1人あたり県民所得は、都道府県の豊かさを比べる数字としてよく使われます。2021年度は東京都が5,761千円で最も高く、沖縄県が2,258千円で最も低く、その差は2.55倍です。県民所得は雇用者報酬・財産所得・企業所得の3つを足したもので、内閣府の利用上の注意が書くとおり、個人の所得水準ではなく企業の利潤も含みます。
47都道府県の1人あたり県民所得のばらつきを3つの内訳に分けると、企業所得は県民所得に占める割合を超えてばらつきに寄与していました。東京都を除いた46道府県でも2011〜2021年度の11年続けてそうなるのは、3つの内訳のうち企業所得だけです。
全国の県民所得の6〜7割は雇用者報酬
使ったのは e-Stat「社会・人口統計体系」の都道府県別経済データ(c_pref_economy)にある、内閣府県民経済計算の平成27年基準の系列です。県民所得(C1221)とその内訳の雇用者報酬(C1222)・財産所得(C1223)・企業所得(C1224)、1人当たり県民所得(C122101)がそろう2011〜2021年度の11年分です。同じテーブルにある平成17年基準・平成23年基準の系列は体系基準年が異なり、直接にはつながりません。
1人当たり県民所得は県民所得を総人口で割った値です。内訳も同じく総人口で割った住民1人あたりの額で、単位は千円、物価の動きを除かない名目値です。
全国の1人あたり県民所得は2011年度の2,989千円から2021年度の3,330千円になり、雇用者報酬が63.3〜71.0%、企業所得が21.8〜29.8%を占めました。年ごとに大きく動くのは企業所得で、2020年度の1人あたり県民所得は前年度から201千円減りましたが、そのうち185千円が企業所得の減少です。
東京都を除いても11年続けて構成比を超えるのは企業所得
47都道府県の1人あたり県民所得のばらつき(分散)は、内訳ごとの寄与に分けられます。都道府県は人口で重み付けせず、1都道府県を1つとして数えます。寄与は、その内訳と県民所得の共分散を県民所得の分散で割ったもので、雇用者報酬・財産所得・企業所得の3つを足すと100%になります。この寄与を、対象の都道府県の1人あたりの額を合計して出した構成比(東京都を除くときは46道府県の合計)で割ると、その内訳が県民所得に占める割合と比べてどれだけばらつきに寄与しているかが分かります。1倍なら構成比どおり、1倍より大きければ構成比を超えています。
47都道府県では、企業所得の構成比は22.2〜28.8%ですが、ばらつきへの寄与は40.7〜50.0%で、構成比の1.70〜1.93倍でした。財産所得も1.65〜2.31倍で、2012年度以降は企業所得を上回ります。雇用者報酬は0.55〜0.66倍です。
分散は平均からの離れ具合を2乗して足すので、平均から大きく離れた東京都が重く数えられ、東京都1都で47都道府県の分散の62.8〜67.3%を占めます。東京都を除いた46道府県では、ばらつきへの寄与そのものは雇用者報酬が53.0〜67.7%で、企業所得の26.5〜41.2%より11年とも大きくなります。それでも構成比と比べると、企業所得は1.10〜1.48倍で、11年すべてで1倍を上回りました。2019年度は1.10倍で、1倍に近い年もあります。財産所得は0.85〜1.04倍で1倍を上回ったのは2012年度だけでした。雇用者報酬は0.80〜0.96倍で、どの年も構成比を下回ります。財産所得が構成比を大きく超えるのは、東京都を含めたときだけです。
和歌山県と徳島県は企業所得、千葉県・大阪府・埼玉県は雇用者報酬で順位が高い
下の図は2021年度の47都道府県を1人あたり県民所得の高い順に並べ、内訳を積み上げたものです。
11年間の順位の幅を並べると、和歌山県は雇用者報酬が39〜47位、企業所得が2〜8位で、県民所得の順位は11〜32位の間を動きました。徳島県も雇用者報酬が29〜37位、企業所得が3〜10位です。逆に千葉県は雇用者報酬が11年とも4位、企業所得は36〜46位で、大阪府(雇用者報酬5〜6位、企業所得37〜46位)と埼玉県(6〜8位、33〜41位)も同じ形です。
雇用者報酬と企業所得は、数える場所が違います。推計方法のガイドラインは雇用者を常時住んでいる県の居住者とみなすので、千葉県や埼玉県に住んで東京都で働く人の雇用者報酬は千葉県・埼玉県に入ります。企業所得は、県内の事業の営業余剰と混合所得に企業の財産所得の受け払いを加えたもので、法人企業と公的企業の利益のほか、農家や自営業者の所得、持ち家の取り分(帰属家賃から費用を引いた営業余剰)も含みます。ここでの住民1人あたりの雇用者報酬は総人口で割っているので、子どもや高齢者、自営業者のような雇用者でない住民も分母に入ります。内閣府が公表する「1人当たり県民雇用者報酬」は雇用者数で割った値で、別の数字です。また、利用上の注意は推計方法が都道府県ごとに同一ではないとしており、県どうしの比較ではこの点に留意が要ります。
東京都と沖縄県の差の54.1%は企業所得
最も高い東京都と最も低い沖縄県の2都県を比べると、差の内訳は次のようになります。
2021年度の1人あたり県民所得の差は3,503千円で、内訳は雇用者報酬が1,066千円、財産所得が543千円、企業所得が1,895千円です。差の54.1%を企業所得が占め、47都道府県で見た企業所得の構成比(24.6%)の2倍を超えます。ただしこの1組は東京都の離れ方そのものです。倍率で見ると、県民所得は2.55倍、雇用者報酬は1.60倍、企業所得は7.1倍でした。
沖縄県は11年とも1人あたり県民所得が47位です。2021年度の住民1人あたりの雇用者報酬は41位で、宮崎県・青森県・鳥取県・和歌山県・鹿児島県・高知県の6県を上回りますが、企業所得は47都道府県で最も低い310千円でした。
データの出典
本記事は e-Stat 社会・人口統計体系の都道府県別経済データを2026年10月8日時点で集計しています。元データは内閣府経済社会総合研究所の県民経済計算で、内訳の定義は県民経済計算推計方法ガイドライン 第二部 分配系列にあります。
1人あたり県民所得の順位だけを見ていると、どの県の数字が住民の雇用者報酬で、どの県の数字が県内の事業の利益で作られているのかは分かりません。Queriaは、e-Statをはじめとする官公庁のオープンデータを、列名・単位・文字コードを揃え、テーブルやカラムの意味をメタデータとして添えた形で公開しています。本記事で使った都道府県別経済データのテーブルから、自分の県の内訳を11年分並べたり、隣の県と比べたりできます。データを集めて加工する手間をかけずに、地域経済をどう読むかの判断そのものに集中できます。
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Using Queria's open data, analyze the following: 1人あたり県民所得(C122101)を雇用者報酬(C1222)・財産所得(C1223)・企業所得(C1224)の構成比で分け、自分の県の内訳と順位が2011年度から2021年度にどう変わったか出して Reference (this report): https://queria.io/showcase/pref-income-gap.md Connect with the Queria connector (https://queria.io/mcp) or the Queria CLI (uvx queria). Run uvx queria --help and uvx queria docs list to learn the CLI.
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