
医師は増えているのに届かない — 都道府県データで見る医師偏在の構造
「医師が足りない地域がある」という話は、医師数が増え続けている今も絶えません。総数が増えているのに届かないとすれば、問題は量ではなく分布にあることになります。この記事では、e-Stat「社会・人口統計体系」の都道府県データを使って、医師偏在の構造を可視化します。
全国の医師数推移
まず、全国の医師数がどのように推移してきたかを確認します。
1975年の約13万人から2022年の約34万人へ、47年間で2.6倍に増加しています。年平均約4,500人のペースで医師が増え続けており、絶対数だけを見れば医師不足は着実に改善されてきたように見えます。
人口あたり医師数の都道府県ランキング
しかし、これを人口あたりで都道府県別に比較すると、まったく異なる景色が現れます。直近年(2022年)の人口10万人あたり医師数を全都道府県で比較します。
最多の京都府(355.6人)と最少の埼玉県(186.2人)の間には約1.9倍の開きがあります。上位には京都・徳島・高知・東京など大学医学部が集中する地域が並ぶ一方、下位には埼玉・茨城・千葉など首都圏のベッドタウンが目立ちます。東京に隣接しながら医師が足りない——いわゆる「ドーナツ現象」です。
格差は縮まっているのか — 代表都道府県の推移
この格差は時間とともに改善しているのでしょうか。上位と下位の代表的な都道府県で、人口あたり医師数の推移を比較します。
すべての都道府県で医師密度は上昇していますが、上位と下位の差はむしろ広がっています。京都府は175人から356人へ、埼玉県は70人から186人へとそれぞれ2倍以上に増えましたが、両者の差は105ポイントから169ポイントへと拡大しました。全員が走っているけれど、先頭との距離は縮まらない。医師偏在の構造的な根深さが見えてきます。
医師数と健康寿命の関係
医師が多い地域ほど住民は健康に長生きできるのでしょうか。人口あたり医師数と健康寿命(男性、2019年)の関係を散布図で確認します。
意外なことに、医師数と健康寿命の間に明確な正の相関は見られません。医師が最も少ない埼玉県の健康寿命は73.48年で全国上位に入り、医師が多い徳島県や高知県は72年前後にとどまっています。医師の数だけでは地域の健康水準を説明できないことがデータから示唆されます。なお、健康寿命のデータは直近の2019年を使用しています。
病院数の地域分布
医師だけでなく、病院という「器」の分布も確認しておきましょう。人口あたりの病院数にも地域差があります。
病院数の分布は医師数の分布と似た傾向を示しますが、完全には一致しません。高知県や鹿児島県のように病院数では上位に入る県もあれば、東京都のように医師は多くても病院の密度はさほど高くない地域もあります。
まとめ
都道府県別の医療データから、以下の構造が見えてきました。
- 全国の医師数は47年間で2.6倍に増加したが、都道府県間の格差は縮まっていない
- 人口あたり医師数は最大と最小で約1.9倍の差があり、首都圏のベッドタウンが最も深刻
- 医師数と健康寿命に明確な相関はなく、医師の偏在は「数」だけの問題ではない
- 病院の分布にも偏りがあり、大都市と地方で医療提供の構造が異なる
医師の総数を増やす取り組みは、この47年間で確かに数字として結果を残してきました。しかし人口あたりの密度で見ると、上位と下位の差はむしろ広がっています。「医師を増やす」ことと「医師を届ける」ことは別の課題であり、後者がどこまで進んだかは、こうした地域別のデータを継続的に追うことでしか確かめられません。
このデータの読み方と注意点
本記事は総務省統計局の社会・人口統計体系を e-Stat から取得し、2026年7月11日時点のデータで集計しています。医師数(I6100)のもとは厚生労働省の医師・歯科医師・薬剤師統計、病院数(I5101)のもとは医療施設調査です。対象期間は1975年から2022年までですが、医師数のもとになる調査は途中から西暦偶数年のみの実施になったため、年次が毎年そろっているわけではありません。
全国の推移は area_name = '全国' の行を使い、都道府県の比較では逆に全国行を除いた47都道府県のみを対象にしました。同じテーブルに全国行と都道府県行が混在しており、そのまま並べると全国が1つの「地域」として比較に混ざってしまうためです。人口10万人あたりの値は同じ年の総人口(A1101)で割ったもので、人口が0以下として記録されている行は除いています。
この統計が数えているのは、届出のあった医師の人数です。実際にその都道府県で診療にあたっている常勤換算の人数ではなく、研究や行政に従事する医師も含まれます。診療科ごとの偏り、勤務先が病院か診療所かの内訳も、この粒度では分かりません。また健康寿命との散布図は、医師数が2022年、健康寿命が2019年と年次が揃っていない点に注意が必要です。都道府県単位の集計なので、県内の二次医療圏レベルで生じている偏在も見えません。
医師偏在のような構造は、全国を横並びにし、人口あたりの密度や時系列の推移をまとめて見て初めて全体像が掴めます。こうした分析の土台になるデータを、Queriaは整えた形で公開しています。e-Statをはじめとする官公庁のオープンデータについて、列名・単位・文字コードを揃え、テーブルやカラムの意味をメタデータとして添えてあります。データを集めて加工する手間をかけずに、本記事で使った都道府県別の医療施設テーブルから関心のある地域や指標を取り出せます。データ整備に時間を取られず、偏在の実態を読み解くことそのものに集中できます。
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Claude Code や Codex に Queria スキル を入れて、下のプロンプトを貼るだけです。ターミナルでも、スマホやブラウザのリモート画面でも使えます。
たとえば「医師が最も足りない埼玉・茨城・千葉について、人口10万人あたり病院数(I5101)を2022年で出して。医師の少なさと病院の少なさが重なるか見て」といった深掘りができます。
Queria の公開データで次を分析してください: 医師が最も足りない埼玉・茨城・千葉について、人口10万人あたり病院数(I5101)を2022年で出して。医師の少なさと病院の少なさが重なるか見て 参考 (この記事): https://queria.io/showcase/doctor-maldistribution.md Queria スキル (https://docs.queria.io/queria-skill) を導入済みならスキルで、未導入なら uvx queria で接続できます。
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