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住民の所得が高い県ほど、自治体が使えるお金は少ない

住民の所得が高い地域は、自治体も豊かだろうと考えたくなります。実際、地方税だけを取り出すとその通りに見えます。ところが地方交付税を足した瞬間、都道府県の順位はほぼ逆さまになります。

ここでは e-Stat 社会・人口統計体系から、住民の所得と、自治体の使い道が縛られないお金を、2022年度の都道府県データで突き合わせます。所得は納税義務者(所得割)1人あたりの課税対象所得です。所得割の課税を受けない人は分子にも分母にも入らないので、県民の平均所得ではありません。自治体側は地方税と地方交付税の合計で、2022年度の一般財源の95.5%を占めます。

地方税と地方交付税は、所得と逆を向く

横軸に住民の所得、縦軸に住民1人あたりの金額を取り、地方税だけの場合と、地方交付税を足した場合を重ねます。

青い点は右上がりです。納税者1人あたり課税対象所得と住民1人あたり地方税の相関は+0.843で、所得が高い県ほど地方税も多く入ります。オレンジの点は右下がりで、地方交付税を足すと相関は-0.562になります。順位で見ると相関は-0.802で、所得の順位と財源の順位はほぼ逆順です。

この2つの相関値は、右端に離れている東京都1点の影響を強く受けます。東京都を除いた46道府県では地方税との相関は+0.693に下がり、財源との相関は-0.799に深まります。向きはどちらも変わりませんが、青い点の右上がりは東京都が引き上げている分が大きく、オレンジの点の右下がりは東京都を除いたほうがはっきりします。

所得の上位10に入る都府県のうち、住民1人あたり財源でも上位10に入るものは0件です。逆に6件が財源では下位10に沈み、所得の下位10県のうち5県が財源で上位10に入ります。

財源で並べると、大都市を抱える府県が下に集まる

住民1人あたりの地方税と地方交付税の合計で、47都道府県を並べます。

1位は島根県の799.6千円、最下位は埼玉県の366.2千円で、開きは2.18倍です。下位10は茨城県・栃木県・兵庫県・福岡県・静岡県・大阪府・愛知県・千葉県・神奈川県・埼玉県です。所得上位5都県は東京都・神奈川県・愛知県・兵庫県・千葉県で、東京都を除く4県がすべてこの下位10に入っています。

東京都の位置は独特です。地方税は住民1人あたり581.4千円で全国1位ですが、地方交付税は5.8千円しか入らないため、合計では18位まで下がります。所得も地方税も1位の団体が、財源では上から4割の位置に収まります。

この反転は1985年度から続いている

2022年度だけの偶然かどうかは、両方の指標がそろう1985年度まで遡れば分かります。年ごとに47都道府県の所得順位と、地方税順位・財源順位の相関を計算します。

順位は値が小さいほど上位なので、正の相関は「所得が高い県ほど順位も上」を意味します。地方税との相関は38年間ずっと正で、財源との相関は一度も正になりません。1985年度の-0.608から2009年度以降は-0.78から-0.83の帯に入り、反転はむしろ深まっています。

1人あたりが多いことは、サービスが手厚いことではない

この並びは地方交付税の算定の形から出ています。交付税の大部分を占める普通交付税は、基準財政需要額が基準財政収入額を超える団体に、その差額を基本として交付されます(残りは災害などの事情に応じた特別交付税です)。基準財政需要額は人口だけでなく面積や道路の延長なども織り込むため、人口が少なく広い県ほど住民1人あたりでは大きく積み上がります。

住民1人あたりの基準財政需要額は島根県の719.2千円から神奈川県の299.7千円まで2.4倍の幅があり、可住地1平方キロあたり人口の対数との相関は-0.748です。人口が薄く広い県ほど、同じ水準のサービスを配るのに必要と見積もられる金額が大きくなります。財源はこの需要額との差を埋めて作られるので、1人あたりの財源が多い県は、その額だけのサービスを受け取っている県ではありません。

住民が稼ぐ場所と、行政の費用がかさむ場所は重なりません。所得の地図は大都市圏に寄り、費用の地図は人口の薄い県に寄ります。交付税はその費用の側に合わせて配られるため、2つの地図は38年にわたって逆を向いたままになっています。

データの出典

本記事は e-Stat 社会・人口統計体系(総務省統計局)の e_stat.ssds.d_pref_administration、e_stat.ssds.c_pref_economy、e_stat.ssds.a_pref_population、e_stat.ssds.b_pref_land を 2026-09-02 時点で集計しています。使った分類コードは地方税が D310101(都道府県財政)と D320101(市町村財政)、地方交付税が D310103 と D320108、基準財政需要額が D2106 と D2206、課税対象所得が C120110、納税義務者数(所得割)が C120120、総人口が A1101、可住地面積が B1103、割合の分母にした一般財源が D2109(都道府県財政)と D2209(市町村財政)です。金額はいずれも単位が千円で、都道府県分と市町村分を合算しています。

元データは総務省の地方財政状況調査と市町村税課税状況等の調です。指標の定義は項目定義 C 経済基盤・項目定義 D 行政基盤・項目定義 A 人口・世帯によります。財政の金額は年度間の決算額、課税対象所得と納税義務者数は7月1日現在の課税状況(課税の対象は前年の所得)、総人口は10月1日現在です。財政の3系列は2022年度が最新で、課税対象所得は2024年度まで収録されています。

まとめ

  • 納税者1人あたり課税対象所得と住民1人あたり地方税の相関は+0.843。地方税だけなら、所得の高い県ほど多い
  • 地方交付税を足すと相関は-0.562、順位どうしでは-0.802になり、順序はほぼ逆転する。所得の上位10に入る都府県のうち、財源でも上位10に入るものは0件
  • 住民1人あたり財源は島根県の799.6千円が最多、埼玉県の366.2千円が最少で2.18倍の開き。東京都は地方税1位でも交付税がほぼ入らず18位
  • 反転は1985年度から2022年度まで一度も途切れず、2009年度以降は-0.78から-0.83で推移している
  • 1人あたり財源が多い県は、住民1人あたりの基準財政需要額が大きい県。行政サービスの手厚さを示すものではない
  • 相関値は東京都1点の影響を受ける。東京都を除く46道府県では地方税との相関が+0.693、財源との相関が-0.799になる

住民の所得と自治体の財源は、都道府県を横断して並べて初めて別の地図を描いていると分かります。Queriaは、こうした官公庁のオープンデータを整えた形で公開しています。列名・単位・文字コードを揃え、テーブルやカラムの意味をメタデータとして添えてあります。データを集めて加工する手間をかけずに、本記事で使った都道府県別の行財政データのテーブルから自分の地域の財政を確かめられます。

続きや気になることをAIエージェントで深掘りする

Claude Code や Codex に Queria スキル を入れて、下のプロンプトを貼るだけです。ターミナルでも、スマホやブラウザのリモート画面でも使えます。

たとえば「e_stat.ssds.d_municipal_administration の市町村財政の地方税(D320101)と地方交付税(D320108)を、e_stat.ssds.a_municipal_population の総人口(A1101)で割って市区町村ごとの1人あたり財源を出して、e_stat.ssds.c_municipal_economy の課税対象所得(C120110)と納税義務者数(C120120)から作る所得と並べ、都道府県で見えた逆転が市区町村でも起きているか調べて」といった深掘りができます。

Queria の公開データで次を分析してください: e_stat.ssds.d_municipal_administration の市町村財政の地方税(D320101)と地方交付税(D320108)を、e_stat.ssds.a_municipal_population の総人口(A1101)で割って市区町村ごとの1人あたり財源を出して、e_stat.ssds.c_municipal_economy の課税対象所得(C120110)と納税義務者数(C120120)から作る所得と並べ、都道府県で見えた逆転が市区町村でも起きているか調べて
参考 (この記事): https://queria.io/showcase/regional-economy.md
Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。
ターミナル(CLI)で始める
claude "Queria の公開データで次を分析してください: e_stat.ssds.d_municipal_administration の市町村財政の地方税(D320101)と地方交付税(D320108)を、e_stat.ssds.a_municipal_population の総人口(A1101)で割って市区町村ごとの1人あたり財源を出して、e_stat.ssds.c_municipal_economy の課税対象所得(C120110)と納税義務者数(C120120)から作る所得と並べ、都道府県で見えた逆転が市区町村でも起きているか調べて
参考 (この記事): https://queria.io/showcase/regional-economy.md
Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。"

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本記事はAIエージェントがQueriaの公開データを分析して作成し、別のエージェントが記事内のSQLをすべて実行して本文と照合したうえで、が公開前に確認しています。記事の数値はすべて掲載しているSQLから再現できます。