
交通事故28万件を条件別に数える——事故が死亡に至るのはどんなときか
交通事故は、起きた件数そのものより「どれだけ深刻な結果になったか」に目が向きがちです。ただ、日々起きている事故の大半は幸いにも負傷にとどまり、死亡に至るのはごく一部です。では、同じ事故でも死亡に至るかどうかは、何によって分かれるのでしょうか。
この記事では、警察庁がまとめる交通事故のオープンデータを使い、2024年(令和6年)に全国で記録された交通事故を1件ずつ数え直します。このデータは事故1件を1レコードとして、発生日時・発生場所(緯度経度)・事故類型・道路形状・天候などを収めています。各事故は「死亡事故」か「負傷事故」に区分されており、ここでは事故件数のうち死亡事故が占める割合を「死亡事故の割合」と呼び、事故類型・時間帯・道路形状・地域の4つの切り口で比べます。
まず全体像を数える
2024年に記録された交通事故は282,376件で、そのうち死亡事故は2,591件でした。全体に占める割合は0.92%——事故のおよそ100件に1件が死亡事故という水準です。事故類型(accident_pattern)で見ると、内訳は次のようになります。
件数で圧倒的に多いのは車両どうしの衝突「車両相互」で233,191件、全体の82.6%を占めます。次いで歩行者と車の「人対車両」が37,328件、車が単独で電柱やガードレールなどに衝突する「車両単独」が11,803件と続きます。踏切などで列車と衝突する「列車」は54件とごくわずかです。
ところが死亡事故の割合を見ると、件数の順序とはまったく違う姿になります。件数最多の車両相互は0.39%と最も低く、人対車両は2.46%、車両単独は6.16%です。件数がごく少ない列車は例外的に高いため、以下では母数の十分な主要3類型を比べます。
車両単独事故が死亡に至る割合は、車両相互のおよそ16倍にのぼります。車どうしの衝突は件数こそ最も多いものの、互いに減速や回避が働きやすく、死亡に至る割合は最も低くなっています。一方、車が単独で固定物に突っ込む事故や、歩行者が巻き込まれる事故は、衝撃を吸収するものが少なく、深刻な結果につながりやすいと考えられます。件数の多さと結果の深刻さは、必ずしも一致しません。
事故が死亡に至りやすい時間帯
次に、事故が起きた時刻別に死亡事故の割合を見ます。時間帯によって、道路の空き方も走行速度も、周囲に助けを呼べる人がいるかも変わります。
死亡事故の割合は、時間帯によって大きく上下します。最も低いのは通勤・通学が集中する朝で、8時台は0.40%、7時台は0.50%。ここから夜に向かって上がり続け、深夜から明け方にかけて跳ね上がります。ピークは午前3時台の6.70%で、朝8時台のおよそ17倍です。事故の絶対数は日中のほうがはるかに多いものの、1件あたりが死亡に至る割合は、人も車もまばらな深夜帯で突出して高くなります。速度の出やすさや発見の遅れが影響していると考えられますが、その理由までをこのデータから特定することはできません。
交差点より「単路」、とくにカーブが深刻
事故が起きた場所の道路形状(road_shape)でも、死亡事故の割合は分かれます。ここでは母数が1,000件以上ある形状に絞って比べます。
最も高いのは「単路-カーブ・屈折」で5.28%、次いで「単路-トンネル」が3.93%です。単路とは交差点でない一般の道路区間を指します。一方、事故件数が最も多い「交差点-その他」は0.71%と低く、交差点付近もほぼ同水準です。信号や標識で速度が落ち、出会い頭でも低速で衝突しやすい交差点に対し、見通しの利く直線やカーブでは速度が乗ったまま単独事故につながりやすい——先ほどの事故類型の傾向とも重なります。カーブでの死亡事故の割合は、交差点のおよそ7倍にのぼります。
地域による差——都市部は低く、地方は高い
最後に、都道府県別に死亡事故の割合を地図で見ます。北海道は元データが方面本部ごとに分かれているため、ここでは合算して1つの北海道として扱っています。色が濃いほど、事故が死亡に至った割合が高い地域です。
死亡事故の割合が最も低いのは東京都と静岡県で、いずれも約0.50%。神奈川県・大阪府・福岡県・愛知県といった大都市を抱える都府県が下位に並びます。逆に高いのは秋田県(3.13%)・和歌山県(2.78%)・福井県(2.52%)などで、上位と下位ではおよそ6倍の開きがあります。都市部は交通量が多く事故件数自体は多いものの、渋滞や信号で速度が抑えられ、病院への搬送も速くなります。地方では走行速度が高く、単独事故や夜間の事故の比重も大きくなりやすいと考えられます。ここまで見てきた「事故類型」「時間帯」「道路形状」の傾向が、地域差として重なって現れているとも読めます。
まとめ
2024年の交通事故約28万件を条件別に数え直すと、次のような構造が見えてきました。
- 事故全体の82.6%は車両どうしの衝突だが、死亡事故の割合は0.39%と最も低く、車両単独事故(6.16%)はその約16倍
- 死亡事故の割合は深夜から明け方に跳ね上がり、午前3時台(6.70%)は朝8時台(0.40%)のおよそ17倍
- 交差点より単路、とくにカーブ・屈折(5.28%)で高く、都市部より地方の県で高い
事故の件数と、その事故が死亡に至る割合はまったく別の顔をしています。1件ずつの記録を、類型・時刻・道路形状・地域といった条件でそろえて数え直して初めて、「どんなときに事故は深刻になるのか」という輪郭が見えてきます。
このデータの読み方と注意点
本記事は警察庁の交通事故統計情報のオープンデータのうち、2024年(令和6年)の本票を2026年7月23日時点で取得して集計しています。対象は全国で記録された282,376件の交通事故です。
集計にあたっては、道路形状別の比較で件数1,000件未満の形状を除きました。母数が小さいと1件の死亡事故で割合が大きく動き、形状ごとの傾向として読めなくなるためです。事故類型の比較でも、54件しかない「列車」を外して母数の十分な3類型に絞っています。都道府県別の集計では、元データが方面本部ごとに分かれている北海道を1つの北海道として合算しました。
ここで扱っている「死亡事故の割合」は、事故の件数のうち死亡事故が占める割合であり、負傷者や死者の人数を分母にした致死率とは別の指標です。またこのデータは警察が交通事故として認知し記録したものに限られるため、届出のなかった事故は含まれません。死亡事故か負傷事故かの区分も警察庁の集計基準によるものです。事故が死亡に至った理由まではこのデータからは分からず、走行速度や救急搬送時間といった要素は記録されていません。
こうした分析の土台になるデータを、Queriaは整えた形で公開しています。事故1件ごとの記録を、発生時刻や道路形状として扱いやすい列にそろえ、緯度経度や都道府県の境界データと組み合わせられる形にして、テーブルやカラムの意味をメタデータとして添えてあります。本記事で使った交通事故テーブルから、自分の関心のある地域や道路条件に絞って数え直したり、発生場所の分布を地図で確かめたりと、同じデータを自分の視点で掘り下げられます。
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Claude Code や Codex に Queria スキル を入れて、下のプロンプトを貼るだけです。ターミナルでも、スマホやブラウザのリモート画面でも使えます。
たとえば「事故類型(accident_pattern)が車両単独のものに絞って、道路形状(road_shape)別の事故件数と死亡率(accident_typeが死亡の割合)を出して、単独事故が死亡に至りやすい場所を確かめて」といった深掘りができます。
Queria の公開データで次を分析してください: 事故類型(accident_pattern)が車両単独のものに絞って、道路形状(road_shape)別の事故件数と死亡率(accident_typeが死亡の割合)を出して、単独事故が死亡に至りやすい場所を確かめて 参考 (この記事): https://queria.io/showcase/traffic-accident-fatal-conditions.md Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。
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