
死因の4人に1人はがん 都道府県で2倍の格差と50年のトレンドをデータで見る
がんは1981年以降、日本の死因の第1位であり続けています。e-Stat「社会・人口統計体系」の都道府県別集計によると、2023年にがんで亡くなった人は約38万2千人で、全死亡数のおよそ24%を占めます。4人に1人ながんで亡くなっている計算です。
この記事では、e-Stat「社会・人口統計体系」の都道府県別データを使って、がんによる死亡の長期トレンドと、都道府県間に存在する格差を分析します。心疾患・脳血管疾患との比較も交えながら、日本の生活習慣病死亡の実態を探ります。
3大死因の推移(1975-2023年)
このデータは e-Stat「社会・人口統計体系」の都道府県別健康データ(pref_health)から取得しています。生活習慣病関連の3指標を使います。
| コード | 内容 |
|---|---|
| I9102 | 悪性新生物(腫瘍)による死亡者数 |
| I9105 | 心疾患(高血圧性を除く)による死亡者数 |
| I9106 | 脳血管疾患による死亡者数 |
まず47都道府県の合計値から、3大死因の長期推移を確認します。
がんは1975年の13万6千人から2023年の38万2千人まで、49年間で約2.8倍に増加しました。一方で脳血管疾患はデータが取れる1975年から一貫して減少傾向にあり、2023年は10万4千人と2009年(12万2千人)比で約15%減っています。心疾患は増加傾向が続き、2022年は23万2千人超まで増加しました。超高齢化が進む中で、死因の構造は変わり続けています。
都道府県別のがん死亡率(2023年)
死亡者の絶対数は人口規模に左右されるため、ここでは人口10万人あたりの死亡率で比較します。がんは高齢者に多い疾患なので、65歳以上の割合(高齢化率)が高い地域ほど率も高くなる傾向があります。
東北地方や北海道が濃い赤で塗られており、特に秋田県(435.1)・青森県(426.9)・北海道(399.3)が高い水準にあります。一方、沖縄県(231.9)・東京都(243.3)・滋賀県(261.3)は低い側です。最高と最低の差は200以上、比率にして約1.9倍の開きがあります。
高齢化率とがん死亡率の関係(2023年)
がん死亡率が高い地域は、高齢化率も高い傾向があります。散布図で確認します。
高齢化率が高い都道府県ほどがん死亡率も高く、正の相関が見られます。秋田県は高齢化率39.1%と全国最高水準で、がん死亡率も最高です。沖縄県は高齢化率が23.8%と比較的低く、がん死亡率も低い。ただし東京都は高齢化率22.8%で最も若い都市部でありながら、沖縄に次ぐ低さ(243.3)です。都市部では高度な医療アクセスや健診受診率の高さが一因と考えられます。
14年間でがん死亡率が最も増えた都道府県(2009→2023年)
2009年から2023年の14年間で、人口10万人あたりのがん死亡率がどれだけ変化したかをランキングします。全47都道府県で増加しており、どの地域でもがんリスクが高まっていることが分かります。
増加幅が最も大きいのは青森県(+100.4)で、2009年の326.5から2023年の426.9へと急増しています。北海道(+86.4)・秋田県(+69.8)・岩手県(+66.9)が続きます。東北・北海道はもともとの高齢化率が高く、高齢化のさらなる進行が死亡率を押し上げています。一方、増加幅が最も小さいのは東京都(+3.7)で、14年間でほぼ横ばいです。人口流入が続く大都市圏では人口の若さが維持されており、がん死亡率の上昇が抑えられていると考えられます。
まとめ
- がんは日本の死因第1位で、2023年の死亡者は38万2千人。脳血管疾患が減少傾向にある一方、がんと心疾患は増加が続いている
- 都道府県別のがん死亡率(人口10万対)は、最高の秋田県(435)と最低の沖縄県(232)で約1.9倍の格差がある
- 高齢化率とがん死亡率には強い正の相関があり、高齢化が進む東北・北海道で特に高い
- 2009年から2023年の14年間で全都道府県のがん死亡率が上昇しており、増加幅は青森県が最大(+100.4)、東京都が最小(+3.7)
がんによる死亡率の地域差を縮めるためには、医療へのアクセス改善や生活習慣病予防の取り組みの地域格差をなくすことが課題です。国立がん研究センターは「がんの統計 2025」において、75歳未満の年齢調整死亡率データも公開しており、高齢化の影響を除いたより詳細な地域比較が可能です。