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日照時間の県の差は冬に生まれる — 夏は新潟県のほうが東京都より日が照る

年間の日照時間は、平年値で見ると山梨県の2,225時間が最も長く、秋田県の1,527時間が最も短く、698時間の開きがあります。下位10県のうち9県は青森・秋田・山形・新潟・富山・石川・福井・鳥取・島根の日本海側の県で、「日本海側は日が照らない」という印象はそのとおりに見えます。

ところが月ごとに分けると、この差の7割は冬の3か月で生まれています。5月から8月は日本海側の9県と太平洋側・内陸の県の日照時間がほとんど変わらず、6月はむしろ日本海側のほうが長く照ります。夏に限れば、新潟県は東京都より100時間近く日が照ります。

差がつくのは11月から2月

使ったのは気象庁の平年値のうち、日照時間の日別平年値(jma.main.mart_jma_normals_daily の sunshine_hours、1991〜2020年の30年平均)です。これを月ごとに足し、各都道府県を代表する観測所1か所の値として扱います。代表地点は e-Stat の社会・人口統計体系が都道府県の日照時間(B4108)に使っているものと同じで、項目定義のとおり県庁所在地の観測所、ただし埼玉県は熊谷、東京都は千代田区の東京、滋賀県は彦根です。県内の山間部や沿岸部の違いはこの値には出ません。

地域の区分は、日本海側の9県(青森・秋田・山形・新潟・富山・石川・福井・鳥取・島根)、沖縄県、それ以外の37都道府県(太平洋側・内陸)の3つです。気象庁の気候区分ではなく、この記事での分け方です。北海道の代表地点の札幌は冬の日照が日本海側の県に近いものの、太平洋側・内陸に含めています。

1月は太平洋側・内陸の平均が153.4時間、日本海側の9県の平均が62.3時間で、2.5倍の開きがあります。11月から2月まで、太平洋側・内陸は毎月150時間前後を保つのに対し、日本海側は60〜100時間ほどに落ちます。冬の北西の季節風が日本海で水蒸気を受け取り、山地の手前で雲と雪になるためとされます。

4月を過ぎると2本の線は重なります。5月は日本海側201.3時間・太平洋側197.7時間、6月は日本海側162.4時間・太平洋側143.0時間で、梅雨の6月は日本海側のほうが19時間長く照ります。8月はどちらも195時間台です。

月ごとの差を足し上げると、次のようになります。

年間の差348時間のうち、12〜2月の3か月で244時間、70%が生まれます。11月まで含めた4か月で84%です。5〜8月の4か月を足すと、差は逆向きに18時間、日本海側のほうが長くなります。

沖縄県は別の形をしています。1月は91.2時間と日本海側に近い少なさですが、7月は226.1時間と、どの地域のどの月よりも長く照ります。年間で1,727時間と少なめに出るのは、11月から5月がいずれも140時間に届かないためです。

関東の内陸と日本海側では、冬と夏の順位が入れ替わる

都道府県ごとに、冬(12〜2月)と夏(6〜8月)の日照時間を並べます。横軸が冬、縦軸が夏です。

点は横に大きく広がり、縦にはあまり広がりません。47都道府県の最大と最小の差は、冬が468時間、夏が224時間です。年間の順位を決めているのは冬のほうです。

関東の内陸と日本海側の県では、冬と夏の順位が入れ替わります。冬に最も日が照る埼玉県(熊谷、615時間)は、夏には448時間で47都道府県中43位です。冬4位の栃木県(宇都宮)は夏が376時間で最下位になります。東京都も冬10位・夏42位です。反対に、冬45位の新潟県は夏が547時間で9位、冬44位の石川県は夏10位です。年間2位の高知県は、夏だけを見ると28位にとどまります。夏の1位は和歌山県の600時間、2位は沖縄県の593時間です。冬に多い県ほど夏に少ない、という関係が全国に当てはまるわけではなく、冬と夏の相関係数は-0.29にとどまります。兵庫県・香川県・愛媛県のように、夏が上位で冬も中位の県があるためです。

47都道府県の値と順位は次のとおりです(年間の多い順)。

年ごとの値でも同じ形が続いている

平年値は30年の平均なので、年ごとの観測値でも同じ差が続いているかを社会・人口統計体系の年間日照時間(B4108、1975〜2024年)で確かめます。2024年の最多は高知県、最少は山形県でした。

灰色の帯は、気象庁が日照計をジョルダン式から回転式へ切り替えた1986〜1989年です。気象観測統計指針は、ジョルダン式で観測した月の値を回転式に換算するとき、75時間以上の月は15時間を差し引き、75時間未満の月は0.8を掛けると定めています。同じ空でもジョルダン式のほうが長く記録されるということで、社会・人口統計体系の値は切り替え前も観測値のままです。帯の前後で水準や差の大きさを比べることはできません。

切り替えが済んだ1990年以降で見ると、太平洋側・内陸の平均は毎年、日本海側の平均を上回っています。差は年によって238時間から538時間まで振れ、1990年代の平均351時間に対して直近10年は320時間です。年ごとの振れに比べて小さな違いで、差が縮んだとまでは言えません。値の欠けた年は、その年に値のある県だけで平均しています。日本海側では2015年の新潟県、太平洋側・内陸では1982年の岡山県、1993年の和歌山県、2009年の愛知県、2021年の広島県が欠けています。

太陽光発電の計画にあてはめる

太陽光発電の設置や発電量の見通しを県ごとに比べる担当者にとって、年間の日照時間の順位は季節の形を隠します。

  • 日本海側の県の年間348時間の不足は、84%が11〜2月の4か月で生じます。5〜8月の日照時間は太平洋側・内陸とほぼ同じなので、月別の発電見込みでは冬の落ち込みを大きく見込み、夏は太平洋側・内陸と同じ水準を置けます
  • 関東の内陸は反対で、埼玉県・群馬県・栃木県は冬の日照が全国で4位以内、夏は41位以下です。3県とも夏は全国で下から7番以内なので、夏の発電を年間の順位から見積もると多めに出ます
  • 日照時間は直射日光が当たった時間の合計で、日射量そのものではありません。夏は太陽が高く同じ1時間でも日射が強いので、発電量の見積もりには日射量の値を別に当てます

データの出典

本記事は気象庁の平年値(統計期間1991〜2020年)の日別平年値と、e-Stat 社会・人口統計体系の都道府県別の年間日照時間(B4108)を、2026年10月12日時点で集計しています。社会・人口統計体系の値は気象庁の観測値で、time_name は「年度」と表記されていますが、項目定義のとおり1月から12月の暦年の合計です。

Queriaは、官公庁のオープンデータを、列名・単位・文字コードを揃え、テーブルやカラムの意味をメタデータとして添えた形で公開しています。本記事で使った気象庁の日別平年値のテーブルと都道府県別の自然環境データのテーブルから、自分の地域の観測所の月ごとの日照や、気温・降水量の季節の形を確かめられます。データを集めて加工する手間をかけずに、設備や事業の計画そのものに集中できます。

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