
街頭犯罪9万件を手口で数える——自転車盗はいつ・どんな施錠状況で起きるか
ひったくりや車上ねらいといった「街頭犯罪」は、私たちの生活のすぐそばで起きています。近年は一部の都道府県警察が、こうした被害を1件ごとに記録したオープンデータを公開するようになりました。いつ・どこで・どんな手口で起き、被害に遭った自転車や車が施錠されていたかまで、細かく残されています。
この記事では、警察庁がまとめる犯罪オープンデータのリンク集を通じて各府県警察が公開している街頭犯罪データを使い、2024年(令和6年)に記録された窃盗の街頭犯罪を1件ずつ数え直します。手口の内訳・発生時刻・施錠状況の3つの切り口から、街頭犯罪の姿を確かめます。
まず手口を数える
このデータは、街頭犯罪にあたる窃盗を1認知件1レコード・町丁目単位で収録したものです。各行に発生日時・発生場所・手口・被害車両の施錠状況などが収められています。手口(modus)は、警察庁の様式にならって「ひったくり」「車上ねらい」「部品ねらい」「自動販売機ねらい」「自動車盗」「オートバイ盗」「自転車盗」の7種類に分かれます。まずは手口ごとに件数を数えます。
2024年に9府県(栃木・千葉・神奈川・愛知・京都・大阪・佐賀・宮崎・鹿児島)で記録された街頭犯罪は93,132件でした。全国のすべての都道府県ではなく、この形式でデータを公開している府県に限られる点に注意が必要です。手口別に見ると、最も多いのは自転車盗の67,608件で、全体の72.6%を占めます。次いで車上ねらい(8,591件・9.2%)、部品ねらい(6,800件・7.3%)、オートバイ盗(5,740件・6.2%)と続き、自動車盗は2,959件(3.2%)、ひったくりは280件(0.3%)でした。街頭犯罪のおよそ4件に3件が自転車盗であり、この一手口が全体像を大きく左右しています。
府県別の件数には大きな偏りがあります。件数が最も多いのは大阪府で34,031件、次いで愛知県17,654件、神奈川県16,679件、千葉県13,655件と、大都市を抱える府県が上位に並びます。これは治安の良し悪しというより、人口規模と、そもそもどの府県がデータを公開しているかによる違いです。
手口によって「起きる時間帯」が違う
街頭犯罪は、手口ごとに起きやすい時間帯が異なります。手口ごとの発生を時刻別に数え、その手口の総件数に占める割合(時刻別シェア)として並べると、件数規模の違いに左右されずに時間帯の「かたち」を比べられます。ここでは代表的な自転車盗・車上ねらい・ひったくりの3つを重ねます。
自転車盗(青)は、朝7時台(6.48%)に急に立ち上がり、夕方18時台(9.31%)にもう一つの山を作る、二つのピークを持つ形になります。通勤・通学で自転車が置かれる時間帯と重なっており、生活のリズムに沿って被害が起きていることがうかがえます。車上ねらい(緑)は朝の山がなく、日中から夕方(18時台9.51%)にかけて緩やかに増えます。一方、ひったくり(赤)は朝がほとんどなく、夕方から夜間(19時台9.29%、深夜0時台5.36%)に偏ります。同じ街頭犯罪でも、狙われるものと場面によって時間帯の姿がはっきり分かれます。
盗まれた自転車・車の多くは施錠されていなかった
このデータには、被害に遭った自転車や車が施錠されていたか(lock_status)も記録されています。自転車・車上ねらいでは「施錠した/施錠せず」、オートバイ・自動車では「キーあり(付けたまま)/キーなし」として残されています。手口ごとに、施錠状況が判明したもののうち無施錠だった(またはキーを付けたままだった)割合を計算します。
最も高いのは自動車盗で、施錠状況が判明した被害のうち82.3%がキーを付けたままの状態で盗まれていました。車上ねらい(68.3%)とオートバイ盗(68.2%)も7割近くにのぼります。件数が最も多い自転車盗でも、無施錠の割合は64.6%——盗まれた自転車のおよそ3台に2台は鍵がかかっていませんでした。手口の性格は異なっても、被害車両の多くが無施錠だったという点は共通しています。裏を返せば、施錠という基本的な対策だけでも防げた可能性のある被害が、相当な割合を占めていることになります。
まとめ
2024年の街頭犯罪データを手口・時間帯・施錠状況の3つの切り口で数え直すと、次のような姿が見えてきました。
- 記録された街頭犯罪93,132件のうち、自転車盗が72.6%と大半を占める
- 自転車盗は朝7時台と夕方18時台の二つのピークを持ち、ひったくりは夕方から夜間に偏るなど、手口ごとに時間帯の形が違う
- 施錠状況が判明した被害のうち、無施錠(キー放置を含む)の割合は自動車盗82.3%、自転車盗64.6%と、いずれも高い
このデータの読み方と注意点
本記事は、警察庁の犯罪オープンデータのリンク集からたどれる各府県警察の街頭犯罪データを 2026-07-22 時点で取得して集計しています。収録されているのは2024年(令和6年)に認知された窃盗の街頭犯罪で、対象は栃木・千葉・神奈川・愛知・京都・大阪・佐賀・宮崎・鹿児島の9府県です。
集計は認知件数ベースで、1認知件1レコードとして数えています。時間帯の分析では発生時刻(occurred_hour)が記録されていない行を除いています。発生時刻は「この時間帯までに被害が起きた」という幅を持って記録される場合があり、未記録の行を0時として扱うと深夜帯が過大に見えるためです。施錠状況の分析では、lock_status が「施錠した/施錠せず/キーあり/キーなし」のいずれかである行だけを分母にしています。記録がない行や、施錠という概念があてはまらない手口(部品ねらい・自動販売機ねらい・ひったくり)は除いています。
このデータでは全国の街頭犯罪は分かりません。9府県以外はこの形式での公開がないため、府県間の件数の差は治安の差ではなく、人口規模と公開の有無を反映したものとして読む必要があります。また、認知されなかった被害や、被害届が出されなかった被害は含まれません。lock_status の意味は手口によって異なり、自転車・車上ねらいでは施錠の有無、オートバイ・自動車ではキーを差したままだったかを指すため、手口をまたいだ単純比較には限界があります。
1件ずつの記録を数え直して初めて、街頭犯罪が「いつ・どんな手口で・どんな状況の車両を狙って」起きているかという輪郭が見えてきます。こうした分析の土台になるデータを、Queriaは整えた形で公開しています。府県ごとに様式の異なる犯罪記録を、手口・時刻・施錠状況として扱いやすい列にそろえ、テーブルやカラムの意味をメタデータとして添えてあります。本記事で使った街頭犯罪テーブルから、自分の関心のある府県や手口に絞って数え直したり、発生場所ごとの傾向をたどったりと、同じデータを自分の視点で掘り下げられます。
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たとえば「盗まれた自転車の無施錠率(lock_status)を府県(source_prefecture)別に出して、施錠対策が進んでいる府県とそうでない府県を比べて」といった深掘りができます。
Queria の公開データで次を分析してください: 盗まれた自転車の無施錠率(lock_status)を府県(source_prefecture)別に出して、施錠対策が進んでいる府県とそうでない府県を比べて 参考 (この記事): https://queria.io/showcase/street-crime-theft-patterns.md Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。
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