
バス停留所27.8万件を運行区分で数える——民間路線が薄い県ほどコミュニティバスが厚い、という関係はない
地域公共交通計画をつくるとき、自分の自治体がどのあたりに位置するのかを確かめるために、比べる相手を選ぶ必要があります。人口規模や高齢化率が近い自治体を選ぶことが多いのですが、「民間の路線バスが退いた分を自治体が引き受ける」という筋書きがどこでも同じように進んでいるとは限りません。
国土数値情報のバス停留所データは、全国の停留所を1件1レコードで収め、そこに停まる系統の運行区分を持っています。区分は民間の路線バス、公営の路線バス、コミュニティバス、およびそのいずれでもない「その他」で、高速バス・デマンドバス・貸切バス・スクールバスは対象外です。まずは全国の停留所を、この区分の組み合わせ(bus_class_codes)で数えます。
停留所の3件に1件はコミュニティバス
全国の停留所は278,515件です。最も多いのは民間の路線バスだけが停まる停留所で171,127件、全体の61.4%を占めます。コミュニティバスだけが停まる停留所は91,867件で33.0%、公営の路線バスだけは14,856件で5.3%です。1つの停留所に複数の区分が同居することもあり、公営路線とコミュニティバスの両方が停まる停留所が328件あります。どの区分にも当てはまらない「その他」は337件です。両方に該当する停留所を含めてコミュニティバスが停まる停留所を数えると92,195件、全体の33.1%になります。
停留所の3件に1件は自治体が走らせるバスのものだ、というのが全国を足し合わせた姿です。では、この3分の1という水準はどこでも同じなのでしょうか。
県別では6.0%から63.0%まで開く
停留所に占めるコミュニティバスの割合を都道府県別に出します。停留所の所属県は配布ファイルの単位で決まるため、県境をまたぐ路線の停留所はファイルが属する県に入ります。
最も高いのは岐阜県の63.0%で、長野県60.0%、群馬県58.2%、三重県56.9%、愛知県53.8%と、中部を中心とした県が上位に並びます。これらの県では停留所の半分以上が自治体の走らせるバスのものです。最も低いのは長崎県の6.0%で、神奈川県6.9%、北海道10.3%、大阪府10.8%と続きます。上位と下位では10倍以上の開きがあります。
大都市圏である神奈川県や大阪府が低いのは、民間の路線バスが張りめぐらされているためだと説明できそうです。ただ北海道が下位にいることは、その説明では通りません。民間の路線が薄いほど自治体が埋めているのなら、北海道は上位に来るはずです。
民間の薄さでは説明できない
割合ではなく密度で比べます。県ごとに、コミュニティバス以外の停留所数(その大半は民間・公営の路線バスです)と、コミュニティバスの停留所数を、それぞれ可住地面積100km²あたりに直します。可住地面積は社会・人口統計体系の都道府県データ(B1103 可住地面積)から取っています。数えているのは停留所の数であって便数ではないので、この密度は路線網の広がりを表し、待ち時間の短さは表しません。もし自治体が民間の穴を埋めているなら、横軸が小さい県ほど縦軸が大きくなるはずです。
右下がりの関係は現れません。2つの密度の相関係数は0.06で、ほとんど無関係です。割合で見ると民間の密度と逆向きの関係(相関係数-0.53)が出ますが、これは割合の分母に民間の停留所が入っているためで、密度どうしで比べると関係は消えます。
分かりやすいのが北海道と山形県の対比です。コミュニティ以外の停留所密度は北海道57.2、山形県50.5とほぼ同じ水準ですが、コミュニティバスの密度は北海道6.6に対して山形県48.8で、7倍以上の差があります。同じくらい民間の路線が薄くても、自治体がどれだけ引き受けているかはまったく違います。図の右上には東京都(コミュニティ以外671.5、コミュニティ199.3)が離れて位置します。一方、左下の隅、民間も自治体バスも薄い位置にいるのは北海道だけです。ただしこのデータには予約制のデマンドバスが含まれないので、北海道の位置は「デマンド交通も含めた移動手段が薄い」ことまでは意味しません。
では、自治体の走らせるバスが濃く張られているのはどのあたりなのでしょうか。
自治体バスが濃いのは東京と中部、島根・大分
コミュニティバスの停留所密度を地図にします。色が濃いほど、可住地面積あたりの自治体バスの停留所が多い県です。
最も濃いのは東京都の199.3で、岐阜県180.1、島根県178.7、大分県172.8、愛知県163.9が続きます。割合で上位だった岐阜県・愛知県・長野県(156.8)・三重県(153.6)は密度でも上位に入っており、中部の県が自治体バスを面的に張っていることが割合と密度の両方から確かめられます。島根県は割合でも10位ですが、大分県は割合では中位(44.5%)にとどまり、密度で見て初めて中部の県と並びます。
停留所の総数で見た密度は、最多の東京都870.7件に対して最少の北海道63.8件で、13.6倍の開きがあります。
県の姿は分かりましたが、比べる相手は自治体です。運行主体の単位でも見ておきます。
運行主体774のうち、半分以上は停留所100件未満
コミュニティバスの運行主体は operator 列に入ります。ここには自治体名が入るので、主体ごとに停留所を数えれば、自治体単位の規模がそのまま出ます。
コミュニティバスが停まる停留所を持つ運行主体は774あり、1主体あたりの停留所数の中央値は89件です。430主体は100件未満で、半分以上が100件に届きません。最も多いのは長野市の868件で、鹿児島市838件、岐阜市745件、豊田市713件、高崎市701件と続きます。
比べる相手を選ぶときは、この分布のどこに自分の自治体がいるかが起点になります。中央値の89件前後にいるのか、上位の数百件規模なのかで、参考にすべき運行形態も費用の規模も変わります。県の比率だけを見て「うちの県は自治体バスが厚い」と読むと、県内でこれだけばらついている事実を見落とします。
業務でどう使うか
- 比較対象を選ぶときに、人口規模や高齢化率ではなく、コミュニティ以外の停留所密度で近い県を先に絞る。同じくらい民間が薄い県のなかで、自治体がどこまで引き受けているかを見比べれば、自分の自治体の位置づけが読める
- 「民間が退いたから自治体が埋める」という前提を、自県の数字で確かめる。密度どうしにその関係が出ないなら、埋まっていない範囲がどこかを先に洗い出す
- 運行主体別の停留所数で、自分の自治体が774主体のどのあたりにいるかを確かめる。中央値の89件前後か、数百件規模かで、参考にすべき先行事例が変わる
データの出典
本記事は国土数値情報のバス停留所データ(第3.0版・令和4年度)を2026年8月1日時点で集計しています。可住地面積は社会・人口統計体系の都道府県データ(2022年度)、地図の境界は国土数値情報の行政区域データです。
こうした分析の土台になるデータを、Queriaは整えた形で公開しています。国土数値情報のシェープファイルを列名・単位・文字コードを揃えたテーブルに変換し、運行区分コードを名称に展開したうえで、統計データと同じ場所から引けるようにしてあります。本記事で使ったバス停留所テーブルから、自分の自治体の停留所を運行主体で抜き出したり、可住地面積を含む都道府県データと組み合わせて近隣県と密度を比べたりできます。地図データの下ごしらえに時間を取られず、どこと比べるかという判断そのものに集中できます。
続きや気になることをAIエージェントで深掘りする
Claude Code や Codex に Queria スキル を入れて、下のプロンプトを貼るだけです。ターミナルでも、スマホやブラウザのリモート画面でも使えます。
たとえば「コミュニティバスの停留所を運行主体(operator)別に数えて、停留所数の多い自治体を上位30件出して。あわせて各主体の系統数(route_count)の平均も添えて」といった深掘りができます。
Queria の公開データで次を分析してください: コミュニティバスの停留所を運行主体(operator)別に数えて、停留所数の多い自治体を上位30件出して。あわせて各主体の系統数(route_count)の平均も添えて 参考 (この記事): https://queria.io/showcase/community-bus-stop-share.md Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。
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claude "Queria の公開データで次を分析してください: コミュニティバスの停留所を運行主体(operator)別に数えて、停留所数の多い自治体を上位30件出して。あわせて各主体の系統数(route_count)の平均も添えて 参考 (この記事): https://queria.io/showcase/community-bus-stop-share.md Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。"
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