救急車の出動が50年で5倍に ― 人口減少時代の救急需要を都道府県データで読む

queria

2023年度、全国の救急出動件数は764万件と過去最多を記録しました。1975年度の154万件と比べると、わずか50年足らずで5倍に膨らんだ計算です。日本の総人口は2008年をピークに減少に転じており、2023年度時点で1億2435万人と1975年度(1億1194万人)から11%増にとどまっています。人口の伸びが1割強であるのに対して救急出動は5倍というのは、いかに需要が急増しているかを示しています。なぜこれほど増えたのでしょうか。

この記事では、e-Stat「社会・人口統計体系」の都道府県別救急出動データから、50年にわたる需要増加の実態と地域格差を読み解きます。

全国の救急出動件数の推移

このデータは e-Stat「社会・人口統計体系」の都道府県別安全データ(pref_safety)から取得しています。K1210_救急出動件数 は各都道府県の消防機関が出動した救急事案の件数を集計したものです。

1975年度の154万件から右肩上がりが続き、2019年度には664万件に達しました。2020年度はコロナ禍による外出自粛や救急以外の医療機関受診抑制の影響で593万件に落ち込みましたが、2022年度には723万件と一気に回復し、2023年度は764万件と過去最多を更新しました。増加に短い踊り場はあるものの、50年を通じての基調は一貫して増加です。

都道府県別の救急出動件数(人口1万人当たり)

人口規模が異なる都道府県を比較するため、人口1万人当たりの救急出動件数で見てみましょう。2023年度の都道府県別データと同年の総人口データを組み合わせます。

2023年度に最も多いのは大阪府の787.5件/万人で、最も少ない福井県の462.1件/万人と比べると1.7倍の差があります。上位には大阪府・高知県・奈良県・沖縄県・和歌山県・京都府・東京都が並んでいます。都市部が高く農村部が低いと単純には言えず、高知県や奈良県など地方でも高い県があります。

高齢化率と救急出動件数の関係

救急需要の増加は高齢化と結びつけて語られることが多いですが、都道府県別のデータで実際の相関を確認してみましょう。65歳以上の人口比率と、人口1万人当たりの救急出動件数を組み合わせた散布図です。

高齢化率が最も高い秋田県(39.1%)の救急出動件数は529.7件/万人で、全国の中位より低い水準です。一方、高齢化率が比較的低い大阪府(27.7%)が787.5件/万人と最多です。東京都(22.8%)も656.0件/万人と高水準にあります。高齢化率と救急出動件数の間に明確な比例関係は見られず、都市部ほど件数が高い傾向が読み取れます。人口密集度が高い都市では医療機関へのアクセスが良いにもかかわらず救急出動が多い背景には、傷病の幅広い事案で救急車が利用されていることが考えられます。

都道府県別の長期推移

主要な都道府県について、人口1万人当たりの救急出動件数の推移を比較してみましょう。

大阪府は長期にわたって高い水準を維持し、近年は他の都道府県との差がさらに拡大しています。東京都は50年間を通じて一貫して上昇しており、特に2022年度以降に加速して2023年度には656.0件/万人に達しています。一方、福井県や秋田県は上昇幅が比較的緩やかです。2020年度のコロナ禍による落込みはすべての都道府県で見られ、2022年度に一斉に回復していることも確認できます。

まとめ

  • 全国の救急出動件数は1975年度の154万件から2023年度の764万件へと、50年で約5倍に増加した
  • 都道府県間では最多の大阪府(787.5件/万人)と最少の福井県(462.1件/万人)で1.7倍の差がある
  • 高齢化率と救急出動件数の間に明確な比例関係はなく、都市集中の影響が大きい

高齢化の進行とともに救急需要は今後もさらに増加すると見込まれています。消防庁の試算では2030年ごろに需要がピークを迎えるとされており、救急車の適正利用や医療機関との連携強化が課題として挙げられています。この記事で可視化したデータは e-Stat「社会・人口統計体系」から取得しており、消防庁の「救急・救助の現況」でも毎年詳細な統計が公表されています。

本記事はAIを活用して作成し、編集部が内容を確認しています。記事内のSQLを実行してデータをご自身で検証いただけます。