官公庁ビジネス(公共調達)への参入を検討するとき、まず知りたいのは「市場の大きさ」「自社の規模でも狙える案件があるか」「いつ、どの機関に営業をかけるべきか」です。国の入札・調達情報は官公需情報ポータルサイトなどで公開され、中小企業の受注機会拡大も国の施策として進められていますが、市場全体の傾向をデータで俯瞰する機会は多くありません。
この記事では、gBizINFOが公開する「調達(受注)実績」データを使い、中央省庁等の公共調達の発注時期・契約規模・発注機関の傾向を読み解きます。
このデータは中央省庁等が発注した物品・役務・工事の契約実績で、1行が1契約にあたります。主な項目は発注日(order_date)、契約金額(award_price)、発注機関(org_name)、受注者(name)です。gBizINFOに登録された実績ベースのため国の調達のすべてを網羅するものではありませんが、市場全体の傾向を把握するのに十分な規模があります。直近の通年データがそろう2025年には、34,494件の契約が記録されています。
発注はいつ集中するのか
最初に、発注がどの時期に集中するかを見てみます。月ごとの契約件数を2023年から2025年の3年分で重ねました。
3年とも同じ形を描いています。件数は3月に最も多くなり、2025年は3月が6,564件、続く4月が5,606件でした。一方で夏場は少なく、8月は1,632件まで落ち込みます。3月は8月のおよそ4倍です。
この山は日本の会計年度(4月始まり・3月末締め)と対応しています。年度末にあたる1〜3月は予算を執行しきるための発注が積み上がり、特に3月に集中します。年度が改まる4月も、新年度予算の執行で件数が高い水準を保ちます。つまり官公庁向けの営業では、年度末から年度初め(おおむね1〜4月)に商談と入札参加のリソースを厚く配分することが、件数のうえでは合理的だと読み取れます。逆に夏場は案件が少なく、この時期は資格審査の準備や発注機関との関係づくりに充てる、といった年間計画の組み立てに使えます。
1件あたりの契約金額の分布
次に、契約金額の規模を確認します。「官公庁の案件は大企業向けの大型契約ばかりではないか」という不安は、新規参入を考える中小企業によくあるものです。直近の通年データである2025年について、契約金額を規模帯ごとに件数で分けました。
最も多い規模帯は100万〜500万円で12,478件でした。500万円未満の契約は17,158件と全体の約半数(49.7%)を占め、1,000万円未満まで広げると23,153件、全体の約3分の2(67.1%)に達します。一方で5億円以上の大型契約は333件、全体の約1%にとどまります。
件数で見れば、国の公共調達の多くは中小企業でも受注しうる規模の契約です。件数のピークが100万〜500万円の帯にあり、5億円以上の大型契約は1%程度にとどまることがこれを裏づけます。大型案件に目を奪われず、自社の供給能力に見合った数百万円規模の案件を継続的に狙う戦略が、件数のうえでは現実的だといえます。
どの機関が多く発注しているか
最後に、発注機関ごとの件数を見ます。2025年の契約件数の多い順に上位15機関を並べました。
最も件数が多いのは国土交通省で8,374件、全体の24.3%を占めます。続いて厚生労働省(9.3%)、林野庁(8.8%)、法務省(8.2%)、国税庁(5.6%)と並びます。公共工事や施設管理を多く抱える国土交通省が突出しています。一方で上位15機関の合計は30,917件と全体の89.6%で、残る約1割はここに挙がらない機関に散らばっています。上位のなかでも林野庁や海上保安庁のような外局が本省と並んでおり、案件は省庁・外局にまたがって広く分布しています。
自社の商材が施設・土木系であれば国土交通省や林野庁、IT・事務系の役務であれば各省庁の本省や国税庁・法務省のように庁舎・拠点を多く持つ機関、というように、商材と発注機関を突き合わせて狙いを定めることができます。発注機関ごとに入札参加資格や調達ポータルでの手続きが必要になるため、件数の多い機関から優先的に資格を取得していくと、応札できる案件の母数を効率よく増やせます。
まとめ
国の公共調達データから、官公庁ビジネスへの参入を考えるうえで役立つ3つの構造が見えてきました。
- 発注は年度末から年度初め(1〜4月、特に3月)に集中し、夏場は少ない。営業リソースの配分はこの季節性に合わせると効率的
- 契約金額は500万円未満が約半数、1,000万円未満で約3分の2を占める。中小企業でも狙える規模の案件が件数の中心
- 発注機関は国土交通省が最多で全体の約4分の1を占めるが、上位15機関でも全体の約9割で、残りは他機関に散らばる。商材に合う機関から資格取得を進めるのが現実的
このデータの読み方と注意点
本記事は gBizINFO(経済産業省)が公開する「調達(受注)実績」データを、2026-07-11 時点で取得して集計しています。1行が1契約で、中央省庁等が発注した物品・役務・工事が対象です。地方自治体の調達や、独立行政法人・国立大学法人などの発注は含まれていません。
集計対象は暦年です。発注日(order_date)が各年の1月1日から12月31日までに入る契約を数えており、会計年度(4月〜翌年3月)ではありません。季節性のグラフで3月と4月が別の年度に属する点はこのためです。契約金額の規模帯を分けた集計では、金額が0以下の行を除いています。金額が入っていない契約や単価契約が混ざっており、そのまま最小の規模帯に入れると分布が歪むためです。
このデータで分かるのは件数ベースの傾向までです。gBizINFO に登録された実績を集めたものなので、国の調達すべてを網羅しているとは限りません。また受注者の企業規模や、その企業が中小企業に該当するかどうかはこのテーブルには入っていないため、「中小企業でも受注しうる規模」という判断は契約金額の分布から読み取った推測であり、実際の受注者の内訳を示すものではありません。発注機関名(org_name)は表記のゆれがそのまま残っている可能性があり、同一機関が別名で複数行に分かれる場合があります。
公共調達は、年間の発注リズムと自社の供給能力を踏まえて狙いを定めれば、中小企業にも開かれた市場です。実際の入札参加には各機関の調達ポータルでの資格登録が必要になりますが、市場全体の傾向をつかんだうえで動くことで、限られた営業リソースをどこに投じるかの判断がしやすくなります。
国の公共調達は、発注が集中する時期も、狙える契約規模も、機関ごとの傾向も大きく異なります。こうした全体像は、個別の公募情報を一つずつ追っているだけでは見えてきません。こうした分析の土台になるデータを、Queriaは整えた形で公開しています。gBizINFOをはじめとする官公庁のオープンデータについて、列名・単位・文字コードを揃え、テーブルやカラムの意味をメタデータとして添えてあります。データを集めて加工する手間をかけずに、本記事で使った国の調達実績テーブルから、自社の事業領域を所管する機関の傾向を確かめたり、発注の季節性に合わせて営業計画を組み立てたりできます。行政データの整備に時間を取られず、官公庁ビジネスへの参入判断そのものに集中できます。
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For example, you could explore “2025年の契約金額(award_price)の合計を発注機関(org_name)別に集計して、件数ではなく金額規模で見たときに上位に来る機関を出して。1件あたりの平均額も添えて”.
Using Queria's open data, analyze the following: 2025年の契約金額(award_price)の合計を発注機関(org_name)別に集計して、件数ではなく金額規模で見たときに上位に来る機関を出して。1件あたりの平均額も添えて Reference (this report): https://queria.io/showcase/gov-procurement-market.md Connect with the Queria connector (https://queria.io/mcp) or the Queria CLI (uvx queria). Run uvx queria --help and uvx queria docs list to learn the CLI.
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