Queria

「健康でいられる年数」は都道府県で2年以上違う — 健康寿命の地域格差をデータで読む

日本は世界有数の長寿国です。全国の平均寿命は2020年で男性81.56歳、女性87.71歳に達しています。しかし「長生き」と「健康で長生き」は同じではありません。日常生活に制限のない期間を示す「健康寿命」は2019年で男性72.68歳、女性75.38歳。平均寿命との差は男性で約8.9年、女性で約12.3年あります。この「不健康な期間」は都道府県によっても大きく異なります。

この記事では、e-Stat「社会・人口統計体系」の都道府県別データを使い、健康寿命の全国推移と地域格差を可視化します。健康寿命は、平均寿命と同じ生命表と人口動態統計に、国民生活基礎調査で「健康上の問題で日常生活に影響がない」と答えた人の割合を重ねて算出されます(健康寿命の令和元年値について)。死亡の記録は両方に共通で、健康寿命だけが健康状態を本人の申告で測っている点が違います。

平均寿命と健康寿命の推移

まず全国の推移を確認します。平均寿命(0歳の平均余命)と健康寿命を男女別に重ねて表示します。上の線が平均寿命、下の線が健康寿命で、その間が「不健康な期間」です。

平均寿命・健康寿命ともに延びていますが、両者の差の縮まり方はゆるやかです。2010年時点で男性の不健康期間は約9.1年(平均寿命79.55歳 − 健康寿命70.42歳)、2019年の健康寿命と2020年の平均寿命では約8.9年(81.56歳 − 72.68歳)です。女性も約12.7年(86.30歳 − 73.62歳)から約12.3年(87.71歳 − 75.38歳)と、大きな差が残っています。ここで引いている2つの差は年のそろい方が違い、2010年は同じ年どうし、2019年は翌年の平均寿命との差です。翌年の平均寿命のほうが長いぶん2019年側の差は広めに出るので、同じ年でそろえれば縮小幅はここに見えるより大きくなります。

なお2016年の健康寿命は46都道府県の集計です。熊本地震のため、この年の国民生活基礎調査で熊本県が調査されていません。

都道府県別 健康寿命ランキング(男性)

健康寿命には都道府県間で明確な差があります。2019年の男性データで全都道府県を比較します。

男性の健康寿命が最も長いのは大分県(73.72歳)で、山梨県(73.57歳)、埼玉県(73.48歳)が続きます。一方、最も短いのは岩手県(71.39歳)、愛媛県(71.50歳)、鳥取県(71.58歳)。トップの大分県とボトムの岩手県の差は2.33歳にのぼります。同じ日本に住んでいても、健康でいられる年数に2年以上の開きがあるのです。

都道府県別の健康寿命は標本調査にもとづく推計で、公表資料は95%信頼区間を併記しています。区間は隣り合う順位どうしの差より広いので、1つ2つの順位差を実際の違いとして読むことはできません。以下で順位を挙げるのは、上位と下位のように大きく離れた位置どうしを比べるためです。

長寿の県と健康長寿の県は一致しない

健康寿命の順位は、平均寿命の順位から大きくはずれます。2019年の健康寿命(男性)を横軸、2020年の平均寿命(男性)を縦軸にとって47都道府県を並べると、2つの指標の相関は0.471です。どちらも死亡の記録から作った生命表を土台にしていながら、この程度しか一致しません。

健康寿命が1位の大分県は、平均寿命では12位(81.88歳)です。健康寿命3位の埼玉県は平均寿命24位(81.44歳)、7位の鹿児島県は38位(80.95歳)にとどまります。ずれは逆向きにも出ていて、平均寿命2位の長野県(82.68歳)は健康寿命30位(72.55歳)、9位の熊本県(81.91歳)は健康寿命37位(72.24歳)です。健康寿命の上位10県のうち、平均寿命でも上位10県に入るのは滋賀県(平均寿命1位・健康寿命4位)と福井県(7位・10位)の2県だけです。

都道府県間の開きは健康寿命が2.33歳、平均寿命が3.46歳で、どちらも小さくありません。長く生きる県の顔ぶれを見ても、健康なまま長く生きる県の顔ぶれは半分ほどしか言い当てられないということです。

「不健康な期間」の地域差

平均寿命と健康寿命の差は「不健康な期間」と呼ばれます。この記事では、それぞれの最新値である2019年の健康寿命と2020年の平均寿命の差として計算しています。健康寿命は3年ごと、平均寿命は5年ごとの収録で、同じ年でそろうのは2010年までさかのぼるためです。平均寿命は年を追って延びているので、この差は同じ年でそろえた場合よりわずかに大きく出ます。

不健康期間が最も長いのは長野県(10.13年)です。平均寿命82.68歳に対して健康寿命が72.55歳と中位にとどまるためで、長野県の健康寿命の順位は2010年の6位から2019年の30位へ下がっています。平均寿命の長さがそのまま健康な期間の長さにはなっていません。

一方、不健康期間が最も短いのは青森県(7.54年)ですが、これは健康寿命が71.73歳と下位10県に入っているうえ、平均寿命も79.27歳と47都道府県で最も短いためです。差が小さいことは、健康でいられる年数が長いことを意味しません。不健康期間の順位は、健康寿命そのものの水準と合わせて読む必要があります。

9年間の改善幅

最後に、2010年から2019年にかけて健康寿命がどれだけ伸びたかを見てみましょう。男性について、改善幅の大きい10県・小さい10県を比較します。

大分県は9年間で3.87歳伸ばし、2010年の39位から2019年の1位へ移りました。長崎県(+3.15歳)、東京都(+2.95歳、33位から14位)も大きく改善しています。逆に2010年に1位だった愛知県は伸びが1.11歳にとどまって18位、3位だった千葉県は0.99歳で26位へ下がりました。改善幅が最も小さい県でも1歳前後は伸びているので、順位の入れ替わりは水準の低下ではなく、伸び方の速さの違いによるものです。

ただし順位の変動そのものには推計の幅が効きます。数位ぶんの上下は区間の内側に収まるので、確かなのは順位よりも、大分県の+3.87歳や東京都の+2.95歳のように伸び幅そのものが大きい動きです。

データの出典

本記事は e-Stat 社会・人口統計体系(総務省統計局)の e_stat.ssds.i_pref_health を 2026-08-30 時点で集計しています。使った分類コードは平均寿命が男性 I1101・女性 I1102、健康寿命が男性 I1601・女性 I1602 で、収録は健康寿命が2010年から2019年までの4時点、平均寿命が1975年から2020年までの10時点です。元データは厚生労働省の令和2年都道府県別生命表と健康寿命の令和元年値についてで、健康寿命は簡易生命表・人口動態統計・国民生活基礎調査・推計人口からサリバン法で算出された値です。指標の定義は項目定義 I 健康・医療 によります。

まとめ

  • 平均寿命と健康寿命の差(不健康な期間)は男性約8.9年、女性約12.3年で、過去10年の縮まり方はゆるやか
  • 健康寿命の都道府県格差は男性で2.33歳あり、大分県・山梨県が上位、岩手県・愛媛県が下位
  • どちらも生命表を土台にしていながら、健康寿命と平均寿命の相関は0.471にとどまる。健康寿命1位の大分県は平均寿命12位、平均寿命2位の長野県は健康寿命30位
  • 健康寿命の順位は9年で大きく入れ替わる。大分県は39位から1位へ、2010年に1位だった愛知県は18位へ動いた(都道府県別の値は信頼区間を持つ推計なので、数位ぶんの上下は誤差の内側)

健康寿命の課題は、全国平均を眺めているだけでは見えません。都道府県を横断して並べて初めて、地域差や改善のスピードの違いが浮かび上がります。Queriaは、こうした官公庁のオープンデータを整えた形で公開しています。列名・単位・文字コードを揃え、テーブルやカラムの意味をメタデータとして添えてあります。データを集めて加工する手間をかけずに、本記事で使った都道府県別の健康・寿命統計テーブルから自分の地域の状況を確かめられます。統計の整備に時間を取られず、課題を読み解く判断そのものに集中できます。

続きや気になることをAIエージェントで深掘りする

Claude Code や Codex に Queria スキル を入れて、下のプロンプトを貼るだけです。ターミナルでも、スマホやブラウザのリモート画面でも使えます。

たとえば「女性の健康寿命(cat01=I1602)の2019年の都道府県ランキングを出して、男性で上位だった大分・山梨と同じ顔ぶれになるか比べて。女性の平均寿命(I1102)との差=不健康な期間も都道府県別に出して」といった深掘りができます。

Queria の公開データで次を分析してください: 女性の健康寿命(cat01=I1602)の2019年の都道府県ランキングを出して、男性で上位だった大分・山梨と同じ顔ぶれになるか比べて。女性の平均寿命(I1102)との差=不健康な期間も都道府県別に出して
参考 (この記事): https://queria.io/showcase/healthy-life-expectancy.md
Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。
ターミナル(CLI)で始める
claude "Queria の公開データで次を分析してください: 女性の健康寿命(cat01=I1602)の2019年の都道府県ランキングを出して、男性で上位だった大分・山梨と同じ顔ぶれになるか比べて。女性の平均寿命(I1102)との差=不健康な期間も都道府県別に出して
参考 (この記事): https://queria.io/showcase/healthy-life-expectancy.md
Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。"

おすすめ記事

関連
有料老人ホームの定員が特養を上回る県は、10年で14から36に。75歳以上あたりで多いのは沖縄・大分・宮崎

有料老人ホームと特養の定員を、都道府県別に2014年から2024年まで比べました。有料老人ホームのほうが多い県は14から36に増え、75歳以上あたりの定員は県によって3.5倍違います。

2026年10月3日
関連
都道府県別のごみ排出量とリサイクル率 — 廃棄物事業の地域需要を統計データで読む

e-Stat「社会・人口統計体系」の1人1日当たりごみ排出量とリサイクル率を都道府県別に分析。廃棄物処理・リサイクル事業の地域需要や提案先の見極めに使えるデータの読み方を解説します。

2026年6月21日
関連
職場のけがは10年で3割増えた — 47都道府県のうち43で増え、1人あたりの重さは下がった

職場のけがの発生頻度は2013年の1.58を底に、3年平均では10年で31%上がり、47都道府県のうち43で上昇しました。一方で重さを表す強度率は13%下がっています。

2026年6月2日·更新 2026年9月10日
関連
都道府県別の出火率と火災死亡率 — 火災保険の地域別リスク評価データ

1975年度からの都道府県別の火災データを整理し、人口あたり出火率と死亡率の地域差を火災保険のリスク評価向けに分析しました

2026年5月26日
関連
交通事故死者数、ピーク比77%減 — 都道府県データで読む50年の安全革命

1975〜2024年度の都道府県別交通事故死者数データを分析。1992年度のピーク11,452人から2024年度の2,663人へ、約77%減少した全国トレンドと、人口10万人あたり死者数で約4.6倍の格差が残る都道府県間の構造差を可視化します。

2026年3月19日
関連
精神障害者手帳は26年で14倍、少なかった県ほど速く伸びて地域差は縮んだ

精神障害者保健福祉手帳の交付件数は1997年度の10.7万件から2023年度の152万件へ14.2倍に。人口あたりの件数で上位10と下位10の都道府県の差は2.5倍から1.48倍に縮み、2005年度に少なかった10県はすべて3.75倍以上に伸びました

2026年3月12日·更新 2026年10月6日

本記事はAIエージェントがQueriaの公開データを分析して作成し、別のエージェントが記事内のSQLをすべて実行して本文と照合したうえで、が公開前に確認しています。記事の数値はすべて掲載しているSQLから再現できます。