高齢者向け住宅や介護施設の立地を考えるとき、多くの人が思い浮かべる高齢者の引っ越しは2つあります。仕事を退いたあと、都会を離れて海や山のそばへ移る引っ越しと、体が弱ってから、子どもの住む街や施設のある街へ移る引っ越しです。どちらも話としてはよく聞きますが、それぞれがどの年齢で、どの街に向かっているのかを実務の担当者が数字で確かめる機会はあまりありません。
住民票の移動を年齢別に数えると、同じ市でも、転入と転出のどちらが多いかが年齢で逆になることがあります。横浜市では、2014年から2025年までの12年間に、60代は転出した人が転入した人を1万3,683人上回りました。同じ12年間に、80歳以上は転入した人が転出した人を4,561人上回っています。政令指定都市20市を合計しても、60代は1万2,543人の転出超過、80歳以上は4万6,693人の転入超過です。ただし、80歳以上の転入超過はどの大都市にも出ているわけではありません。東京23区と、大阪市・京都市・神戸市・北九州市では、80歳以上は転出超過です。
政令市の合計では、70代を境に転出超過から転入超過に変わる
使うのは総務省統計局の住民基本台帳人口移動報告の市区町村別・年齢5歳階級別の表で、e-Stat の municipality_migration_age に収録されています。住民票の異動届にもとづく実績で、1月から12月までの1年間に市区町村をまたいで住所を移した人を、移った時点の年齢で数えています。年齢は0〜4歳から85〜89歳までの5歳刻みと90歳以上の19区分です。2014年から続いているのは日本人の移動だけなので、すべて日本人移動者(61000)の値を使います。
ここでは、転入者数から転出者数を引いた転入超過数を12年分合計し、全国の市区町村を3つに分けました。東京23区、政令指定都市20市、それ以外の市町村です。東京23区は原典で1つの単位(特別区部)として扱われ、政令市も市全体で1つの単位なので、23区の中や同じ政令市の中で区をまたいだ引っ越しは数に入りません。転入超過は入ってきた人と出ていった人の差なので、入ってきた人数そのものではありません。
政令市以外の市町村は、50代から70代まで転入が転出を上回り、60〜64歳の4万4,646人で最も大きくなります。60代(60〜69歳)の12年間の転入超過は7万8,271人です。それが70代で縮み、80歳以上では9,603人の転出超過に変わります。政令市はその逆で、60代では1万2,543人の転出超過ですが、70〜74歳で転入超過に変わり、80〜84歳の1万7,881人まで大きくなります。
東京23区は、50歳以上のどの年齢でも転出超過です。60代で6万5,739人、80歳以上でも3万7,102人、出ていった人が入ってきた人を上回りました。23区の60代の転出超過は、政令市以外の市町村の60代の転入超過と近い規模です。ただしこの表は転出先を持たないので、23区を出た人がどの市町村に入ったかまでは分かりません。
横浜市も広島市も、同じ市で向きが逆になる
政令市を1市ずつ見ると、市ごとの違いは大きくなります。下の図は、60代と80歳以上の12年間の転入超過数を市ごとに並べたものです。
20市のうち16市で、80歳以上は転入超過です。60代は転出超過で80歳以上は転入超過という、向きが逆になる市は、さいたま市・横浜市・川崎市・仙台市・広島市・名古屋市・堺市の7市です。横浜市は60代で1万3,683人の転出超過から、80歳以上で4,561人の転入超過へ、川崎市は8,042人の転出超過から3,067人の転入超過へ、広島市は2,796人の転出超過から2,801人の転入超過へ変わります。さいたま市も60代は2,475人の転出超過で、80歳以上は5,665人の転入超過です。
7市の住民の数の違いをそろえるため、12年間の転入超過数を年あたりに直し、その年齢の住民1,000人あたりの人数にしました(住民の数の出どころは後の節で説明します)。80歳以上の転入超過が人口あたりで最も多いのはさいたま市で、80歳以上1,000人あたり年に5.05人です。80歳以上の住民が7市で最も多い横浜市は、人口あたりでは1.30人です。
Data:e_stat.migration.municipality_migration_agee_stat.code.municipalitye_stat.ssds.a_municipal_population
札幌市は60代でも1万844人の転入超過ですが、80歳以上はさらに多い1万5,517人で、政令市の中で飛び抜けています。80歳以上が転出超過になったのは、京都市・神戸市・大阪市・北九州市の4市でした。
政令市の80歳以上の転入超過4万6,693人のうち、首都圏の5市(さいたま市・横浜市・相模原市・千葉市・川崎市)の合計は2万408人で、43.7%を占めます。同じ12年間に、東京23区の80歳以上は3万7,102人の転出超過です。この表は転出先を持たないので、23区を出た80歳以上がどこに入ったかは分かりません。80歳以上の転入の理由は、この統計には記録されていません。
23区を出る60代と、政令市に入る80歳以上は、ともに12年で最多の水準
年ごとに見ると、23区の60代の転出超過、政令市以外の市町村の60代の転入超過、政令市の80歳以上の転入超過は、どれも2014年より2025年のほうが人数が多くなっています。
東京23区の60代の転出超過は、2014年の4,283人から2025年は7,020人になり、12年で最も多くなりました。政令市以外の市町村の60代の転入超過も、2014年の4,960人から2021年に8,462人まで増え、2025年は8,091人です。政令市の80歳以上の転入超過は、2014年の2,929人から2025年は4,878人で、こちらも12年で最も多い年です。ただし途中の2020年は3,284人と、前年の4,830人から一度落ちています。
60代が多く移り住む町でも、80歳以上の転入が多いとは限らない
60代が向かう先の町を、人口の規模をそろえて比べます。市町村ごとに、12年間の転入超過数を年あたりに直し、その年齢の住民1,000人あたりの人数にしました。住民の数は、e-Stat の社会・人口統計体系の市区町村別人口(a_municipal_population)から、2020年の国勢調査の値を使います。60代の人数は60歳以上人口(A1416)から70歳以上人口(A1417)を引いて求め、80歳以上は80歳以上人口(A1418)です。分母を2020年の1時点に固定しているので、12年間の平均の目安として読んでください。
下の図は、80歳以上の住民が5,000人以上いる市町村を、横軸に60代、縦軸に80歳以上の転入超過をとって並べたものです。右下にあるのが、60代は入ってくるのに80歳以上は出ていく町です。
Data:e_stat.migration.municipality_migration_agee_stat.code.municipalitye_stat.ssds.a_municipal_population
60代の住民が3,000人以上いる市町村で、60代の転入超過が人口あたりで最も多いのは伊東市で、60代1,000人あたり年に19.1人です。2位の熱海市が15.75人で続きます。どちらも80歳以上では転出超過で、伊東市は1,000人あたり年に0.25人、熱海市は0.32人の転出超過です。伊東市の80歳以上は、12年の合計で26人の転出超過、熱海市は23人の転出超過で、転入と転出がほぼ釣り合っています。60代の転入超過が人口あたりで多い上位10市町村のうち、80歳以上が転入超過なのは北杜市・湯河原町・那須町・八重瀬町・南城市の5つで、伊東市・熱海市・館山市・国東市・いすみ市の5つは80歳以上が転出超過です。80歳以上の住民1,000人あたりで見ると、八重瀬町の年8.73人から国東市の年3.84人の転出超過まで開きがあります。60代が多く移り住む市町村だからといって、80歳以上の転入も多いとは限りません。
Data:e_stat.migration.municipality_migration_agee_stat.code.municipalitye_stat.ssds.a_municipal_population
高齢者住宅の候補地を選ぶときの使い方
- 有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の入居者を見込むとき、候補の市の80歳以上の住民の数に加えて、80歳以上の転入超過、つまり市に入ってきた80歳以上と出ていった80歳以上の差を、80歳以上の住民1,000人あたりに直して比べてください。80歳以上の住民が2万人以上いる市の中では、札幌市の年7.79人が最も多い値です。値が高い市は、80歳以上の住民の数が市の外からの転入で増えている市です。ただし既にある施設に入居して住民票を移した人もこの値に含まれるので、施設が多い市ほど値が高く出ることがあります。候補の市の値が高いときは、その市にある既存の施設の数と並べて、入居の需要がまだ埋まっていないかを確かめてください。政令市は市全体で1つの値なので、区や地区の単位で候補地を選ぶ判断には、この値だけでは足りません
- 候補地の市が60代の転出超過だからといって、入居者になる80歳以上の転入も少ないとは限りません。横浜市や川崎市のように、80歳以上では転入超過の市があります。逆に伊東市や熱海市のように60代の転入が多い市でも、80歳以上の転入超過はほぼゼロです。60代と80歳以上を分けて確かめてください
市町村ごとの年齢別の転入と転出を12年分並べると、60代と80歳以上で向きが逆になる市を数字で見分けられます。Queria は、総務省統計局の人口移動の統計を列名と地域コードをそろえた表にし、各列の意味を説明として添えて公開しています。本記事で使った年齢別の人口移動テーブルと市区町村別の人口テーブルから、候補地の市町村で80歳以上の転入超過がどう動いてきたかを、集計の手間をかけずに確かめられます。表を集めて年齢と年をそろえる作業に時間を取られず、どの街に高齢者住宅を置くかの判断に集中できます。
データの出典
本記事は総務省統計局の住民基本台帳人口移動報告の市区町村別・年齢5歳階級別の転入・転出者数(日本人移動者、2014〜2025年)と、総務省統計局の社会・人口統計体系の市区町村別人口(2020年の国勢調査の値)を、2026-10-31 時点で集計しています。
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For example, you could explore “政令市以外の市町村ごとに、75〜79歳・80〜84歳・85〜89歳・90歳以上の転入超過数(日本人移動者)を2014年から2025年まで合計して、80歳以上人口あたりの多い順に都道府県別で出して”.
Using Queria's open data, analyze the following: 政令市以外の市町村ごとに、75〜79歳・80〜84歳・85〜89歳・90歳以上の転入超過数(日本人移動者)を2014年から2025年まで合計して、80歳以上人口あたりの多い順に都道府県別で出して Reference (this page): https://queria.io/showcase/senior-moves-shift-by-age.md Connect with the Queria connector (https://queria.io/mcp) or the Queria CLI (uvx queria). Run uvx queria --help and uvx queria docs list to learn the CLI.
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claude "Using Queria's open data, analyze the following: 政令市以外の市町村ごとに、75〜79歳・80〜84歳・85〜89歳・90歳以上の転入超過数(日本人移動者)を2014年から2025年まで合計して、80歳以上人口あたりの多い順に都道府県別で出して Reference (this page): https://queria.io/showcase/senior-moves-shift-by-age.md Connect with the Queria connector (https://queria.io/mcp) or the Queria CLI (uvx queria). Run uvx queria --help and uvx queria docs list to learn the CLI."