都道府県別の住宅所有形態データで賃貸需要の地域構造を読む

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賃貸住宅の投資や開発を検討するとき、最初に向き合うのが「そのエリアにどれだけ賃貸需要があるか」という問いです。物件サイトの掲載数や地元業者へのヒアリングも有効ですが、地域全体の住宅の所有形態(持ち家か借家か)を押さえておくと、そのエリアの賃貸市場が構造的に厚いのか薄いのかをマクロな視点で捉えられます。

この記事では、住宅・土地統計調査をもとにした e-Stat「社会・人口統計体系」の都道府県別住宅データを使い、持ち家率と民営借家率の地域差を読み解きます。

データの概要

住宅の所有形態は、都道府県別住宅データ(pref_housing)の住宅数カテゴリで把握できます。今回は次の3カテゴリを使います。

コード内容
H1101居住世帯あり住宅数(分母)
H1310持ち家数
H1322民営借家数

持ち家率は持ち家数(H1310)を居住世帯あり住宅数(H1101)で割った割合、民営借家率は民営借家数(H1322)を同じ分母で割った割合として計算します。公営・UR・公社の借家や給与住宅は別カテゴリのため、ここでは民間の賃貸ストックだけを取り出した民営借家率を賃貸需要の代理指標として扱います。

このデータは5年ごとの住宅・土地統計調査によるもので、1978年から2023年まで10時点が収録されています。まず全国値で、持ち家率と民営借家率の長期推移を確認します。

全国の持ち家率は45年間を通じておおむね60%前後で安定しており、2023年も60.9%と1978年の60.4%からほとんど変わっていません。民営借家率は1978年の26.1%から2023年の28.2%へと緩やかに上昇していますが、その変化幅は小さなものです。全国を平らに見ているかぎり、住宅の所有形態はほとんど動いていないように見えます。賃貸需要の差は、時間軸ではなく地域軸に表れます。

民営借家率の都道府県ランキング(2023年)

2023年の民営借家率を全47都道府県で比較します。上位10・中間・下位10を色分けして示します。

民営借家率の上位には沖縄県(44.4%)、東京都(39.6%)、福岡県(35.0%)、大阪府(31.8%)、北海道(31.3%)と、人口流入の多い大都市圏や地方中枢都市を抱える地域が並びます。一方、下位には秋田県(16.7%)、和歌山県(17.3%)、富山県(18.0%)など、持ち家率の高い地方県が集まります。最上位の沖縄県と最下位の秋田県では民営借家率に約2.7倍の開きがあり、賃貸ストックの厚みが地域によって大きく異なることが分かります。

民営借家率が高い地域は、進学・就職・転勤による単身世帯や若年世帯の流入が多く、持ち家を持たない層が一定割合で滞留していると考えられます。賃貸経営の観点では、こうした地域は退去後の次の入居者が見つかりやすく、空室リスクが構造的に低い市場と読めます。

民営借家率の地域分布(2023年)

同じ2023年の民営借家率を地図で見ると、地域のまとまりがより明確になります。

濃く塗られているのは沖縄県・東京都・福岡県・大阪府で、三大都市圏と福岡・沖縄が賃貸市場の厚いエリアであることが視覚的に確認できます。逆に秋田県・和歌山県・富山県といった日本海側や近畿の一部の県は薄く、持ち家中心の住宅構造になっています。賃貸需要は人口集積と強く結びついており、地域の経済圏の中心に近いほど高くなる傾向が読み取れます。

賃貸ストックの絶対量で見る市場規模(2023年)

ただし、民営借家率が高いことと市場が大きいことは別の話です。率は世帯の構成比にすぎないため、実際の賃貸物件の数(民営借家数の絶対量)も合わせて確認します。上位15都道府県を示します。

絶対量で見ると、東京都が286.9万戸と突出し、大阪府(133.6万戸)、神奈川県(128.1万戸)、愛知県(92.5万戸)、福岡県(82.2万戸)と続きます。率のランキングと比べると、エリアごとの性格の違いが見えてきます。

  • 東京都は率(39.6%)でも絶対量でも全国トップで、需要の厚さと市場規模を兼ね備えています
  • 沖縄県は率では全国1位(44.4%)ですが、絶対量は27.9万戸にとどまり、高い入居率が見込める一方で市場規模そのものは大都市圏に及びません
  • 埼玉県・千葉県は率では上位10に入りませんが、世帯数の多さから絶対量では全国6位・8位に入り、ベッドタウン型の大きな賃貸市場を形成しています

率は空室リスクの低さを、絶対量は市場の大きさと取引機会の多さを示します。投資エリアを選ぶ際は、この2軸を組み合わせて、自社の物件規模や運営体制に合った地域を見極めることが重要です。

業務への活用

このデータは、賃貸住宅の投資・開発エリアを検討する際の一次スクリーニングに使えます。

  • 投資エリアの絞り込み: 民営借家率(空室リスクの低さ)と絶対量(市場規模)の2軸で候補地域をふるいにかける
  • 住環境の把握: 出店や事業所開設の際、そのエリアが持ち家中心か賃貸中心かを掴み、従業員の住まい確保のしやすさを評価する
  • 自治体の住宅政策: 民営借家への依存度が高い地域では、家賃補助や賃貸住宅の質の確保が政策課題になりやすい

民営借家率と絶対量は構造的な需要の地図を描くための出発点です。実際の投資判断では、ここに人口の増減や世帯数の推移、地価の動向を重ねることで、より精度の高いエリア評価ができます。Queriaなら、住宅・人口・地価といった複数の統計をSQLで自在に組み合わせて分析できます。

本記事はAIを活用して作成し、編集部が内容を確認しています。記事内のSQLを実行してデータをご自身で検証いただけます。

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