
人口が7万人増えたつくば市で、地区の半分は減っている
出店の候補地を選ぶときも、店舗や施設をどこに置くかを決めるときも、最初に見るのは自治体の人口です。つくばエクスプレス(TX)が2005年に開業したつくば市は、その数字だけを見れば迷う余地がありません。人口は20年間伸び続けています。
ただし市が公開しているのは市全体の合計ではなく、地区ごとの人口です。それを20年ぶん並べると、市の合計からは見えないものが出てきます。増えている地区と減っている地区がはっきり分かれていて、しかも減っているほうが多数派です。
市全体では20年で7万人増えている
つくば市オープンデータの地区別・年齢別人口(tsukuba.main.mart_tsukuba_population)を使います。基準日(reference_date)ごとに、地区(area_name)・性別(sex)・5歳階級(age_group)別の人口が入っています。収録は2003年4月から2025年10月までで、毎年3回の基準日が置かれています。ここでは各年の10月1日だけを抜いて年次の系列にします。
2005年10月の19万1,582人から、2025年10月には26万1,771人になりました。20年で7万189人、1.37倍です。折れ線に落ち込みはなく、どの年も前年を上回っています。
この系列には1か所だけ段差があります。2011年10月から2012年10月にかけての増加は8,703人で、前年の1,522人、翌年の2,087人と比べて突出しています。2012年7月に外国人住民が住民基本台帳の記録対象になったためで、この年の増加分には転入以外の要因が含まれています。20年の倍率もその段差を含んだ値です。
増えた地区と減った地区
同じデータを地区の単位で見ます。2005年10月と2025年10月の人口を地区ごとに突き合わせ、2005年に住民がいたかどうかと、増えたか減ったかで4つに分けました。
2005年10月に住民がいた地区は269ありました。そのうち148地区は2025年までに人口が減り、さらに8地区は名前ごと消えています。合わせて156地区、58%です。市全体が7万人増えている裏で、地区の数では減ったほうが多数派です。
増加の出どころは、2005年に住民が1人もいなかった42地区です。ここに2025年時点で5万7,332人が住んでいて、市全体の増加7万189人の82%を占めます。既存の地区で増えたぶんは3万4,513人あるものの、減った地区の2万896人と消えた地区の760人を差し引くと1万2,857人にしかなりません。
地区は住居表示の単位で、区画整理の途中で一時的な地区名が現れて消えることがあります。23年間で延べ349の名前が現れますが、2025年10月に住民がいるのは303です。ここで数えているのは2005年10月か2025年10月のどちらかに住民がいた名前だけなので、その間に生まれて消えた名前は4つの区分のどれにも入りません。
増加は42の新しい住所に集中している
増えた人数の上位15地区を並べます。
上位15地区で4万5,532人分、市全体の増加の65%を占めます。そのうち12地区は2005年に住民がいなかった地区(図の青)で、この12地区だけで3万7,198人分です。既存の地区は橙で示しています。
上位の顔ぶれは、みどりの・研究学園・学園の森・島名香取台・谷田部陣場です。みどりのと研究学園はTXの駅名でもあります。既存の地区で大きく増えた竹園1丁目・竹園3丁目・吾妻1丁目は、つくば駅のある一帯にあたります。
新しい住所が生まれた土地
新しい地区が現れた場所には、それ以前も土地がありました。e-Stat「社会・人口統計体系」の市区町村データから、つくば市(地域コード 08220)の耕地面積(C3107)と着工新設住宅戸数(H1800)を並べます。耕地面積は経済基盤(c_municipal_economy)、着工新設住宅戸数は居住(h_municipal_housing)と別のテーブルに入っているので、年で突き合わせています。
耕地面積は1998年度の1万1,730haから2024年度の9,850haまで、26年で1,880ha減りました。住宅の着工はTX開業前後の2005〜2007年度に3,422戸・3,893戸・3,954戸へ増え、その後も年2,300戸を下回っていません。2014年度の3,900戸、2021年度の3,923戸と、同じ水準の年は後にもあります。耕地面積は2003年度から2021年度までのすべての年が100haの倍数で収録されているため、この期間の年ごとの細かい増減は読み取れません。
この2つの系列は市全体の値なので、減った農地が新しい地区の場所と同じかどうかまでは対応が付きません。分かるのは、1998年度から2024年度にかけて、市全体で耕地が増えた年は一度もなく、住宅の着工も止まらなかったことです。
新しい地区と減った地区は、年齢構成が正反対
区分ごとに、2025年10月時点の年齢構成を出します。2025年に消えた8地区はこの時点の人口が0なので、表と図に出るのは3つの区分と市全体です。
2005年に無かった42地区は、15歳未満が25.8%で65歳以上が5.7%。既存で減った148地区は、15歳未満が9.4%で65歳以上が33.6%です。65歳以上の比率で6倍近い開きがあります。
つくば市全体の65歳以上は19.3%です。3つの区分のうちこの値に近いのは、既存で増えた113地区の16.4%だけです。
ただし区分の平均も地区の実態ではありません。地区ごとの高齢化率を市全体の19.3%と直接比べます。
市全体から10ポイント以上離れた地区に住む市民は13万5,684人、市の51.8%です。人口500人未満の地区を除いても11万2,732人、43.1%が残ります。市の統計を根拠に商圏や施設の配置を考えると、市民の4割から5割については自分の地区と10ポイント以上ずれた数字で判断することになります。
人口500人以上の154地区のうち、65歳以上が3割以上の地区が39、1割に満たない地区が37あります。最高は54.0%、最低は0.0%です。同じ市の中で、両端がこれだけ離れた地区が同時に存在しています。
減っているのはどこか
減った人数の上位15地区を、2005年と2025年の65歳以上の比率とともに並べます。図の色は2025年の比率です。1世帯の転出入で比率が大きく動く小さな地区を外すため、2005年に500人以上いた地区に限っています。
15地区のうち11地区で65歳以上が3割を超えています。宝陽台の54.0%、森の里の53.0%、桜ニユータウンの51.7%、城山の50.2%は、いずれも住民の半数以上が65歳以上です。北条・作谷・上郷1・小田・吉沼2といった市の周辺部の地区も、34.8%から49.2%の範囲にあります。
残る4地区は3割に届きません。松代4丁目が20.4%、並木4丁目が12.9%、吾妻2丁目が3.8%、筑波大学生宿舎が0.0%です。
この15地区のうち13地区は、2005年からの20年で65歳以上の比率が10ポイント以上上がっています。森の里は12.9%から53.0%、桜ニユータウンは14.8%から51.7%、緑が丘は12.8%から45.9%です。残る2地区は筑波大学生宿舎(0.0%のまま)と吾妻2丁目(0.3%から3.8%)で、人数だけが減りました。ここに挙がった地区で子育て世帯向けの需要を見込むと、20年前の人口を前提に判断することになります。逆に、2005年に無かった42地区は15歳未満が25.8%で、市全体の15.1%を大きく上回ります。同じ市の中で、想定する客層をまったく別に置く必要があります。
データの出典
本記事はつくば市オープンデータカタログ(CKAN)の地区別・年齢別人口を整えた tsukuba.main.mart_tsukuba_population と、e-Stat 社会・人口統計体系(総務省統計局)の市区町村データ e_stat.ssds.c_municipal_economy・e_stat.ssds.h_municipal_housing を、2026-09-06 時点で集計しています。人口は住民基本台帳ベースで、各年10月1日時点の値です。e-Stat 側で使った分類コードは耕地面積が C3107、着工新設住宅戸数が H1800 で、いずれも年度の値です。指標の定義は項目定義 C 経済基盤・項目定義 H 居住によります。
まとめ
- つくば市の住民基本台帳人口は2005年10月の19万1,582人から2025年10月の26万1,771人へ、20年で7万189人(1.37倍)増えた
- 増加の82%にあたる5万7,332人は、2005年10月に住民が1人もいなかった42地区の分。2005年に人がいた269地区のうち156地区、58%は減っている(うち8地区は名前ごと消えた)
- 増加上位15地区で市全体の増加の65%を占め、そのうち12地区は2005年に住民がいなかった地区
- 65歳以上の比率は、新しい42地区が5.7%、既存で減った148地区が33.6%。市全体の19.3%から10ポイント以上離れた地区に住む市民は13万5,684人、市の51.8%にのぼる
- 人口500人以上の154地区のうち、65歳以上が3割以上の地区が39、1割未満が37。最高54.0%と最低0.0%が同じ市内にある
自治体の人口が伸びていても、その内訳は地区の単位で正反対に分かれていることがあります。Queriaは、こうした自治体のオープンデータを整えた形で公開しています。列名・単位・文字コードを揃え、テーブルやカラムの意味をメタデータとして添えてあります。データを集めて加工する手間をかけずに、本記事で使ったつくば市の地区別・年齢別人口テーブルから、自分が見ている地区の人口構成を確かめられます。
続きや気になることをAIエージェントで深掘りする
Claude Code や Codex に Queria スキル を入れて、下のプロンプトを貼るだけです。ターミナルでも、スマホやブラウザのリモート画面でも使えます。
たとえば「つくば市の地区別に、2005年10月と2025年10月の15歳未満(0-4・5-9・10-14)の人数を出して。減った地区と増えた地区で、子どもの減り方がどれだけ違うかを比べて」といった深掘りができます。
Queria の公開データで次を分析してください: つくば市の地区別に、2005年10月と2025年10月の15歳未満(0-4・5-9・10-14)の人数を出して。減った地区と増えた地区で、子どもの減り方がどれだけ違うかを比べて 参考 (この記事): https://queria.io/showcase/tsukuba-population.md Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。
ターミナル(CLI)で始める
claude "Queria の公開データで次を分析してください: つくば市の地区別に、2005年10月と2025年10月の15歳未満(0-4・5-9・10-14)の人数を出して。減った地区と増えた地区で、子どもの減り方がどれだけ違うかを比べて 参考 (この記事): https://queria.io/showcase/tsukuba-population.md Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。"
おすすめ記事
関連市区町村別の将来推計人口から、高齢者の実数が伸びる地域を読み解きます。高齢化率の高さと市場の伸びは一致せず、シニア向けサービスの需要は都市部へ移動します
関連e-Statの医療施設データで、都道府県別の人口10万人あたり薬局数と無薬局町村数を可視化。調剤チェーンの出店候補地評価やM&Aターゲットの一次スクリーニングに使えます
関連e-Statの医療施設データを使い、都道府県・市区町村別に人口10万人あたり歯科診療所数を可視化。開業候補地の評価や既存医院の競合環境の把握に使えます
関連つくば市が公開している4列構成の指定緊急避難場所CSVを、推奨データセット形式へ変換し、緯度経度を補完してQueriaのデータカタログに登録した手順と現状をまとめます。
関連2015年から2020年に外国人以外の人口が減った市区町村は1,475。外国人の増加で総人口が増えたのは55にとどまり、外国人が増えた1,301市区町村でも埋まったのは減少分の中央値5.2%でした
関連全国の出生数を1980年から43回の前年比にすると、最大の落ち込みは2019年の-5.8%でした。一方2005年から2015年の10年は、全国が-5.3%の裏で東京都が+17.2%と増えています。