学校の立地データで私立教育の地域差と大学の集中を読む

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学習塾や予備校、通信教育といった教育サービスの市場を地域ごとに見積もるとき、その地域にどんな学校がどれだけあるかは出発点になります。子どもが通う場所がそのまま顧客の所在地になりますし、公立中心の地域と私立が多い地域では、受験のあり方も家庭の教育支出も変わってきます。学校がどこに、どの設置者によって置かれているかは、教育サービスの需要を読む手がかりになります。

この記事では、国土数値情報の学校データを使い、学校種別ごとの私立比率、高校の私立比率の地域差、大学の都市集中を都道府県別に比較します。

データの概要

使うのは国土数値情報の学校データ(nlftp.facility.school)です。全国の学校が緯度経度付きの点データとして収録されており、学校ごとに学校種別(school_class)、設置者の区分(administrator、国・都道府県・市区町村・民間など)、所在地(address)、所在地点(geometry)などの列を持っています。設置者が「民間」の学校が、いわゆる私立にあたります。

まず、主な学校種別ごとの施設数と、そのうち私立(設置者が民間)の数を確認します。

施設数は小学校が最も多く、義務教育を担う小学校・中学校が学校全体の大きな部分を占めます。私立の数を見ると、小学校・中学校ではごく一部にとどまる一方、高校から大学、専修学校になるにつれて私立が増えていく様子が読み取れます。

なお、このデータは学校の所在地点を収録したもので、設置者の区分は確かに記録されていますが、各校の在校生数や開校・閉校の状況までは網羅していません。ここでは設置者の区分をもとに、私立が地域でどう分布しているかに注目します。

教育段階が上がるほど高まる私立比率

学校種別ごとに、施設数に占める私立(民間)の割合を見てみます。

私立の割合は、小学校が1.3%、中学校が7.7%と、義務教育では公立が圧倒的多数を占めます。これが高等学校では28.8%に上がり、幼稚園は66.5%、大学は70.9%、専修学校では91.9%と、教育段階が上がるほど私立が主役になっていきます。義務教育は公的に整備され、その前後の幼児教育と高等教育以降は民間が担う割合が大きい、という日本の教育のかたちがデータに表れています。

教育サービスの市場を考えるうえでは、この構造が地域ごとにどう異なるかが重要です。私立が多い段階・地域ほど、受験や進学に向けた家庭の支出が大きくなりやすく、教育サービスの需要も厚くなる傾向があります。次に、私立の比率に地域差が大きい高等学校に注目します。

高校の私立比率は地域で大きく異なる

高等学校について、各都道府県の高校に占める私立の割合を地図で見ます。色が濃いほど、その地域の高校に私立が多いことを表します。設置者の区分は学校の所在地(admin_codeの先頭2桁が都道府県コード)から都道府県ごとに集計しています。

高校に占める私立の割合は、東京都が55.6%と突出して高く、大阪府が40.3%、京都府が37.2%と大都市圏が上位に並びます。一方、最も低いのは徳島県の7.7%で、秋田県が9.4%と続きます。最高の東京都と最低の徳島県では約7.2倍の開きがあり、義務教育以上に地域差が大きいことがわかります。

私立高校が多い地域は、私立への進学や受験を前提とした家庭が相対的に多く、進学塾や予備校など受験向けの教育サービスの需要が厚くなりやすい市場です。逆に私立が少ない地域では、公立高校の進学指導を補完するサービスや、通学手段が限られる中での通信・オンライン型のサービスに余地があると考えられます。同じ「高校生向け」でも、地域の私立比率によって刺さるサービスの形が変わってきます。

大学は都市部に極端に集中する

最後に、高等教育の中心である大学の立地を都道府県別に見ます。各都道府県にある大学の数を、上位10・中間27・下位10の3グループに色分けして並べます。

大学数は東京都が217校と突出しており、これは全国の大学(1,239校)の約18%にあたります。大阪府の89校、愛知県の76校が続き、上位3都府県だけで約31%が集まります。一方、下位は鳥取県の4校、島根県の5校など、地方では大学そのものが少なく、近隣の都市に進学先が偏ります。小学校・中学校が人口に応じて全国に広く分布するのとは対照的に、大学は大都市に強く集中しています。

大学生・受験生を顧客とするサービスにとって、この集中は市場の所在地そのものです。対面型のサービスは大学が集まる都市圏に需要が偏り、大学の少ない地域では通信・オンライン型でなければ届きにくい。教育サービスといっても、対象とする教育段階によって市場の地理的な広がりがまったく異なることが、小中学校・高校・大学の分布の違いから見えてきます。

まとめ

国土数値情報の学校データを都道府県別に集計し、私立比率と大学の集中度を比較しました。

  • 私立の割合は教育段階が上がるほど高まり、小学校の1.3%から高校28.8%、大学70.9%、専修学校91.9%へと増える
  • 高校の私立比率は地域差が大きく、最高の東京都(55.6%)と最低の徳島県(7.7%)で約7.2倍の開きがある
  • 大学は東京都に217校(全国の約18%)が集まるなど大都市に集中し、地方では近隣都市に進学先が偏る

学校の分布は、一校ずつ調べているだけでは地域ごとの偏りが見えてきません。点データを設置者や学校種別ごとに集計し、地域単位で並べて初めて、どの地域でどの段階の私立教育が厚いか、大学がどこに集まっているかがわかります。こうした分析の土台になるデータを、Queriaは整えた形で公開しています。国土数値情報のオープンデータについて、列名・単位・文字コードを揃え、テーブルやカラムの意味をメタデータとして添えてあります。データを集めて加工する手間をかけずに、本記事で使った学校データから、対象地域の学校種別や設置者の構成を確かめたり、都道府県境界データと組み合わせて地域単位の分布を出したりできます。データの整備に時間を取られず、出店や市場開拓の判断そのものに集中できます。

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