
障害福祉サービス事業所データで、放課後等デイサービスの供給密度を都道府県別に数える
障害のある子どもが学校の放課後や長期休暇を過ごす場として、放課後等デイサービスが広がってきました。2012年の児童福祉法改正で制度化されて以降、事業所数は急速に増え、いまでは障害福祉サービスの中でも件数の多い部類に入ります。
こうした事業所は、全国のどこにどれだけあるのでしょうか。個々の事業所の開設や制度改正は個別に報じられますが、供給の地域差は、全国の事業所を横断して数え、子どもの人口で割って初めて見えてきます。この記事では、全国の障害福祉サービス等事業所データから、放課後等デイサービスの供給密度を都道府県別に数えます。
使うのは、厚生労働省の障害福祉サービス等情報公表制度に基づき独立行政法人福祉医療機構(WAM NET)が公表する事業所情報から抽出した障害福祉サービス等事業所データ(establishment)です。障害者総合支援法・児童福祉法に基づくサービスを提供する事業所を1レコードで収録し、所在地・緯度経度・法人番号・サービス種類などを持ちます。同一の法人・所在地でも、提供するサービス種類ごとに別レコードになる点に注意が必要です。
全体の規模を数えると、レコード数は209,452件、サービス種類は29、都道府県は47すべてにわたります。まず、件数の多いサービス種類の上位を見てみます。
最も多いのは居宅介護(ホームヘルプ)で25,386件、次いで放課後等デイサービスが25,020件、重度訪問介護が21,153件、就労継続支援B型が20,783件と続きます。障害のある子どもを対象にした通所支援では、放課後等デイサービスと児童発達支援(16,993件)が上位に並びます。放課後等デイサービスは主に就学児童(原則6〜18歳)が、児童発達支援は主に未就学児が対象です。
ここからは、件数が最も多い子ども向けの通所支援である放課後等デイサービスに絞って、供給の地域差を見ていきます。事業所数をそのまま比べると人口の多い都道府県が上位に来るため、規模をそろえる基準として15歳未満人口を使い、15歳未満人口1万人あたりの事業所数(供給密度)を求めます。15歳未満人口は社会・人口統計体系の都道府県データ(a_pref_population、指標コード A1301)の2024年の値を用いました。放課後等デイサービスの対象は就学児童が中心のため、15歳未満人口はあくまで規模をそろえるための人口基準である点に留意してください。
まず、15歳未満人口1万人あたりの放課後等デイサービス事業所数を、都道府県ごとに地図で見てみます。色が濃いほど供給密度が高いことを表します。
九州・沖縄や北海道、近畿の一部で色が濃く、関東や東北、北陸で薄くなる傾向が読み取れます。同じ全国制度のサービスでも、子どもの数に対する事業所の厚みは地域によってかなり異なることが分かります。次に、この供給密度を全47都道府県で正確に並べてみます。
全47都道府県を、15歳未満人口1万人あたりの放課後等デイサービス事業所数の高い順に並べました。上位10・中間・下位10を色で分けています。
上位は鹿児島県(33.04件)、北海道(29.32件)、沖縄県(27.71件)、佐賀県(25.40件)、大阪府(25.02件)と続きます。九州・沖縄と北海道、それに大阪府といった地域で、子どもの数に対する事業所の密度が高くなっています。
対照的に、下位は東京都(9.23件)、新潟県(12.77件)、香川県(12.79件)、長野県(13.51件)、神奈川県(13.85件)と並びます。とりわけ東京都は、15歳未満人口が全国で最も多いにもかかわらず、供給密度は最下位です。最も高い鹿児島県と最も低い東京都では、子ども1万人あたりの事業所数に約3.6倍の開きがあります。
供給密度が高いことは、それだけ子どもや家庭にとって選択肢が多いことを意味しますが、そのまま需要が満たされている度合いを表すわけではありません。地域によって障害のある子どもの割合や通所の必要性、事業所あたりの定員は異なるため、密度の高低は供給体制の厚みの目安として読むのが妥当です。それでも、これだけの地域差があること自体が、放課後等デイサービスの広がり方の偏りを示しています。
放課後等デイサービスの供給が厚い地域は、未就学児を対象とする児童発達支援でも供給が厚いのでしょうか。両方とも子ども向けの通所支援であり、事業所は両方のサービスを併設していることも少なくありません。都道府県ごとに、放課後等デイサービスと児童発達支援それぞれの供給密度(15歳未満人口1万人あたりの事業所数)を散布図にしました。
点はおおむね右肩上がりに分布し、放課後等デイサービスの供給が厚い都道府県は、児童発達支援でも厚い傾向が読み取れます。鹿児島県・北海道・沖縄県・大阪府は両サービスとも右上に位置し、東京都は両サービスとも左下寄りに位置します。子ども向け通所支援の供給の厚みは、個々のサービスというより都道府県単位でまとまって現れていることが示唆されます。
全国の障害福祉サービス等事業所を数え、子ども向けの放課後等デイサービスに絞って供給密度を都道府県別に求めると、いくつかの傾向が浮かび上がりました。
事業所の件数や制度改正を個別に追っているだけでは見えにくい、供給の地域差です。こうした全体像を数える土台になるデータを、Queriaは整えた形で公開しています。厚生労働省の障害福祉サービス等情報公表システムをはじめとする行政のオープンデータについて、列名・単位・文字コードを揃え、テーブルやカラムの意味をメタデータとして添えてあります。本記事で使った障害福祉サービス等事業所テーブルから、気になる都道府県や別のサービス種類に置き換えて供給密度を確かめたり、緯度経度を使って市区町村単位まで細かく数えたりと、同じデータを自分の関心に沿って掘り下げられます。
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