
女性の有業率は男性の水準と連動する — 45年ずっと予想を上回る11県、下回る10道県
働く女性の割合は地方のほうが高い、と言われます。共働きが当たり前の北陸、といった説明もよく添えられます。
総務省の就業構造基本調査で2022年の女性の有業率を47都道府県に並べると、最も高いのは東京都の59.0%、最も低いのは奈良県の47.3%でした。ただし女性の有業率は、その地域の男性の有業率とよく連動します。男性の水準から予想される値をどれだけ上回るかで並べ直すと、順位はまるごと入れ替わります。
全国の男女差は45年で35.0ポイントから15.9ポイントへ
有業率は、15歳以上人口に占める有業者の割合です。有業者は、ふだん収入を得る仕事をしている人を指します。調査期間中の実際の就業で数える国勢調査や労働力調査の「就業率」とは数え方が違うので、水準をそのまま並べることはできません。就業構造基本調査は分子(有業者数)と分母(15歳以上人口)の両方を同じ調査で集めているので、この2つを割るだけで求められます。
このデータは e-Stat「社会・人口統計体系」の都道府県別労働データ(f_pref_labor)から取得しています。就業構造基本調査に由来する指標は、男女別に次の4つが収録されています。単位はいずれも千人です。
| コード | 内容 |
|---|---|
| F120101 | 15歳以上人口(男)(就業構造基本調査結果) |
| F120102 | 15歳以上人口(女)(就業構造基本調査結果) |
| F120201 | 有業者数(男) |
| F120202 | 有業者数(女) |
収録は1977年から2022年までの11回分で、1982年以降は5年ごとの調査です。まず全国の推移を見ます。
女性の有業率は1977年の45.3%から2022年の53.2%へ7.9ポイント上がりました。一本調子ではなく、1992年の51.0%から2002年の47.9%へ3.1ポイント下げたあと、2022年に11回の調査で最も高い値まで戻しています。男性は80.3%から69.1%へ11.2ポイント下がりました。男女差は35.0ポイントから15.9ポイントに縮み、2回目の1979年以降は毎回、前回の調査より小さくなっています。
差が19.1ポイント縮んだうち、11.2ポイントは男性側の低下です。有業率の分母は15歳以上人口全体で、この45年に全国の15歳以上人口に占める65歳以上の割合は11.1%から32.8%へ上がりました。男性の低下にはこの影響が含まれるので、差の縮小を「女性が働くようになった分」だけで説明することはできません。
2022年の都道府県ランキング
1位の東京都59.0%は、2位の福井県56.5%を2.5ポイント引き離しています。3位は滋賀県55.1%、4位は石川県と長野県の54.9%、6位が沖縄県の54.6%です。最下位の奈良県47.3%に次いで低いのは秋田県47.9%、山口県48.7%で、1位と最下位の差は11.7ポイントです。
上位は都市と地方が混ざります。1位の東京都に加えて愛知県が7位、神奈川県が9位に入る一方、福井県2位・滋賀県3位・石川県4位・長野県4位・沖縄県6位も上位10位内です。大阪府は21位、兵庫県は39位で、大都市を抱えていれば上位に入るというわけでもありません。北陸でも富山県は17位、山陰は鳥取県15位・島根県27位で、福井県・石川県ほどではありません。都市か地方かでは並びを説明できません。就業構造基本調査は標本調査で、値は0.1ポイント単位に丸めてあります。わずかな差でついた順位は読み取らないでください。
水準は年齢構成とも、男性の有業率とも連動する
女性と男性の有業率を都道府県ごとに並べ、点の色に65歳以上の割合を当てます。この割合は有業率の分母に合わせて15歳以上人口を分母に取っており、総人口を分母にする一般的な高齢化率より高く出ます。同じ社会・人口統計体系の人口データ(a_pref_population)から、15〜64歳人口の A1302 と65歳以上人口の A1303(どちらも単位は人、1975年から2024年まで収録)を使って求めました。縦軸・横軸の有業率は就業構造基本調査の標本推計、色の年齢構成は人口推計に基づく値で、出どころは別です。
図の直線は47都道府県に当てはめた回帰直線です。点は右上ほど青く、左下ほど赤くなります。女性の有業率と65歳以上の割合の相関は −0.645、男性では −0.732 で、高齢者の多い地域ほど男女とも有業率は低くなります。65歳以上の割合が最も低いのは東京都の25.6%、最も高いのは秋田県の42.6%です。
ただし年齢構成だけで決まるわけではありません。水準最下位の奈良県は65歳以上の割合が36.5%と、高いほうから23番目でほぼ真ん中です。長野県は36.8%で19番目に高いにもかかわらず、水準は4位に入っています。
予想との差で並べ直すと、東京都は12位に下がる
散布図に引いた直線から、各都道府県がどれだけ離れているかを取ります。プラスなら、その地域の男性の有業率から予想される値より、女性の有業率が高いということです。
上位は沖縄県の+2.6ポイント、高知県の+2.5ポイント、石川県の+2.2ポイント、京都府と鳥取県の+1.9ポイントです。下位は秋田県の−3.0ポイント、福島県の−2.3ポイント、北海道の−2.2ポイントです。京都府と鳥取県のように同じ値で並ぶ組もあります。
水準のランキングとは顔ぶれが変わります。高知県は女性の有業率そのものは51.7%で31位ですが、男性が63.8%と46位まで低い地域なので、そのなかでは女性が相対的に多く働いていることになります。逆に東京都は水準1位でも、この差では+1.0ポイントの12位です。男性の有業率も74.6%で全国1位なので、女性の高さの多くはその地域の水準で説明がついてしまいます。
この差と65歳以上の割合の相関は −0.098 で、年齢構成の影響はほとんど残りません。ただし差は47都道府県に当てはめた1本の直線からの距離なので、対象を市区町村や別の年に変えれば直線も値も変わります。
45年ずっと同じ側にいるのは21道県
同じ計算を1977年から2022年までの11回の調査それぞれに当てはめます。直線は各回の47都道府県から引き直しているので、その回のなかでの位置を表します。
11回すべてでプラスだったのは11県(石川県・福井県・長野県・岐阜県・静岡県・山形県・鳥取県・熊本県・佐賀県・宮崎県・高知県)、11回すべてマイナスだったのは10道県(北海道・宮城県・茨城県・埼玉県・千葉県・神奈川県・奈良県・和歌山県・兵庫県・山口県)です。残る26都府県は途中で符号が変わっています。47のうち21、半分近くの地域は45年間ずっと同じ側にいます。
ただし境目に近い県は両側にあります。群のなかで直線にいちばん近づいたのは、11県では岐阜県の+0.2ポイント、10道県では山口県の−0.3ポイントです。群の外にも同じ幅の県があります。11回のうち10回プラスで、外れた1回が−0.1ポイントだった県が山梨県・島根県・徳島県と3つ。逆にプラスが1回だけで、その1回が+0.2ポイントだった大阪府と+0.3ポイントだった秋田県もあります。元データの単位は千人で、有業率は0.1ポイント単位に丸めてあり、そのうえ標本調査なので、この幅の県は入る側も出る側も入れ替わりうると考えてください。21という数は両方向に動きます。
境目から最も遠いのは高知県と石川県です。45年でいちばん直線に近づいた回でも、高知県は+2.5ポイント、石川県は+2.2ポイントの幅がありました。石川県はその最小が2022年で、1977年の+6.1ポイントから縮んでいます。高知県は2007年と2022年がともに+2.5ポイントです。どちらも一本調子の縮小ではなく、石川県は3回、高知県は4回、前回より広がった回があります。
符号が変わった26都府県には、大きく動いた県も、ほぼ一方に寄ったままの県もあります。沖縄県は1977年に−6.8ポイントと大きく下振れしていましたが、2002年の+0.3ポイントで初めてプラスに転じ、2022年は+2.6ポイントで全国最大になりました。東京都も1977年の−7.2ポイントから水準を上げ、2012年の+0.4ポイントでプラスに入りました。同じ26都府県でも秋田県はプラスが1992年の+0.3ポイント1回だけで、残る10回はマイナスです。この+0.3が消えれば、秋田県は11回すべてマイナスの側に移ります。沖縄県が転じた2002年の+0.3、東京都が転じた2012年の+0.4も同じ幅なので、符号が変わった年そのものは前後しうると考えてください。
この2つの群を分けているのは、男性の側ではありません。2022年の平均を取ると、男性の有業率は11県が67.9%、10道県が67.6%でほとんど同じです。それに対して女性の有業率は53.8%と50.9%で2.9ポイント違います。予想との差は女性の有業率から男性の水準に基づく予想を引いた値なので、男性側が揃っていれば差は女性側に出ます。65歳以上の割合はむしろ11県のほうが高く(36.8%対34.3%)、若い地域だから女性が働いている、という関係でもありません。
2022年に予想との差が大きかった沖縄県・高知県・石川県も、そこにいる事情は同じではありません。石川県と高知県は45年間ずっとその側にあり、沖縄県は途中で入れ替わった側です。自分の地域がどちらなのかは、一つの調査年の順位ではなく、符号が続いているかどうかで分かります。下の表の「プラスだった調査回数」がその列です。
まとめ
- 女性と男性の有業率は0.802で連動し、都道府県ごとのばらつきの64%は男性の有業率で説明がつきます
- 男性の水準から予想される値との差で並べ直すと、東京都は1位から12位に下がります
- 11回の調査すべてでプラスだったのは11県、すべてマイナスだったのは10道県で、47のうち21は45年間ずっと同じ側にいます。残る26都府県は途中で符号が変わっていて、沖縄県は2002年、東京都は2012年がその境目でした
- 全国では男女差が45年で35.0ポイントから15.9ポイントに縮みましたが、その19.1ポイントのうち11.2ポイントは男性の有業率の低下によるものです
- 11県と10道県を分けているのは男性の側でも年齢構成でもありません。2022年の平均は男性が67.9%と67.6%でほぼ同じ、65歳以上の割合はむしろ11県のほうが高い36.8%です
データの出典
本記事は e-Stat 社会・人口統計体系の都道府県別労働データ(f_pref_labor)と人口データ(a_pref_population)を 2026-09-09 時点で集計しています。有業率の元データは総務省統計局の就業構造基本調査で、最新の調査は2022年10月1日現在(表の時間軸は「2022年度」表記)です。
女性の有業率の地域差は、その地域の男性の有業率と年齢構成に大きく重なっていて、そこから外れた分が45年続く地域と、途中で入れ替わった地域があります。Queriaは、こうした官公庁のオープンデータを整えた形で公開しています。列名・単位・文字コードを揃え、テーブルやカラムの意味をメタデータとして添えてあります。データを集めて加工する手間をかけずに、本記事で使った都道府県別の労働データのテーブルから自分の地域の数字を確かめられます。
続きや気になることをAIエージェントで深掘りする
Claude Code や Codex に Queria スキル を入れて、下のプロンプトを貼るだけです。ターミナルでも、スマホやブラウザのリモート画面でも使えます。
たとえば「e_stat.ssds.f_municipal_labor で2000年から2020年までの市区町村別の女性の就業者比率を出して。分子は就業者数(女)F110202、分母は労働力人口(女)F110102 と非労働力人口(女)F110802 の合計。これは国勢調査ベースなので有業率とは数え方が違う点に注意して。同じ分母で男性の比率も出し、各年で女性を男性に回帰した残差を市区町村ごとに求めて、石川県と高知県の市町村が都道府県と同じようにプラス側に居続けているか、県内でもばらつくのかを調べて」といった深掘りができます。
Queria の公開データで次を分析してください: e_stat.ssds.f_municipal_labor で2000年から2020年までの市区町村別の女性の就業者比率を出して。分子は就業者数(女)F110202、分母は労働力人口(女)F110102 と非労働力人口(女)F110802 の合計。これは国勢調査ベースなので有業率とは数え方が違う点に注意して。同じ分母で男性の比率も出し、各年で女性を男性に回帰した残差を市区町村ごとに求めて、石川県と高知県の市町村が都道府県と同じようにプラス側に居続けているか、県内でもばらつくのかを調べて 参考 (この記事): https://queria.io/showcase/female-employment-regional-gap.md Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。
ターミナル(CLI)で始める
claude "Queria の公開データで次を分析してください: e_stat.ssds.f_municipal_labor で2000年から2020年までの市区町村別の女性の就業者比率を出して。分子は就業者数(女)F110202、分母は労働力人口(女)F110102 と非労働力人口(女)F110802 の合計。これは国勢調査ベースなので有業率とは数え方が違う点に注意して。同じ分母で男性の比率も出し、各年で女性を男性に回帰した残差を市区町村ごとに求めて、石川県と高知県の市町村が都道府県と同じようにプラス側に居続けているか、県内でもばらつくのかを調べて 参考 (この記事): https://queria.io/showcase/female-employment-regional-gap.md Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。"
おすすめ記事
関連1977〜2019年の都道府県別の大卒男性初任給。最高県と最低県の金額の差は約3倍になったが、比の広がりはわずか。1993〜2019年の27年中24年は沖縄県が最低でした
関連都道府県別の最低賃金を2010〜2024年度で比べると、東京都より多く上げた道府県は2018年度まで毎年0〜2でした。2024年度は27県が東京都の50円を上回り、下回った道府県はありませんでした
関連全国20万件の障害福祉サービス事業所を数え、人口当たりの整備量とサービス構成の地域差を定量化します。人口10万人当たりの事業所数は大阪府の303.8から東京都の100.9まで開きます
関連全国20万件の障害福祉サービス等事業所を数え、放課後等デイサービスの供給密度を都道府県別に求めます。15歳未満人口1万人あたりの事業所数は、鹿児島県の33.0件から東京都の9.2件まで約3.6倍の開きがあります
関連全国約8,300の病院の位置と病床数を都道府県別に集計し、人口あたり病床の偏在と、病院規模が分散型か集約型かを在宅医療の連携設計に生かす見方を示します
関連国土数値情報の医療機関データを都道府県境界と空間結合し、人口あたりの病床数と診療所密度を比較します。ヘルスケア事業の立地戦略に使えるデータの見方を紹介します。