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刑法犯は2年で13.5万件増えた — 増加分の4分の3は窃盗犯、知能犯は1割

刑法犯の認知件数は2021年の約57万件を底に増加へ転じ、2023年は約70万件になりました。2年で13.5万件の増加です。件数で見て増加を押し上げているのは、詐欺などが含まれる知能犯ではなく窃盗犯でした。そのうち10.2万件、4分の3が窃盗犯の増加です。

この記事では、e-Stat「社会・人口統計体系」の都道府県別データから、刑法犯認知件数の長期推移と、直近の増加を作っている犯罪類型、そして人口あたり犯罪率の地域差を見ていきます。

全国の刑法犯認知件数の推移

1975年から2023年までの刑法犯認知件数の推移を見てみましょう。認知件数は暦年(1月から12月)の合計で、e-Statの項目定義でも「暦年計」とされています。

1975年の約123万件から1990年代半ばまで緩やかに増加したあと、1996年からの6年で181万件から285万件へ57%増え、2002年にピークを迎えました。その後は一転して急減し、2021年には約57万件まで縮小しています。ピークからの減少率は80%でした。2022年からは増加に転じ、2023年は約70万件です。それでもピークの4分の1で、起点の1975年の水準も下回っています。

ここで数えているのは警察が認知した件数で、実際に起きた犯罪の件数ではありません。被害の届出や警察の受理・計上の運用が変われば、起きた件数が同じでもこの数字は動きます。

長期の減少を作ったのは窃盗犯

刑法犯の総数がこれだけ動いた背景に何があるのか、犯罪類型別の推移を確認します。

窃盗犯の線だけが大きく動き、他の4類型はいずれも目盛りの下端に重なります。窃盗犯の形は1つ前の図の刑法犯総数とほぼ同じです。長期の減少を作ったのは窃盗犯です。2002年の約238万件から2023年の約48万件へ80%減りました。この間の刑法犯全体の減少215万件のうち、窃盗犯だけで189万件、率にして88%を占めます。

知能犯(詐欺・横領・偽造などを含む)の収録は2005年からで、それ以前の年はデータにありません。図の線も2005年から始まります。2023年の約5.0万件は2010年以降で最も多い値ですが、収録開始年である2005年の約9.8万件の半分ほどです。

2021年からの増加、4分の3は窃盗犯

では、2021年からの増加は何が押し上げているのでしょうか。類型ごとに2021年と2023年の差を取ります。

窃盗犯の増加が10.2万件で、刑法犯全体の増加13.5万件の75%を占めます。知能犯の増加は1.3万件で、全体の1割です。

ただし窃盗犯は2021年の時点ですでに刑法犯の67.2%を占めています。増加分に占める75.4%はその1.12倍で、構成比から見た上振れは小さい値です。長期の減少側も同じ関係で、2002年の構成比83.3%に対して減少分は88.1%でした。窃盗犯が総数を動かすのは、特異に増減しているからではなく、単に大きいからです。

伸び率で見ると順序が変わります。2021年から2023年で知能犯は36.5%増え、窃盗犯の26.7%増を上回ります。件数の寄与が大きいのは窃盗犯、伸びが速いのは知能犯です。

なお、この5類型の合計は刑法犯の総数と一致しません。どの類型にも入らない「その他の刑法犯」があり、2023年は約9.4万件がここに含まれます。上の図では、その他の刑法犯も1本の棒として並べています。

増加が窃盗犯で説明できない県もある

全国では増加の4分の3が窃盗犯でした。都道府県ごとに同じ差を取ると、当てはまり方に幅があります。総数が増えた45県について、増加分のうち窃盗犯が占める割合を並べます。

45県のうち43県は増加の半分以上を窃盗犯が占め、割合の中央値は72.3%です。半分を下回るのは奈良県の43.6%と島根県の2県だけでした。総数そのものが減った山形県(73件減)と富山県(45件減)は、割合が定義できないので図から外しています。

島根県は総数が107件(5.8%)増えるあいだに窃盗犯が31件(2.5%)減っており、窃盗犯が減りながら総数が増えたのはこの1県だけです。逆向きの端は大分県で、総数の106件増に対して窃盗犯が170件増えました。窃盗犯以外の類型が減ったぶん、総数の伸びが窃盗犯の伸びを下回っています。

人口あたり犯罪率の都道府県ランキング(2023年)

件数だけでは人口の多い都道府県が上位に来ます。人口10万人あたりの犯罪率で比較します。分母は同じ年の総人口(A1101、10月1日現在)です。

大阪府が人口10万人あたり約915件で突出しています。次いで群馬県、茨城県、兵庫県と続きます。一方、最も低い岩手県は約246件で、大阪との間に約3.7倍の開きがあります。上位10都府県には大都市圏に加えて北関東の3県(群馬県・茨城県・栃木県)と香川県が並びます。下位10県のうち東北は山形県・秋田県・岩手県の3県で、同じ東北でも宮城県は18位、福島県は24位です。地方単位でまとまっているわけではありません。

認知件数は事件が起きた場所で数えるので、分母である常住人口とは母集団がずれます。昼間に人が流入する都府県ほど、この指標は高めに出ます。

このランキングは窃盗犯のランキング

刑法犯に占める窃盗犯の割合は都道府県ごとに56.2%から78.2%まで幅があり、中央値は66.5%です。総数の3分の2が窃盗犯である以上、総数の順位が窃盗犯の順位に近くなるのは足し算の性質としてほぼ決まっています(実際、両者の順位のずれは平均2.5位です)。

残りの類型は違う順位を作ります。47都道府県について、人口10万人あたりの窃盗犯認知件数と、窃盗犯を除いた認知件数を並べます。

2つの相関係数は0.675でした。窃盗犯の多い県が、そのまま他の犯罪も多いわけではありません。窃盗犯を除いて並べ直すと上位5県は兵庫県・香川県・大阪府・福岡県・沖縄県で、総数の上位5県(大阪府・群馬県・茨城県・兵庫県・埼玉県)とは3県が入れ替わります。順位のずれは平均5.6位、最大は栃木県の20位(総数で8位、窃盗犯を除くと28位)です。

このランキングが映しているのは、地域全体の犯罪の起きやすさではなく、おもに窃盗犯の起きやすさです。

主要都道府県の犯罪率推移

犯罪率の地域差は、時間とともにどう変化してきたのでしょうか。大阪府・東京都・愛知県・秋田県の推移を全国平均と比較します。

大阪府は2001年にピークの約3,710件に達しましたが、そこから急降下して2023年には約915件まで低下しています。点線は同じ大阪府から窃盗犯だけを取り出したもので、2001年の約3,156件から2023年の約665件へ動いています。大阪府の犯罪率の低下のうち、89%は窃盗犯の低下です。

愛知県は2003年の約3,148件をピークに大幅な減少へ向かいました。東京都のピークは2002年の約2,460件で、2023年は約633件です。秋田県はもともと低水準で推移しており、2023年の約263件は大阪のピーク時の14分の1です。すべての地域で水準が下がる一方、地域間の差そのものは残っています。

まとめ

  • 刑法犯認知件数は2002年の285万件から2021年の57万件へ80%減り、2023年は70万件まで戻した。それでもピークの4分の1で、1975年の123万件も下回る
  • 2002年から2023年にかけての減少215万件のうち、88%は窃盗犯の減少
  • 2021年から2023年の増加13.5万件のうち、75%も窃盗犯の増加。知能犯の増加は1割
  • ただし島根県だけは例外で、総数が107件増えるあいだに窃盗犯は31件減っている
  • 人口10万人あたりの犯罪率は大阪府915件・岩手県246件で約3.7倍の差がある。ただし窃盗犯を除いて並べ直すと上位5県のうち3県が入れ替わり、この順位はおもに窃盗犯の順位

減った局面でも増えた局面でも、そして地域の順位でも、刑法犯の総数を動かしているのは窃盗犯でした。知能犯は2023年に5.0万件と2010年以降で最も多い年を迎えていますが、それでも2年間の増加13.5万件への寄与は1割です。詐欺が増えているという実感と、総数の増加を作っているのが窃盗犯であることは、同時に成り立ちます。

データの出典

本記事は e-Stat 社会・人口統計体系 の都道府県データを2026年8月24日時点で集計しています。使ったのは安全統計の K4201_刑法犯認知件数 とその内訳(K420101_凶悪犯・K420102_粗暴犯・K420103_窃盗犯・K420104_知能犯・K420105_風俗犯)、および人口統計の A1101_総人口 です。認知件数の元データは警察庁の犯罪統計で、収録は1975年から2023年まで、知能犯のみ2005年からです。

犯罪の増減がどの類型で起きているかは、総数と内訳、地域差を同じ単位でそろえて初めて数えられます。こうした読み解きの土台になるデータを、Queriaは整えた形で公開しています。e-Statをはじめとする官公庁のオープンデータについて、列名・単位・文字コードを揃え、テーブルやカラムの意味をメタデータとして添えてあります。データを集めて加工する手間をかけずに、本記事で使った都道府県別の安全・犯罪統計テーブルから関心のある地域や年次を取り出せます。

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参考 (この記事): https://queria.io/showcase/crime-decline.md
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本記事はAIエージェントがQueriaの公開データを分析して作成し、別のエージェントが記事内のSQLをすべて実行して本文と照合したうえで、が公開前に確認しています。記事の数値はすべて掲載しているSQLから再現できます。