犯罪は20年で8割減ったのに「治安が悪い」と感じるのはなぜか

queria

警察庁が公表した2024年の犯罪統計によると、刑法犯認知件数は約73.8万件。3年連続の増加が報じられ、「体感治安」の悪化が問題視されています。2024年の調査では76.6%の人が「この10年で治安が悪くなった」と回答しました。しかし少し視野を広げると、景色は一変します。2002年に285万件でピークを迎えた刑法犯認知件数は、2021年には約57万件まで減少。わずか20年で80%の減少です。

この記事では、e-Stat「社会・人口統計体系」の都道府県別データから、日本の犯罪件数の長期トレンドと地域差を分析します。

全国の刑法犯認知件数の推移

1975年度から2023年度までの刑法犯認知件数の推移を見てみましょう。

1975年度の約123万件から1990年代にかけて緩やかに増加し、2002年度に285万件のピークに達しました。その後は一転して急減し、2021年度には約57万件まで縮小。2022年度以降は増加に転じ、2023年度は約70万件となっていますが、それでもピーク時の4分の1の水準です。

犯罪の減少を牽引したのは窃盗犯

この劇的な減少は、何が主因なのでしょうか。犯罪類型別の推移を確認します。

減少を牽引しているのは窃盗犯です。ピーク時の約237万件から2023年度には約48万件へと80%減少し、全体の減少分のほとんどを占めています。

一方、知能犯(詐欺を含む)は近年横ばいから微増傾向にあり、直近の増加局面の主因になっています。

人口あたり犯罪率の都道府県ランキング

件数だけでは人口の多い都道府県が上位に来ます。人口10万人あたりの犯罪率で比較すると、地域の治安の実態がより見えてきます。

大阪府が人口10万人あたり約915件で突出しています。次いで群馬県、茨城県、兵庫県と続きます。一方、最も低い岩手県は約246件。大阪と岩手の間に約3.7倍の開きがあります。上位は大都市圏に加え北関東が目立ち、下位は東北地方に集中しています。

主要都道府県の犯罪率推移

犯罪率の地域差は、時間とともにどう変化してきたのでしょうか。大阪府・東京都・愛知県・秋田県の推移を全国平均と比較します。

大阪府は2001年度にピークの約3,700件に達しましたが、そこから急降下して2023年度には約915件まで低下しています。愛知県も同様のパターンで2002年前後から大幅に減少。秋田県はもともと低水準で推移しており、2023年度の約263件は大阪のピーク時の14分の1です。すべての地域で改善が見られるものの、地域間の格差自体は依然として残っています。

まとめ

  • 刑法犯認知件数は2002年度の285万件から2021年度の57万件へ、80%減少した
  • 減少の大部分を占めるのは窃盗犯の激減(84%減)
  • 犯罪率は大都市圏ほど高く、最大で約3.7倍の地域差がある

直近3年の増加局面で注目すべきは、犯罪の「質」が変わっていることです。窃盗のような従来型犯罪が減り続ける一方で、特殊詐欺やSNS型投資詐欺といった知能犯が急増しています。2024年の詐欺件数は前年比25%増の5.7万件を記録しました。

体感治安と実態のギャップは、長期の推移や地域差、犯罪類型の内訳をまとめて並べて初めて見えてきます。こうした読み解きの土台になるデータを、Queriaは整えた形で公開しています。e-Statをはじめとする官公庁のオープンデータについて、列名・単位・文字コードを揃え、テーブルやカラムの意味をメタデータとして添えてあります。データを集めて加工する手間をかけずに、本記事で使った都道府県別の安全・犯罪統計テーブルから関心のある地域や年次を取り出せます。統計の下ごしらえに時間を取られず、現状を冷静に読み解くことそのものに集中できます。

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