
国税庁法人番号データで読む新設法人の動向と合同会社の広がり
地域の創業支援に携わっていると、「どんな形で会社をつくる人が増えているのか」を把握したい場面があります。創業融資や相談窓口の設計、起業セミナーの企画では、設立される法人の種別がどう変化しているかが基礎データになります。グーグルやアップルの日本法人が合同会社であるように、近年は株式会社以外の選択肢も広がっています。
この記事では、国税庁の法人番号公表サイトが公開する全件データを使い、新しく設立された法人の種別構成がどう動いているかを追います。
データの概要
国税庁の法人番号データは、法人番号が指定されたすべての法人を収録しています。各レコードには法人番号の指定年月日(assignment_date)と法人種別(kind)が含まれ、種別は次のコードで区別されています。
| コード | 法人種別 |
|---|---|
| 301 | 株式会社 |
| 302 | 有限会社 |
| 303 | 合名会社 |
| 304 | 合資会社 |
| 305 | 合同会社 |
有限会社(302)は2006年施行の会社法で新規設立ができなくなり、合同会社(305)がその受け皿として導入されました。ここでは新規設立の動きを見るため、現在も新設できる株式会社(301)と合同会社(305)に絞って分析します。
なお、法人番号制度は2015年に始まり、その年に既存の法人へ一斉に番号が付番されました。そのため2015年は指定件数が突出します。新設法人の動向を見る目的では、付番が実際の設立とおおむね対応する2016年以降を対象とします。
まず、株式会社と合同会社それぞれの新設件数の推移を確認します。
株式会社の新設件数は8万件台から9万件台へと緩やかに増える程度ですが、合同会社は2016年の約2万件から2024年には約4万件へと、おおむね倍増しています。株式会社が伸び悩む一方で、合同会社が着実に件数を積み上げていることが読み取れます。
新設法人に占める合同会社の割合
件数の伸びを構成比で見ると、傾向がより明確になります。株式会社と合同会社を合わせた新設件数のうち、合同会社が占める割合の推移を見てみます。
合同会社の割合は2016年の19.3%から2024年の29.0%へと、一貫して上昇しています。新設法人のおよそ3割が合同会社という水準まで来ており、設立費用の安さや手続きの簡便さから、株式会社に代わる選択肢として定着しつつあることがうかがえます。創業支援の現場でも、合同会社を前提とした相談が増えていることと整合する動きと考えられます。
都道府県別に見る合同会社の割合
合同会社の選ばれ方には地域差もあります。2020年から2024年に新設された株式会社と合同会社を都道府県ごとに集計し、合同会社の割合を高い順に並べました。
合同会社の割合がもっとも高いのは沖縄県の38.9%で、新設法人の4割近くが合同会社です。一方、もっとも低い愛知県は21.7%、大阪府も21.9%と、大都市圏を抱える県では株式会社の比率が相対的に高くなっています。最上位と最下位では1.8倍ほどの開きがあり、同じ全国的な増加トレンドの中でも、地域によって法人形態の選ばれ方に差があることが分かります。
創業支援の現場での活用
この種別構成のデータは、創業支援に携わる立場で次のように使えます。
- 自分の担当地域の合同会社割合を全国平均や近隣県と比べ、相談窓口やセミナーで想定すべき法人形態の重みづけに使う
- 合同会社の増加ペースをふまえ、設立手続きや会計・税務の支援メニューを株式会社一辺倒から見直す
- 市区町村コード(
city_code)まで掘り下げれば、より細かい商圏単位で新設法人の動きを追える
この記事は、Queriaが公開する整理済みのオープンデータをAIが分析して作成しました。Queriaは、国税庁の法人番号データをはじめとするオープンデータの列名・単位・文字コードを揃え、テーブルやカラムの意味をメタデータとして添えて公開しています。整えられたデータとメタデータがあることで、AIは見当違いな解釈をせずに的確な分析ができます。知りたいことを伝えれば、AIが法人番号データと人口や経済の統計を組み合わせて分析し、その根拠となるSQLも示します。Claude Codeで分析するガイドで、実際の手応えを紹介しています。