013年以降です。調査期日が1月1日にそろい、出生数が1月から12月までの1年間を表すようになるのは2014年からです。まず全国の人口と世帯数の推移を見ます。

外国人住民は2014年の2,003,379人から2026年の4,031,159人へ、およそ2.0倍になりました。途中の2021年と2022年は人口も世帯数も前年を下回っていて、12年通しての倍率はこの落ち込みを挟んだ値です。同じ期間に世帯数は1,000,252世帯から2,615,996世帯へ、およそ2.6倍です。人口より世帯数のほうが速く伸びています。増えた人口2,027,780人を増えた世帯数1,615,744世帯で割ると1.26人。この12年で増えた分は、ほぼ1人ずつ別の世帯を構える住民だったことになります。1世帯あたりの人数は2.00人から1.54人に下がりました。

この世帯数は、外国人住民だけで構成される世帯を数えたものです。日本人と同居する世帯は日本人住民の区分に入るため、日本人と結婚して暮らす人が多い地域では、1世帯あたりの人数がその分だけ大きく出ます。

生まれる子どもの数は、県によって5倍違う

出生数(births)は、前年の1月から12月までに住民票へ記載された出生者の数です。外国人住民の区分では、外国人として住民登録された新生児が数えられます。人口規模の違う県を並べるため、外国人住民1,000人あたりの年間出生数に直します。この分母は全年齢・男女あわせた外国人住民の数なので、20代・30代がどれだけ住んでいるかの違いも混ざります。

最も多いのは群馬県で、外国人住民1,000人あたり8.3人です。次いで島根県7.8人、埼玉県7.5人、千葉県7.2人、愛知県7.1人と続きます。最も少ないのは青森県の1.6人で、高知県2.0人、岩手県と鹿児島県が2.3人、新潟県2.4人と続きます。上位と下位ではおよそ5倍の開きがあります。上位10県のうち島根県を除く9県は、北関東・首都圏・東海に集まっています。その島根県は外国人住民11,437人・出生数89人で、上位10県のなかでどちらも最も少ない県です。出生数が18人減れば10位の栃木県を下回るので、上位に並んでいることは他の9県ほど安定していません。

この差は12年間で縮まっていない

外国人住民が増え続ければ、いずれ定住が進んで子どもも増えていく——そう考えたくなります。2026年の出生数が多い上位10県と少ない下位10県を、そのまま2014年までさかのぼって集計しました。

上位10県は2014年に1,000人あたり8.01人、2026年に6.98人です。下位10県は3.90人から2.69人でした。期間中の最高は上位が2017年の8.99人、下位が2015年の4.30人で、どちらも今はそれを下回っています。それでも12年を通じて2本の線が交わることはなく、上位10県は毎年、下位10県の2倍を超えています。2014年は2.1倍、2026年は2.6倍です。

下位10県の外国人住民は、この12年で76,085人から194,856人へ2.6倍に増えました。それでも年間の出生数は297人から525人にとどまります。上位10県は同じ期間に808,928人から1,636,948人へ2.0倍で、出生数は6,476人から11,428人です。人口の伸びだけを見れば下位10県のほうが速いのに、生まれる子どもの数はその速さについてきていません。

同じ規模の町でも、生まれる数は8倍違う

県の平均は、その中の市区町村の違いをならしてしまいます。外国人住民が3,000人から5,000人いる104市区町村に絞り、1世帯あたりの人数と出生数の関係を見ます。市区町村の集計では、政令指定都市を1団体として数え、行政区を二重に数えないように標準地域コードで絞っています。

1世帯あたりの人数が大きい市区町村ほど、出生数も多くなる傾向があります。1世帯あたり1.4人未満の13市区町村では、外国人住民1,000人あたりの出生数は平均3.6人。1.7人以上の21市区町村では平均7.0人と、およそ2倍です。ただし1世帯あたりが1.55人から1.65人に収まる34市区町村だけを取り出しても、1,000人あたりの出生数は武蔵野市の2.3人から大府市の10.0人まで開いています。世帯の大きさだけで決まるわけではありません。

最も出生数が多いのは群馬県館林市で、外国人住民4,456人に対して1年間に52人が生まれています。最も少ないのは北海道倶知安町で、4,279人に対して6人でした。住んでいる人数はほとんど同じですが、生まれた子どもの数は8倍以上違います。1世帯あたりの人数は館林市が1.72人、倶知安町が1.08人です。

在留資格によって家族を呼び寄せられるかどうかが違うことが、この差の背景にあると考えられます。技能実習や特定技能1号では原則として家族の帯同ができず、定住者や永住者ではできます。前者が中心の地域には単身の住民が集まり、後者が多い地域では家族として暮らす人が増えます。ただしこのデータに在留資格の列はないので、住民一人ひとりの資格までは分かりません。

業務でどう使うか

  • 自分の自治体について、人口だけでなく世帯数と出生数を並べる。人口の伸びに対して世帯数の伸びが大きければ、増えているのは単身の住民で、保育所や小学校の需要はすぐには動きません
  • 1世帯あたりの人数が近い自治体を全国から探し、そこで数年後に出生数がどう動いたかを見る。自分の自治体がこれからどちらに向かうかの目安になります
  • 転入者数(moved_in_total)・転出者数(moved_out_total)と併せて見る。単身の住民が多い地域は入れ替わりも速く、総数が横ばいでも顔ぶれが毎年変わっていることがあります

データの出典

本記事は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の全国・都道府県・市区町村別データを、2026-09-04時点で集計しています。人口と世帯数は各年1月1日現在、出生数は前年1月から12月までの1年間の値です。

外国人住民が増えているかどうかと、その地域で子どもが生まれているかどうかは、別々に確かめないと分かりません。住民基本台帳の集計は毎年公表されていますが、市区町村ごとに人口・世帯数・出生数を並べて年をまたいで追うには、年次ごとに分かれた表を集めて突き合わせる必要があります。Queriaはこうしたデータを、列名・単位・地域コードをそろえた1つのテーブルにして公開しています。本記事で使った住民基本台帳人口テーブルから、自分の自治体の数字を確かめたり、近隣の自治体と並べたりできます。データを集めて形をそろえる手間をかけずに、来年度に何を用意するかという判断そのものに時間を使えます。

続きや気になることをAIエージェントで深掘りする

Claude Code や Codex に Queria スキル を入れて、下のプロンプトを貼るだけです。ターミナルでも、スマホやブラウザのリモート画面でも使えます。

たとえば「外国人住民の1世帯あたりの人数と1,000人あたり出生数を、自分の都道府県の市区町村について2014年から2026年まで出して。単身が増えているのか世帯が増えているのかを比べて」といった深掘りができます。

Queria の公開データで次を分析してください: 外国人住民の1世帯あたりの人数と1,000人あたり出生数を、自分の都道府県の市区町村について2014年から2026年まで出して。単身が増えているのか世帯が増えているのかを比べて
参考 (この記事): https://queria.io/showcase/foreign-resident-births-gap.md
Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。
ターミナル(CLI)で始める
claude "Queria の公開データで次を分析してください: 外国人住民の1世帯あたりの人数と1,000人あたり出生数を、自分の都道府県の市区町村について2014年から2026年まで出して。単身が増えているのか世帯が増えているのかを比べて
参考 (この記事): https://queria.io/showcase/foreign-resident-births-gap.md
Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。"

おすすめ記事

関連
竹富町では2025年に、住民の6人に1人が町を出ていきました。それでも人口は34人増えています

市区町村別の転出者数を住民基本台帳人口で割り、全国1,719市区町村を比べました。転出率は山形県大蔵村の1.56%から北海道占冠村の20.82%まで13倍の開きがあります。

2026年9月20日
関連
出生数は一年でどこまで落ちるのか——43回の前年比と、東京都が増えた10年

全国の出生数を1980年から43回の前年比にすると、最大の落ち込みは2019年の-5.8%でした。一方2005年から2015年の10年は、全国が-5.3%の裏で東京都が+17.2%と増えています。

2026年2月23日·更新 2026年9月20日
関連
人口が増えた256市区町村の122は日本人が減っています

住民基本台帳の市区町村別人口を2014年から2026年まで日本人と外国人に分けました。2026年1月1日時点で人口が増えていたのは1,898市区町村のうち256で、そのうち122は日本人が減り外国人の増加が上回った市区町村です。出生数が死亡数を上回ったのは21で、2014年の261から減りました。

2026年2月23日·更新 2026年9月23日
関連
埼玉・千葉・神奈川に引っ越してくる子どもは、出ていく子どもとほぼ同じ数になりました。増えているのは多摩です

0〜14歳の転入超過を1都3県で追うと、埼玉・千葉・神奈川の合計は2022年の7,547人から2025年は139人に縮み、多摩は5,086人で12年の最多です。

2026年10月17日
関連
給料は東京の6〜9割、物価は9割強。地方では物価の安さで給料の差の2割しか埋まらない

東京都を100とすると、道府県の年間給与は63〜91、物価は92〜99でした。給与の差のうち物価の差で埋まるのは中央値で2割で、物価で割り戻しても業種によって9〜30ポイントの差が残ります

2026年10月13日
関連
津波の浸水が想定される場所に住む65歳以上は、25年で大阪市・横浜市では2万人超増え、地方の沿岸24市町村で4割以上減る

津波浸水想定区域と500m四方の将来推計人口を重ねました。28道府県の区域内に住む人は2050年までに17.6%減り、65歳以上は4.6%増えます。

2026年10月9日

本記事はAIエージェントがQueriaの公開データを分析して作成し、別のエージェントが記事内のSQLをすべて実行して本文と照合したうえで、が公開前に確認しています。記事の数値はすべて掲載しているSQLから再現できます。