
都道府県別の雪日数・積雪データで読む冬の地域差
温暖化が進めば雪は減る——除雪の体制や委託の規模、冬季の輸送計画は、多くの場合この前提の上に立っています。
ところが都道府県別の観測値を1975年から2018年まで並べると、その前提が当てはまるのは雪がもともと少ない地域です。年平均気温は47都道府県すべてで上がっているのに、1975〜1984年の平均で年60日以上降っていた10道県では、雪日数の平均はこの44年で減っていません。
この記事では、e-Stat「社会・人口統計体系」の都道府県別気象データを使い、雪日数の水準と44年の変化を確認します。冬の備えを地域ごとにどれだけ変える必要があるかを、観測値から見積もるための材料です。
雪の降る日数は、北海道の131日から沖縄の0日まで開く
このデータは e-Stat「社会・人口統計体系」の都道府県別自然環境データ(b_pref_land)から取得しています。気象関連の指標と、それぞれの収録年は次のとおりです。
指標によって収録が終わる年が違う点が、この記事の集計期間を決めています。雪日数(B4107)は2020年まで、最深積雪(B4110)は2007年まで、気温は2024年までです。
まず年間雪日数(B4107)で47都道府県を比較します。雪日数は、量にかかわらず雪・しゅう雪・ふぶき・みぞれ・霧雪・細氷のいずれかが観測された日を、前年8月から当年7月まで数えたものです(項目定義 B 自然環境)。
2018年の雪日数は北海道の131日を筆頭に、青森県117日、岩手県106日、秋田県101日と続きます。下位は沖縄県0日、宮崎県と静岡県が2日、高知県3日で、東京都は11日でした。上位と下位の差は100日を超えます。
この値は都道府県庁所在地にある気象台1地点の観測値です(埼玉県は熊谷市、千葉県は銚子市、東京都は千代田区、滋賀県は彦根市、山口県は下関市)。県内全域の平均ではないため、同じ県でも山間部の現地条件をこの数字から読むことはできません。
比較の年に2018年を使っているのは、雪日数が2019年2月と2020年2月に目視観測の自動化で観測方法を変えており、前後を単純に比較できないためです(項目定義 B 自然環境)。上の表のとおり収集自体も2020年で終わっています。雪日数の集計はこの記事を通して1975年から2018年までを対象にします。
気温は47都道府県すべてで上がったのに、雪日数の動きは分かれる
44年を10年ずつの両端で切り、1975〜1984年の平均と2009〜2018年の平均を県ごとに比べます。単年ではなく10年平均で見るのは、雪日数の年変動が大きいためです。青森県は44年のうち最少81日・最多125日、秋田県は最少66日・最多120日で、単年の値は40日以上動きます。
年平均気温(B4101)は、同じ期間で47都道府県すべてが上がっています。
上げ幅は0.73℃から1.59℃、平均で1.16℃です。下がった県は1つもありません。
一方で雪日数は、下の図のように基準期の水準によって向きが分かれます。横軸が1975〜1984年の平均雪日数、縦軸がそこから2009〜2018年の平均までの変化日数です。
破線より下が減った県、上が増えた県です。左側(もともと雪が少ない県)はほぼ全部が破線の下に落ち、右側(雪が多い県)は破線の上下に散らばります。
1975〜1984年の平均雪日数で3つに分けると、この違いが数字で出ます。グループの名前はこの基準期の水準で、2018年単年の値ではありません。
基準期に年60日以上だった10道県は86.0日から87.4日へ1.4日増えており、減ったのは岩手県と富山県の2県だけです。基準期に年30日未満だった28都府県は15.4日から12.7日へ2.7日、率にして約17%減り、28のうち26で減っています。それでいて年平均気温の上がり方は3つのグループでほとんど変わりません(1.02℃〜1.16℃)。
県単位で見ると、増加が最も大きいのは秋田県の5.5日増(95.8日→101.3日)、次いで青森県の3.9日増(106.1日→110.0日)です。減少が最も大きいのは滋賀県の7.4日減(42.0日→34.6日)、次いで愛知県の6.2日減(20.7日→14.5日)でした。
気温の上がり方が同じでも雪日数の反応が分かれるのは、雪の多い地域では冬季の気温がもともと十分に低く、1℃程度の上昇では降水が雪のまま降るためと考えられます。雨と雪の境目に近い地域ほど、同じ気温上昇が雪日数に効きます。
なおこの集計では、44年のうち1年だけ値が欠ける千葉県・山口県・岡山県を除き、毎年同じ44都道府県で平均しています。年によって対象県が入れ替わると、平均の上下が気象の変化なのか対象の変化なのか区別できなくなるためです。
豪雪県の折れ線に、下向きの傾きは見えない
雪の多い青森県・秋田県・富山県と、少ない東京都・高知県の推移を並べます。
青森県と秋田県は後半に向かって下がる形になっておらず、富山県の減少も基準期比で1.3日にとどまります。最少年と最多年の差は青森県で44日、秋田県で54日、富山県で52日にのぼるので、この幅のなかでは2年や3年の実績から傾向を読むと方向を取り違えます。
東京都は44年のうち24年が一桁で、最も多い年でも27日でした。高知県は1日から14日です。少ない側の県では、1年の差がそのまま除雪の出動があるかないかの差になります。
降る日数と積もる深さは、別々に確かめる必要がある
雪が多く降る地域は積雪も深くなりますが、両者は同じ指標ではありません。最深積雪(B4110、単位はcm)は寒候期に観測された積雪の深さの最大値です。収録は2007年までなので、ここでは最終年の2007年で雪日数との関係を確認します。
2007年の47都道府県で、雪日数と最深積雪の相関係数は0.884でした。おおむね比例しますが、同じ雪日数でも最深積雪には開きがあります。観測が県庁所在地の1地点である以上、市街地が海沿いにある県と盆地にある県では、同じ県名でも積もり方の条件が違います。
積雪荷重や融雪設備の能力は深さで決まり、除雪の出動回数や交通の乱れは日数で決まります。片方の指標だけで冬季のコストを見積もると、どちらかを外します。最深積雪は2007年で収録が終わるため、深さが44年でどう変わったかはこのデータでは追えません。前節までの長期変化は雪日数についての結果です。
最低気温が最も低いのは北海道の-5.1℃
最低気温(B4103)は2024年まで収録が続いているので、ここは最新年で見ます。日最低気温の月平均の最低値であり、年間で最も冷え込んだ日の気温ではなく、最も寒い月の平均である点に注意が必要です。水道管の凍結対策や凍結深度の目安として使われます。
2024年に0℃を下回ったのは10道県で、最も低いのは北海道の-5.1℃、次いで長野県-3.3℃、岩手県-2.9℃、青森県-1.5℃、山形県-1.3℃でした。2018年の雪日数が6日の山梨県、17日の栃木県、10日の茨城県が上位に来る一方、雪日数が59日の石川県や60日の福井県はこの15道県に入りません。日本海側は雪が多くても月平均の最低気温はそれほど下がらないためで、凍結リスクと降雪リスクは別の地図になります。
業務でどう使うか
自治体の道路維持担当が、除雪委託の仕様と積算を見直す場面を想定します。
- 仕様書の想定出動日数は、単年の実績ではなく直近10年の平均で書いてください。豪雪地帯では最少年と最多年の差が44日から54日に達し、直近1年をそのまま置くと年によって半分になります
- 「今後は雪が減る」を根拠に想定日数を下げる改定は、豪雪地帯では観測値の裏付けが取れません。この前提が効くのは、もともと雪が少ない地域だけです
- 逆に雪の少ない地域では、40年前の実績を根拠にした積算が現在の水準より多く出ます。見直し幅の目安は基準期比で約17%です
観測は県庁所在地の1地点なので、この数字が使えるのは市街地の相場までです。山間部の路線を抱える自治体は、ここを出発点にして自前の出動記録と突き合わせてください。凍結対策の要否も雪日数では代用できません。最低気温が低い15道県と雪日数の上位は、顔ぶれが一致しないためです。
データの出典
本記事は総務省統計局の社会・人口統計体系に収録された都道府県別の自然環境データを、2026年8月18日時点で集計しています。使ったのは雪日数(B4107)、年平均気温(B4101)、最深積雪(B4110)、最低気温(B4103)の4指標で、原資料は気象庁の観測値です。指標の定義と観測地点は項目定義 B 自然環境に記載されています。
雪がどれだけ降るかは、県名や「豪雪地帯かどうか」の区分だけでは決まらず、水準と長期の変化を同じ地点の観測値で並べて初めて見えてきます。こうした比較の土台になるデータを、Queriaは整えた形で公開しています。社会・人口統計体系のように分野ごとにばらばらに公表される統計について、列名・単位・年の表記をそろえ、カテゴリコードの意味をメタデータとして添えてあります。本記事で使った都道府県別の自然環境テーブルから、自分の県の雪日数を1975年から並べたり、近隣県と重ねたりできます。気象データの整備に時間を取られず、立地や設備の判断そのものに集中できます。
続きや気になることをAIエージェントで深掘りする
Claude Code や Codex に Queria スキル を入れて、下のプロンプトを貼るだけです。ターミナルでも、スマホやブラウザのリモート画面でも使えます。
たとえば「e_stat.ssds.b_pref_land の雪日数(B4107)を私の県について1975年から2018年まで出して、1975〜1984年の平均と2009〜2018年の平均を比べて。同じ期間の年平均気温(B4101)の差も並べて」といった深掘りができます。
Queria の公開データで次を分析してください: e_stat.ssds.b_pref_land の雪日数(B4107)を私の県について1975年から2018年まで出して、1975〜1984年の平均と2009〜2018年の平均を比べて。同じ期間の年平均気温(B4101)の差も並べて 参考 (この記事): https://queria.io/showcase/pref-snowfall-gap.md Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。
ターミナル(CLI)で始める
claude "Queria の公開データで次を分析してください: e_stat.ssds.b_pref_land の雪日数(B4107)を私の県について1975年から2018年まで出して、1975〜1984年の平均と2009〜2018年の平均を比べて。同じ期間の年平均気温(B4101)の差も並べて 参考 (この記事): https://queria.io/showcase/pref-snowfall-gap.md Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。"
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