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東京都の公衆トイレ2,851件でバリアフリー設備の記録を数える

デジタル庁は自治体標準オープンデータセットとして、自治体が公開を推奨されるデータの様式を定めています。公衆トイレ一覧はその基本編の1つで、所在地や緯度経度に加えて、車椅子での利用可否、ベビーシート等の有無、オストメイト対応の有無といった設備の項目が定義されています。

様式が共通なので、複数の自治体のファイルをそのまま縦に積めば都全体を見渡せる、というのがこの仕組みの狙いです。実際に積んでみると、そう単純にはいかない部分が出てきます。

この記事では、東京都の自治体が公開した公衆トイレのデータを数え、バリアフリー設備がどこまで記録されているか、記録された範囲で何が言えるかを確かめます。

データの規模

まず全体像です。

設備の3項目(wheelchair・baby_facility・ostomate)は真偽値のカラムなので、COUNT() は値が入っている行だけを数えます。

25の自治体が2,851件を公開しています。緯度経度は2,777件(97.4%)に入っており、地図に載せる用途にはほぼ支障がありません。

一方で設備の項目は欠けが目立ちます。車椅子対応が記録されているのは1,804件で、全体の63.3%にとどまります。ベビーシート等は2,168件(76.0%)、オストメイト対応は2,057件(72.2%)です。

ここで問題になるのが、記録されていない行をどう扱うかです。設備が「ない」のか、調べていないだけなのか、データを見ただけでは区別できません。

空欄の意味は自治体で分かれる

自治体標準オープンデータセットの様式では、これらの項目は「有」または「無」と書くことになっています。実際、江戸川区が公開しているファイルを開くと、設備のない施設には「無」が明記されています。Queriaのテーブルではこれを真偽値に変換しているため、「有」は true、「無」は false、空欄は NULL になります。

そこで、オストメイト対応の項目について、自治体ごとに「有」「無」「空欄」の内訳を数えました。

内訳の形が自治体で大きく違うことが分かります。

江戸川区(498件のうち468件)や葛飾区(264件のうち262件)は、ほとんどの行を「有」または「無」で埋めています。一方で練馬区は166件のうち28件に「有」が入るだけで、「無」は1件もありません。新宿区(144件中36件が「有」)、中央区(83件中41件が「有」)も同じ形です。墨田区(132件)と中野区(124件)にいたっては、オストメイト対応の記録が1件もありません。

「無」が1件も出てこない自治体では、空欄が「設備なし」を指しているのか「未確認」なのかを判断できません。仮に空欄をすべて「設備なし」と読むと、練馬区のオストメイト対応率は16.9%になります。逆に空欄を除いて記録のある28件だけで数えると100%です。同じデータから8割近く違う数字が出てしまいます。

したがって、全25自治体を横並びで比較することはできません。以降は、車椅子対応・ベビーシート等・オストメイト対応の3項目すべてについて「無」を1件以上記録している自治体に絞ります。この条件を満たすのは13自治体です。

記録が揃った13自治体で数える

対象を絞ったうえで、3項目の設置率を自治体別に示します。分母は各項目に「有」または「無」が記録されている件数です。

13自治体の設置率の中央値は、車椅子対応が60.0%、ベビーシート等が36.4%、オストメイト対応が25.0%です。車椅子対応が他の2項目を大きく上回ります。オストメイト対応については13自治体を合計しても1,613件中330件で20.5%にとどまります。

自治体別に見ても、13のうち12で車椅子対応が最も高くなっています。例外は荒川区だけで、車椅子対応47.6%に対しベビーシート等が54.9%と上回ります。

車椅子対応が先行しているのは、整備の歴史の長さと対応しています。オストメイト用設備の設置が広く義務付けられたのは、バリアフリー法(2006年施行)以降です。車椅子使用者用の便房はそれ以前から公共建築物の整備対象になっており、蓄積の差が現在の比率に表れていると考えられます。

オストメイト対応率の幅は、狛江市の65.0%から葛飾区の9.2%まで7倍あります。ただしこの差をそのまま整備水準の差と読むのは適切ではありません。

収録件数と設置率の関係

公衆トイレとして何を載せるかは自治体の判断に委ねられています。公園の小規模なトイレまで網羅する自治体もあれば、主要な施設に絞る自治体もあります。収録件数と設置率を並べると、その影響が見えます。

収録件数が多い自治体ほど設置率が低くなる傾向があります。13自治体での相関係数は-0.35で、強い関係ではありませんが方向は一貫しています。

収録件数が200件を超える江戸川区(498件・10.0%)、葛飾区(264件・9.2%)、板橋区(230件・22.6%)はいずれも設置率が下位に位置します。逆に上位の狛江市(20件・65.0%)、目黒区(20件・25.0%)、国分寺市(11件・27.3%)は収録件数が20件以下です。小規模な公園トイレを多く含めるほど、設備の整った施設の比率は下がります。

例外は江東区で、192件を収録しながらオストメイト対応率54.7%を保っています。収録件数が同水準の多摩市(176件・13.1%)と比べると4倍の開きがあり、収録範囲だけでは説明がつきません。

分母の中身が自治体で違う以上、この数字は自治体の順位付けには使えません。使えるのは、同じ自治体の中で設備の種類ごとの差を見ることと、時系列で更新を追うことです。

設備のある場所はどこか

最後に、13自治体のオストメイト対応トイレを地図に落とします。緯度経度は「有」の330件のうち313件、「無」の1,283件のうち1,229件に入っており、残りは地図に表示されません。

対象が13自治体に限られるため、都内が均等に埋まるわけではありません。江東区・江戸川区・葛飾区・荒川区・板橋区が並ぶ東部から北部にかけての帯と、多摩市・調布市・小平市・国立市・狛江市・国分寺市・東久留米市が点在する多摩地域に分かれます。

江東区は対応ありが105件、対応なしが87件と拮抗するのに対し、江戸川区(47件と421件)や葛飾区(24件と238件)では灰色の点が面的に広がります。設置率の差が、地図上の密度の差として確認できます。

なお、いずれの区でも対応ありの点は区内のほぼ全域に分布しており、緯度・経度の広がりは対応なしの点と大きく変わりません。違いは配置の偏りではなく密度にあります。

数えて見えてきたこと

東京都の公衆トイレのオープンデータを数えると、次のことが分かりました。

  • 25自治体が2,851件を公開しているが、設備項目の記録方法が分かれる。「無」を明記する自治体と、空欄のまま残す自治体が混在し、3項目すべてで比較できるのは13自治体にとどまる
  • 記録の揃った13自治体では、設置率の中央値が車椅子対応60.0%に対しベビーシート等36.4%、オストメイト対応25.0%と、車椅子対応が先行している。13自治体のうち12で同じ順序になる
  • 自治体別のオストメイト対応率は9.2%から65.0%まで開くが、収録件数と負の相関(-0.35)があり、公園トイレまで含めるかどうかという収録範囲の違いを含んでいる

様式が共通でも、記録の粒度と収録範囲まで揃うわけではありません。積み上げる前に、どの行が比較可能かを確かめる手順が必要になります。

このデータの読み方と注意点

本記事は、デジタル庁の自治体標準オープンデータセットの様式に沿って東京都内の自治体が公開した公衆トイレ一覧を、東京都オープンデータカタログサイト経由で取得して集計しています。データの取得時点は2026年7月19日で、収録されているのは公表している25自治体の2,851件です。都内の全自治体を網羅したものではなく、公表していない自治体の公衆トイレは最初から含まれていません。

設置率の集計では、車椅子対応・ベビーシート等・オストメイト対応の3項目すべてについて「無」を1件以上記録している13自治体だけを対象にしました。「無」が1件もない自治体では空欄が「設備なし」なのか「未確認」なのかを区別できず、分母の取り方ひとつで率が数倍変わってしまうためです。設置率の分母も、各項目に「有」または「無」が入っている件数に限っています。

このデータからは、自治体間の整備水準を順位付けすることはできません。公衆トイレとして何を収録するかの基準が自治体ごとに違い、公園の小規模なトイレまで載せる自治体と主要な施設に絞る自治体では、分母の中身がそもそも異なるためです。また設備の有無は記録された時点の値で、更新の頻度も自治体によって差があります。緯度経度も2,851件のうち2,777件にしか入っていないため、地図には全件が表示されるわけではありません。

こうした確認の土台になる行政データを、Queriaは整えた形で公開しています。東京都の自治体標準オープンデータセットについて、列名・単位・文字コードを揃え、「有」「無」の表記を真偽値に直したうえで、テーブルやカラムの意味をメタデータとして添えてあります。本記事で使った公衆トイレのテーブルから、自分の住む自治体の記録状況を確かめたり、男女別の便房数や利用時間といった他の項目を見に行ったりと、同じデータを自分の関心に沿って掘り下げられます。

続きや気になることをAIエージェントで深掘りする

Claude Code や Codex に Queria スキル を入れて、下のプロンプトを貼るだけです。ターミナルでも、スマホやブラウザのリモート画面でも使えます。

たとえば「乳幼児向け設備(baby_facility)の設置率を自治体(org_title)別に出して、車椅子対応率(wheelchair)との差が大きい自治体を見つけて」といった深掘りができます。

Queria の公開データで次を分析してください: 乳幼児向け設備(baby_facility)の設置率を自治体(org_title)別に出して、車椅子対応率(wheelchair)との差が大きい自治体を見つけて
参考 (この記事): https://queria.io/showcase/tokyo-public-toilet-accessibility.md
Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。
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参考 (この記事): https://queria.io/showcase/tokyo-public-toilet-accessibility.md
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本記事はAIエージェントがQueriaの公開データを分析して作成し、別のエージェントが記事内のSQLをすべて実行して本文と照合したうえで、が公開前に確認しています。記事の数値はすべて掲載しているSQLから再現できます。