東京都では、警察が把握した刑法犯の件数(認知件数)が2009年の20万5,501件から2025年の9万8,590件へ、半分以下になりました。区市町村で防犯を担当する人にとって、この減り方がどの罪種でも同じなのかは、次の防犯計画で何に力を入れるかを決める材料になります。
ところが、罪種ごとに分けると減り方がそろっていません。人を殴る・蹴るなどの暴行と、人にけがをさせる傷害を足した件数は、2009年が7,876件、2025年が7,888件で、16年たってもほぼ同じです。町丁目ごとの件数に国勢調査の住民数を重ねると、住民が3,000人以上いる町丁目でも、暴行と傷害は2009年の96.0%で、刑法犯全体が45.2%まで減ったのと対照的です。
盗みが6割減った一方で、暴行と傷害は2009年の水準に戻った
使うのは警視庁が毎年公表している区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数で、Queria では npa の tokyo_town_crime に2009年から2025年までを収録しています。1行が1つの町丁目の1年分(1月〜12月)で、刑法犯の認知件数が罪種の大分類と手口ごとに列になっています。
| 大分類 | 列 | 主な内訳 |
|---|---|---|
| 凶悪犯 | heinous_total |
強盗など |
| 粗暴犯 | violent_total |
暴行(violent_assault)、傷害(violent_injury)、脅迫、恐喝など |
| 侵入窃盗 | burglary_total |
空き巣、忍込み、事務所荒らしなど |
| 非侵入窃盗 | non_burglary_total |
自転車盗、万引き、置引き、車上ねらいなど |
| その他 | other_total |
詐欺、占有離脱物横領など |
ここでは窃盗(侵入窃盗と非侵入窃盗の合計)と、粗暴犯のうち暴行と傷害の合計を、2009年を100とした指数で並べます。認知件数は警察が被害の届け出や通報で把握した件数なので、起きた数が同じでも、届け出や相談が増えれば件数は増えます。
使ったデータ:npa.crime.tokyo_town_crime
窃盗は2009年の15万572件から2025年の6万2,444件へ減り、指数は41.5です。暴行と傷害は2015年に8,006件で最も多く、2021年には5,509件まで減りましたが、そこから4年続けて増え、2025年の指数は100.2です。内訳では、暴行が4,686件から4,867件へ増え、傷害は3,190件から3,021件へ減っています。2020年と2021年は、刑法犯全体・窃盗・暴行と傷害の3つの系列がそろって2019年より少なくなっています。
16年で減った10万件のうち、粗暴犯の分は207件
2009年から2025年までに減った刑法犯の件数を大分類ごとに分けると、減った分のほとんどは盗みです。
使ったデータ:npa.crime.tokyo_town_crime
非侵入窃盗だけで8万47件減り、侵入窃盗の8,081件と合わせると、減った10万6,911件の8割を超えます。暴行・傷害のほかに脅迫や恐喝も含めた粗暴犯の大分類は207件減で、ほとんど動いていません。
住民の多い町丁目でも、暴行と傷害はほとんど減っていない
暴行や傷害は、夜の繁華街で起きるものと思われがちです。そこで、町丁目ごとの件数に令和2年国勢調査の町丁目別の住民数(e-Stat の census_small_area_age)を付け、住民の数で町丁目を3つに分けました。住民1,000人未満の町丁目には、新宿区の新宿3丁目・歌舞伎町1丁目や千代田区の丸の内1丁目のように、店や会社が集まり住む人の少ない場所が入ります。住民3,000人以上の町丁目は住宅の多い場所が中心ですが、北区の赤羽1丁目や中野区の中野5丁目のように、駅前の繁華街を含む町丁目も入ります。
警視庁の表と国勢調査では町丁目の書き方が違う(「1丁目」と「一丁目」)ので、名前をそろえてから結合しています。住民数を付けられた町丁目は2025年に5,084か所で、東京都の刑法犯の99.5%、暴行・傷害の99.6%をカバーします。住民数は2009年も2025年も2020年の値を使っているので、この図は住民あたりの率ではなく、件数そのものの変わり方を比べています。
住民1,000人未満の町丁目では、暴行と傷害は2009年の109.7%に増えました。住民1,000〜3,000人の町丁目では101.1%、住民3,000人以上の町丁目でも96.0%です。同じ町丁目の刑法犯全体は、3つの群とも2009年の45.2〜58.2%まで減っています。住民3,000人以上の町丁目から、2025年の暴行・傷害が多い20か所(赤羽1丁目や中野5丁目など)を除いても、残りの暴行・傷害は2009年の96.2%です。件数の多い一部の町丁目だけでなく、住む人の多い町丁目全体で、暴行と傷害はほとんど減っていません。2025年の暴行・傷害の48.5%は住民3,000人以上の町丁目で起きていて、住民1,000人未満の町丁目は21.1%です。
2025年に暴行と傷害が起きた町丁目
下の地図は、2025年に暴行か傷害が1件以上あった2,596か所の町丁目を、その町丁目の代表点に置き、円の面積を件数に比例させたものです。2,596か所のうち1,899か所が23区、697か所が23区以外の市町村にあり、23区以外の点に載る暴行・傷害は1,369件です。
防犯計画の重点を見直すときに
- 自分の区市町村の町丁目について、窃盗と暴行・傷害の件数を2009年と2025年で並べると、総数の減り方と罪種ごとの減り方の違いを、担当地域の数字で確かめられます
- 住民の多い町丁目の中から暴行・傷害の件数が多い場所を拾い出すと、繁華街の夜間の見回りとは別に、どんな場面で起きた暴行・傷害なのかを警察署に確かめる町丁目の一覧になります
- 防犯計画の成果指標に刑法犯の総数だけを置くと、総数の大半を占める盗みの減少に隠れて、暴行と傷害がほとんど減っていないことが見えません。罪種を分けた指標を併記しておくと、計画の見直しのときに判断の材料になります
データの出典
本記事は警視庁の区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数(2009〜2025年)と、総務省統計局の令和2年国勢調査の小地域集計(町丁・字等別人口)を、2026-11-01 時点で集計しています。件数はすべて1月から12月までの認知件数です。
東京都の刑法犯の総数は16年で半分以下になりましたが、町丁目まで降りて罪種と住民数を重ねると、減った分の8割は盗みで、暴行と傷害は住民の多い町丁目でもほとんど減っていないことが分かります。Queria は警視庁の町丁目別の統計と国勢調査の小地域集計を、列名を揃え、各列の意味をメタデータとして添えて公開しています。本記事で使った町丁目別の犯罪認知件数テーブルと町丁目別の年齢別人口テーブルから、自分の区市町村の町丁目ごとに、どの罪種がどれだけ減り、どれが減っていないかを確かめられます。警視庁の統計表を年ごとに集めて同じ形に整える手間をかけずに、防犯計画の重点をどこに置くかの判断に集中できます。
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Claude や ChatGPT に Queria を接続するか、Claude Code・Codex に、下のプロンプトを貼ってください。スマホやブラウザからも使えます。
たとえば「東京都の区市町村ごとに、暴行(violent_assault)と傷害(violent_injury)の認知件数の合計を2009年と2025年で比べて、刑法犯全体(total)の減り方と並べて出して」といった深掘りができます。
Queria の公開データで次を分析してください: 東京都の区市町村ごとに、暴行(violent_assault)と傷害(violent_injury)の認知件数の合計を2009年と2025年で比べて、刑法犯全体(total)の減り方と並べて出して 参考 (このレポート): https://queria.io/showcase/tokyo-assault-injury-not-declining.md Queria のコネクタ(https://queria.io/mcp)か Queria CLI(uvx queria)で接続できます。CLI の使い方は uvx queria --help と uvx queria docs list で分かります。
ターミナル(CLI)で始める
claude "Queria の公開データで次を分析してください: 東京都の区市町村ごとに、暴行(violent_assault)と傷害(violent_injury)の認知件数の合計を2009年と2025年で比べて、刑法犯全体(total)の減り方と並べて出して 参考 (このレポート): https://queria.io/showcase/tokyo-assault-injury-not-declining.md Queria のコネクタ(https://queria.io/mcp)か Queria CLI(uvx queria)で接続できます。CLI の使い方は uvx queria --help と uvx queria docs list で分かります。"