
市区町村別の民営借家率データで賃貸需要を区レベルまで読む
賃貸住宅の投資エリアを検討するとき、都道府県単位の指標では目線がマクロすぎて役に立ちません。同じ大阪府でも、持ち家中心の郊外と単身者向け賃貸が集中する都心の区とでは、賃貸需要の構造がまったく異なるためです。
そこで、賃貸需要の代理指標である民営借家率(民営借家数を居住世帯あり住宅数で割った割合)を、市区町村、さらに政令市・特別区の区レベルまで下ろして見ていきます。使うのは住宅・土地統計調査をもとにした e-Stat「社会・人口統計体系」の市区町村別住宅データ(municipal_housing)です。
データの概要
市区町村別の民営借家率は、次の2カテゴリから計算します。
| コード | 内容 |
|---|---|
| H1101 | 居住世帯あり住宅数(分母) |
| H1322 | 民営借家数 |
民営借家数(H1322)のデータは2003年から2023年まで5年ごとに収録されており、政令市・特別区の区を含む市区町村単位で並んでいます。住宅・土地統計調査は標本調査のため、人口の少ない一部の町村は民営借家の集計対象に含まれません。本記事では住宅ストックの少ない地域のノイズを避けるため、居住世帯あり住宅数が2万戸以上の市区町村に絞ってランキングを示します。
民営借家率の高い市区町村(2023年)
まず、全国の市区町村・区を民営借家率で並べた上位20を見ます。
上位は大阪市浪速区(70.7%)、福岡市博多区(62.7%)、福岡市中央区(58.5%)、大阪市西区(58.3%)、名古屋市中区(58.0%)と、地方中枢都市の都心区が占めます。住宅の7割が民営借家という浪速区のような地域は、賃貸を前提とした住まい方が定着しており、賃貸経営の観点では退去後の再入居が見込みやすい市場と読めます。
注目すべきは、同じ都道府県内でも区によって水準が大きく違うことです。以前の都道府県別の分析では都道府県ごとの平均を見ましたが、大阪府を区まで下ろすと浪速区は70.7%に達します。都道府県の平均値だけを見ていては、こうした賃貸需要の濃淡を見落としてしまいます。
東京23区内の格差(2023年)
ひとつの都市の中でも需要構造は一様ではありません。東京23区について、区ごとの民営借家率を見ます。
23区の中でも、豊島区(54.9%)や中野区(54.4%)は単身者向けの賃貸が集中し民営借家率が高い一方、江東区(32.7%)・葛飾区(33.5%)・足立区(34.8%)はファミリー層の持ち家比率が相対的に高く、低めに出ています。最高の豊島区と最低の江東区では約1.7倍の差があります。同じ「東京の賃貸市場」でも、区によってターゲットとなる入居者層が異なることがデータから読み取れます。
東京都内の地域分布(2023年)
東京都の市区町村別に民営借家率を地図で見ると、都心から郊外への勾配が見えてきます。
民営借家率は都心の区で高く、郊外の市部に向かって下がる同心円状の勾配を描きます。豊島区・中野区・新宿区など山手線沿線の区が濃く塗られ、多摩地域の市部に向かうほど持ち家中心の構造に変わっていきます。賃貸投資のエリアを絞り込むうえで、こうした都市内の勾配を把握しておくと、単身者向けかファミリー向けかといった物件タイプの判断材料になります。
このデータの読み方と注意点
本記事は e-Stat 社会・人口統計体系の市区町村別住宅データ(h_municipal_housing)を 2026-07-11 時点で取得して集計しています。もとになっているのは総務省統計局の住宅・土地統計調査の2023年(令和5年)調査で、5年ごとに実施されます。地図の境界は国土数値情報の行政区域データを使いました。
民営借家率は、民営借家数(H1322)を居住世帯あり住宅数(H1101)で割って算出しています。空き家や別荘などの居住世帯なし住宅は分母に入れていません。賃貸需要の厚さを見るには、実際に人が住んでいる住宅のうちどれだけが民営借家かを見るほうが実態に近いためです。全国ランキングでは居住世帯あり住宅数が2万戸未満の市区町村を除いています。母数が小さい町村では標本調査の誤差で比率が大きく振れ、上位が小規模自治体で埋まってしまうためです。東京23区と東京都の地図には、この2万戸の条件を適用していません。
このデータでは家賃水準や空室率、築年数は分かりません。民営借家率が高いことは賃貸住宅のストックが厚いことを示すだけで、需要が供給を上回っているかどうかまでは判断できません。また公営・公社・都市再生機構の借家と給与住宅は民営借家に含まれないため、公的賃貸の多い地域では民営借家率が低めに出ます。調査年は2023年の1時点で、その後の新規供給や人口移動は反映されていません。
業務への活用
市区町村・区レベルの民営借家率は、賃貸投資・開発エリアの一次スクリーニングに使えます。
- エリアの絞り込み: 都道府県ではなく市区町村・区の単位で民営借家率を比較し、賃貸需要が構造的に厚いエリアを抽出する
- 物件タイプの判断: 民営借家率の高い都心区は単身者向け、低めの郊外はファミリー向けと、エリアの需要層に合わせた物件企画につなげる
- 都市内の勾配把握: 同一都市内でも区によって需要が異なるため、都市全体の平均ではなく区単位で評価する
賃貸需要の濃淡は、都道府県の平均値ではなく市区町村・区まで下ろして初めて見えてきます。同じ都市の中にも、単身者向けが集中するエリアとファミリー層の持ち家が中心のエリアが同居しています。こうした比較の土台になるデータを、Queriaは整えた形で公開しています。e-Statをはじめとする官公庁のオープンデータについて、列名・単位・文字コードを揃え、テーブルやカラムの意味をメタデータとして添えてあります。データを集めて加工する手間をかけずに、本記事で使った市区町村別の住宅統計テーブルから、関心のあるエリアの賃貸需要を読み解けます。統計の整備に時間を取られず、投資エリアの絞り込みそのものに集中できます。
続きや気になることをAIエージェントで深掘りする
Claude Code や Codex に Queria スキル を入れて、下のプロンプトを貼るだけです。ターミナルでも、スマホやブラウザのリモート画面でも使えます。
たとえば「福岡市の各区の民営借家率(民営借家数÷居住世帯あり住宅数)を2023年で出して、博多区・中央区と他の区でどれくらい差があるか並べて。」といった深掘りができます。
Queria の公開データで次を分析してください: 福岡市の各区の民営借家率(民営借家数÷居住世帯あり住宅数)を2023年で出して、博多区・中央区と他の区でどれくらい差があるか並べて。 参考 (この記事): https://queria.io/showcase/municipal-rental-demand-gap.md Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。
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claude "Queria の公開データで次を分析してください: 福岡市の各区の民営借家率(民営借家数÷居住世帯あり住宅数)を2023年で出して、博多区・中央区と他の区でどれくらい差があるか並べて。 参考 (この記事): https://queria.io/showcase/municipal-rental-demand-gap.md Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。"
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