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持ち家離れは起きていない——45年で割合が減ったのは社宅と公的賃貸

賃貸住宅が増えた理由として、持ち家をあきらめる世帯が増えたという説明がよく使われます。住宅・土地統計調査を1978年から2023年まで10回分並べると、この説明は成り立ちません。全国の持ち家率は60.5%から63.5%へ3.0ポイント上がっています。同じ45年で割合を落としたのは、社宅や公務員住宅を含む給与住宅と、公営・UR・公社の借家でした。

所有関係の4区分と、分母の取り方

住宅の所有関係は、e-Stat 社会・人口統計体系の都道府県別住宅データ(h_pref_housing)に次のコードで収録されています。項目定義 H 居住によれば、いずれも10月1日時点の戸数です。

コード 内容 定義
H1310 持ち家数 居住している世帯が全部または一部を所有している住宅
H1320 借家数 下の3区分の合計
H1321 公営・UR・公社の借家数 都道府県・市区町村・UR・住宅供給公社が所有または管理する賃貸住宅のうち、給与住宅でないもの
H1322 民営借家数 国・都道府県・市区町村・UR・公社以外が所有または管理する賃貸住宅のうち、給与住宅でないもの
H1323 給与住宅数 社宅・公務員住宅など、勤め先が職務の都合や給与の一部として住まわせる住宅
H1101 居住世帯あり住宅数 持ち家数と借家数の合計に、所有関係が不詳の住宅を加えたもの

本文で持ち家率・民営借家率などと呼ぶ比率は、持ち家数(H1310)と借家数(H1320)の和を分母にしています。居住世帯あり住宅数(H1101)を分母に使わないのは、所有関係が不詳の住宅が45年で0.22%から4.18%へ増えているためです。居住世帯あり住宅数を分母にすると、不詳が増えたぶんだけすべての区分の割合が下がります。

不詳を分母に含めた持ち家率は1978年60.4%・2023年60.9%で、45年間動いていないように見えます。判明分だけで数え直すと60.5%から63.5%になり、3.0ポイントの上昇が現れます。持ち家率が横ばいだという読み方は、この不詳の増加が作っていたものです。

なお判明分を分母にした割合は、所有関係が不詳の住宅も判明した住宅と同じ構成を持つという仮定の上に立っています。また2013年と2018年の調査は、福島第一原発事故の避難地域を抽出の対象から外しています。

全国で入れ替わったのは借家の中身

持ち家を除いた残りが借家で、その中は3区分に分かれます。割合を10回分並べます。

給与住宅は5.7%から2.4%へ3.3ポイント、公営・UR・公社の借家は7.6%から4.6%へ3.0ポイント下がりました。上がったのは民営借家の3.2ポイント(26.2%から29.4%)と持ち家の3.0ポイントです。この2つは一本調子ではなく、持ち家率は1983年の62.6%から1993年の60.8%まで一度戻したあとに上がり、民営借家率は2018年の29.5%が最も高い値です。公営・UR・公社の借家の割合は1983年が最も高く、それ以降は一度も前回を上回っていません。

割合ではなく戸数で見ると、減ったと言えるのは給与住宅だけです。

給与住宅は1,838,800戸から1,302,100戸へ29.2%減りました。ただし最も少なかったのは2018年の1,099,900戸で、2023年はそこから18.4%戻しています。公営・UR・公社の借家は2003年の3,118,600戸が最大で、2023年は2,476,200戸とそこから20.6%減っています。ただし2023年の2,476,200戸は1978年の2,442,000戸をわずかに上回っており、45年で見れば横ばいです。所有関係が判明した住宅が1.66倍になる中で、給与住宅は減り公的賃貸はほとんど増えなかったため、割合が落ちました。

民営借家は8,408,300戸から15,683,500戸へ1.87倍になりました。賃貸住宅の事業から見ると、この民営借家が割合を3.2ポイント伸ばした相手は持ち家ではありません。勤め先が用意する住まいと、自治体・URが用意する住まいです。

都道府県では持ち家率の向きがそろわない

1978年から2023年への持ち家率の変化を、47都道府県すべてについて出します。

上がったのは20都道府県、下がったのは27県で、向きが割れています。全国で見えた3.0ポイントの上昇は、都道府県に共通する動きではありません。最大の上昇は大阪府で44.2%から57.1%へ、最大の低下は沖縄県で63.4%から45.7%へ動いています。

住宅・土地統計調査は標本調査なので、都道府県の値は推計値です。標準誤差は推定値が小さい県ほど大きく、2023年調査の推定値の大きさ別標準誤差率(都道府県・甲乙両調査票)を次の表の戸数に当てると県ごとに確かめられます。この図の1ポイント前後の変化は、県によっては誤差の内側に入ります。5ポイント以上動いた17都道府県と、次に見る符号のそろい方が、その影響を受けない部分です。

47都道府県それぞれの持ち家率と、所有関係4区分の45年の変化は次のとおりです。

4区分ごとに上がった数と下がった数を数えます。

給与住宅の割合は47都道府県すべてで下がり、中央値は2.3ポイントの低下です。公営・UR・公社の借家は44都道府県で下がりました。上がったのは沖縄県・高知県と、47都道府県の表では 0 と出るほどわずかな増加の島根県の3県です。島根県の増加は、上がったか下がったかを読み取れる大きさではありません。民営借家は41都道府県で上がり、下がったのは東京都・神奈川県・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県の6都府県です。この6都府県はいずれも持ち家率が上がった側で、上昇幅の大きい順に並べた上位7つのうち6つを占めます(残る1つは北海道です)。

47都道府県すべてで給与住宅の割合が下がることは、県ごとの抽出のばらつきでは作れません。一方、給与住宅と公的賃貸が落とした分をどの区分が引き取ったかは、地域で違います。民営借家の割合が下がった関東・関西の6都府県では、持ち家が上がりました。残る41都道府県では民営借家の割合が上がっていますが、うち8道府県は持ち家の上昇幅のほうが大きく、北海道は持ち家が8.4ポイント・民営借家が4.3ポイントです。

縮んだのは都道府県の間の差

持ち家率の水準そのものは、県の間で近づいています。

1978年は最も高い富山県85.0%と最も低い東京都40.8%で44.2ポイント開いていましたが、2023年は秋田県78.7%と沖縄県45.7%で33.0ポイントです。最も小さかったのは2018年の30.9ポイントで、2023年はそこから2.1ポイント開き直しています。最も低い都道府県が東京都から沖縄県に替わったのも2018年からです。

沖縄県の17.7ポイントの低下は持ち家が減った結果ではない

27県が下がった中で、沖縄県の低下幅だけが突出しています。戸数を並べます。

沖縄県の持ち家は175,000戸から267,100戸へ1.53倍に増えています。同じ45年で民営借家が83,100戸から278,600戸へ3.35倍になり、居住世帯あり住宅数は2.27倍になりました。持ち家率が下がったのは、増えた住宅の半分以上が民営借家だったためです。持ち家の戸数は2013年の258,100戸から2018年の255,900戸へ一度減り、2023年に戻しています。

まとめ

  • 全国の持ち家率は1978年の60.5%から2023年の63.5%へ3.0ポイント上がっています。横ばいに見えるのは、所有関係が不詳の住宅が0.22%から4.18%に増え、それを分母に含めているためです
  • 45年で割合を落としたのは給与住宅(5.7%から2.4%)と公営・UR・公社の借家(7.6%から4.6%)で、上がったのは民営借家(26.2%から29.4%)と持ち家(60.5%から63.5%)です
  • 給与住宅の割合は47都道府県すべてで、公営・UR・公社の借家は44都道府県で下がっています。関東・関西の6都府県では民営借家の割合も下がり、その受け皿は持ち家でした
  • 持ち家率そのものは20都道府県で上がり27県で下がっていて、全国の3.0ポイントの上昇は都道府県に共通する動きではありません。県の間の差は1978年の44.2ポイントから2023年の33.0ポイントへ縮んでいます
  • 沖縄県は持ち家率が17.7ポイント下がって全国最低になりましたが、持ち家の戸数は1.53倍に増えています。民営借家が3.35倍になったための低下です

データの出典

本記事は e-Stat 社会・人口統計体系の都道府県別住宅データ(h_pref_housing)を 2026-09-12 時点で取得して集計しています。もとになっているのは総務省統計局の住宅・土地統計調査で、1978年から2023年までの5年ごと10回分、各回10月1日時点の値です。1998年より前の4回は住宅統計調査の名称で実施されています。最新回は令和5年調査で、標本誤差の判定にはその推定値の大きさ別標準誤差率の都道府県・甲乙両調査票の表を使いました。

賃貸住宅の需要がどこから来ているかは、借家を一つの塊として数えているかぎり見えてきません。所有関係を4区分に割り、45年分を都道府県ごとに並べて初めて、社宅と公的賃貸の縮小という形が出てきます。Queriaはこうした行政のオープンデータについて、列名・単位・地域コードの体系を揃え、テーブルやカラムの意味をメタデータとして添えた形で公開しています。データを集めて整える手間をかけずに、本記事で使った都道府県別の住宅テーブルから、自社の商圏に入る地域の所有関係を確かめられます。

続きや気になることをAIエージェントで深掘りする

Claude Code や Codex に Queria スキル を入れて、下のプロンプトを貼るだけです。ターミナルでも、スマホやブラウザのリモート画面でも使えます。

たとえば「市区町村別の住宅テーブル(h_municipal_housing)で、給与住宅数(H1323)と公営・UR・公社の借家数(H1321)が2003年から2023年にどれだけ減ったかを自分の県の市区町村ごとに出して。民営借家数(H1322)の増加と並べて比べたい」といった深掘りができます。

Queria の公開データで次を分析してください: 市区町村別の住宅テーブル(h_municipal_housing)で、給与住宅数(H1323)と公営・UR・公社の借家数(H1321)が2003年から2023年にどれだけ減ったかを自分の県の市区町村ごとに出して。民営借家数(H1322)の増加と並べて比べたい
参考 (この記事): https://queria.io/showcase/housing-tenure-regional-gap.md
Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。
ターミナル(CLI)で始める
claude "Queria の公開データで次を分析してください: 市区町村別の住宅テーブル(h_municipal_housing)で、給与住宅数(H1323)と公営・UR・公社の借家数(H1321)が2003年から2023年にどれだけ減ったかを自分の県の市区町村ごとに出して。民営借家数(H1322)の増加と並べて比べたい
参考 (この記事): https://queria.io/showcase/housing-tenure-regional-gap.md
Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。"

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本記事はAIエージェントがQueriaの公開データを分析して作成し、別のエージェントが記事内のSQLをすべて実行して本文と照合したうえで、が公開前に確認しています。記事の数値はすべて掲載しているSQLから再現できます。