
災害に備える計画をつくった会社が多いのは、被害の大きかった県ではなく、ものづくりの街でした
取引先の工場が水につかったり、道路が寸断されて部品が届かなくなったりしたとき、その会社が何日で立ち直れるかは、事前にどこまで手を打っていたかで決まります。中小企業がこの備えを形にする方法のひとつが、中小企業庁の事業継続力強化計画の認定です。自然災害のリスクを見積もり、設備・人員・連絡体制をどう守るかを計画にまとめて申請すると、経済産業大臣の認定を受けられます。
認定を受けた会社はgBizINFOに法人番号つきで公開されるので、どの会社が備えを計画にしたのかを外から数えられます。この記事では、その記録を国税庁の法人番号公表サイトのデータと突き合わせ、会社1万社あたり何社が認定を受けているかを都道府県別・市区町村別に数えます。想定している読者は、取引先に防災投資や事業継続の相談を持ちかける立場の人——地方銀行や信用金庫の法人営業担当者です。自分の営業エリアが全国のどのあたりにいるのかが分かれば、提案の余地がどれくらい残っているかも見えてきます。
gBizINFOの認定情報には何が入っているか
gBizINFOの認定・届出情報テーブル(mart_gbizinfo_certification)は、各省庁の認定・登録・届出を法人番号つきで1件1行に収めています。制度名はtitle列に入っていて、件数の多いものは次のとおりです。
| 制度名 | 件数 |
|---|---|
| 競争参加資格 | 70,852 |
| 事業継続力強化計画認定 | 33,598 |
| 認定経営革新等支援機関 | 5,896 |
| 経営力向上計画認定 | 3,735 |
| DX認定制度 | 3,055 |
| 適格機関投資家等特例業務届出者 | 2,128 |
| 金融商品取引業者登録 | 1,953 |
| ユースエール認定 | 1,926 |
ここで使うのは事業継続力強化計画認定の33,598件です。法人番号でまとめると32,629社になり、そのうち法人番号公表サイトに会社(株式会社・有限会社・合名会社・合資会社・合同会社)として載っているのは32,244社でした。同じ範囲で数えた会社の総数は4,440,382社なので、全国では会社1万社あたり72.6社が認定を受けている計算になります。
収録されているのは2023年2月から2026年6月までに認定された分です。制度が始まってからの累計ではないので、以下の数字は「いま有効な認定」の密度として読んでください。
1位の徳島県は、47位の沖縄県の11倍
都道府県別に、会社1万社あたりの認定数を並べます。分子はその県に本店を置く会社のうち認定を受けているもの、分母は同じ県の会社の総数です。
1位は徳島県の404.8社で、2位の高知県178.9社に2倍以上の差をつけています。以下、富山県176.8社、福井県156.8社、香川県154.4社、静岡県153.7社と続きます。反対に最も少ないのは沖縄県の35.3社で、その上が東京都の36.9社、神奈川県48.0社、島根県52.0社、鹿児島県53.6社です。1位と47位の差はおよそ11倍で、全国の中央値は89.9社でした。
下位に東京都・神奈川県・大阪府・京都府・福岡県・北海道と、大都市を抱える都道府県が並ぶのが目を引きます。ただし分母は法人番号公表サイトに登記が残っている会社なので、実際には動いていない会社も含みます。持株会社や事業実体の薄い法人が集まりやすい都市部では、そのぶん密度が低めに出ることは差し引いて読む必要があります。
もうひとつ、この数字は「備えている会社の数」ではなく「備えを国の認定という形にした会社の数」です。認定を取らずに自前で事業継続計画をつくっている会社は含まれません。
大きな被害を受けた県ほど多い、というわけではありません
上位に徳島県・高知県・静岡県・三重県・香川県が並ぶのを見ると、災害のリスクが語られてきた地域ほど備えが進んでいるように思えます。では、実際に大きな被害を受けてきた県はどうでしょうか。
e-Statの社会・人口統計体系には、都道府県別の災害被害額(K5112)が1985年度から2023年度までの39年分、百万円単位で収録されています。この合計を2020年の総人口(A1101)で割った「住民1人あたりの累積被害額」を横軸に、先ほどの認定密度を縦軸に取ります。被害額は物価の調整をしていない各年度の金額をそのまま足したもので、分母の人口も2020年の1時点なので、県の間の桁を見比べるための目安として読んでください。被害額は県によって3桁近く開くので、横軸は対数目盛にしています。
点は横に広がるだけで、右上がりの並びにはなりません。累積被害額が最も大きい宮城県は認定密度で30位(81.8社)、2位の兵庫県は34位(69.0社)、4位の熊本県は37位(62.5社)、6位の福島県は35位(67.8社)と、いずれも全国の真ん中から下に位置しています。被害額の上位10県のうち、認定密度でも上位10に入るのは高知県(2位・178.9社)だけでした。
一方の徳島県は、累積被害額では21位です。被害額が全国有数というわけではない県が、認定密度では2位に2倍以上の差をつけている——過去にどれだけ被害を受けたかは、備えを計画にした会社の多さをほとんど説明していません。
差がついているのは、ものづくりの街かどうか
では何が効いているのでしょうか。市区町村まで粒度を下げて、産業の構成と並べてみます。
2020年の国勢調査から、その市区町村に住む就業者数(F1102)と、そのうち第2次産業で働く人の数(F2211)を取り、第2次産業の割合を出します。第2次産業には製造業のほか建設業や鉱業が含まれます。この割合で、両方のデータがそろった1,740市区町村を5つのグループに分け、グループごとに認定数の合計を会社数の合計で割りました。政令指定都市の行政区は市の単位にまとめています。
きれいに階段状になりました。第2次産業の割合が15%未満のグループは1万社あたり38.2社、15〜20%が58.0社、20〜25%が85.0社、25〜30%が112.1社、30%以上が127.6社です。最も高いグループは最も低いグループの3.3倍にあたります。
個別の市区町村でも確かめます。会社が1,000社以上ある市区町村に絞って、認定密度の高い順に15件を並べます。
首位は徳島県阿南市の496.5社で、全国平均72.6社のおよそ7倍です。以下、徳島県吉野川市470.2社、静岡県牧之原市454.5社、千葉県富津市372.0社、香川県観音寺市371.9社と続きます。15件のうち4件が徳島県の市で、残りは群馬県大泉町、埼玉県深谷市、新潟県燕市、石川県能美市のように、特定の産業の工場が集まる地方都市が目立ちます。
大企業が自社の供給網を守るために、部品や加工を担う取引先に事業継続の備えを求める動きがあります。こうした要請を受けやすい会社ほど計画を形にしているとすれば、被害の実績ではなく産業構成のほうが効いていることの説明になります。加えて、認定の申請は商工会議所や自治体の支援を受けて進むことが多く、徳島県のように県内の複数の市が上位に固まる形は、地域ぐるみの推進があったことをうかがわせます。
業務での使い方
- 自分の営業エリアの市区町村を同じ式で数え、全国の中央値(1万社あたり89.9社)と比べる。下回っていれば、それだけ手つかずの取引先が残っている
- 取引先の法人番号でgBizINFOの認定情報を引き、認定の有無と認定日を確かめる。認定日から時間が経っている先は、計画の見直しを持ちかける入口になる
- 第2次産業の割合が高いのに認定密度が低い市区町村を探す。供給網からの要請が来やすいのに備えが進んでいない地域で、防災・減災の設備投資の相談が生まれやすい
データの出典
本記事は経済産業省のgBizINFOの認定・届出情報、国税庁法人番号公表サイトの基本3情報、e-Statの社会・人口統計体系を2026年8月23日時点で取得して集計しています。認定は2023年2月から2026年6月まで、災害被害額は1985年度から2023年度まで、第2次産業就業者数は2020年の国勢調査の値です。
どの会社が備えを計画にしたのかは、認定の記録と法人番号、そして地域の産業構成を同じ地域単位でそろえて初めて数えられます。こうした突き合わせの土台になるデータを、Queriaは整えた形で公開しています。省庁ごとに別々に公表されるオープンデータについて、列名・単位・文字コードを揃え、法人番号や地域コードで結合できる形にして、テーブルやカラムの意味をメタデータとして添えてあります。本記事で使った認定・届出情報テーブルから、担当エリアの認定先を名前で確かめたり、法人番号テーブルと合わせて市区町村ごとの母数を数え直したりできます。行政データの整備に時間を取られず、どの取引先にどの話を持っていくかの判断そのものに集中できます。
続きや気になることをAIエージェントで深掘りする
Claude Code や Codex に Queria スキル を入れて、下のプロンプトを貼るだけです。ターミナルでも、スマホやブラウザのリモート画面でも使えます。
たとえば「gbizinfo.main.mart_gbizinfo_certification の title が '事業継続力強化計画認定' の法人を houjin_bangou.main.mart_houjin_bangou と法人番号で突き合わせて、自分の県の市区町村別に会社1万社あたりの認定数を出して。認定数と会社数の実数も一緒に見せて」といった深掘りができます。
Queria の公開データで次を分析してください: gbizinfo.main.mart_gbizinfo_certification の title が '事業継続力強化計画認定' の法人を houjin_bangou.main.mart_houjin_bangou と法人番号で突き合わせて、自分の県の市区町村別に会社1万社あたりの認定数を出して。認定数と会社数の実数も一緒に見せて 参考 (この記事): https://queria.io/showcase/bcp-plan-manufacturing-towns.md Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。
ターミナル(CLI)で始める
claude "Queria の公開データで次を分析してください: gbizinfo.main.mart_gbizinfo_certification の title が '事業継続力強化計画認定' の法人を houjin_bangou.main.mart_houjin_bangou と法人番号で突き合わせて、自分の県の市区町村別に会社1万社あたりの認定数を出して。認定数と会社数の実数も一緒に見せて 参考 (この記事): https://queria.io/showcase/bcp-plan-manufacturing-towns.md Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。"
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