人口が減っていることは、どの市区町村でも計画書の冒頭に書かれています。では、その人たちが暮らす土地のほうはどうなっているでしょうか。道路も水道管も宅地の広がりに合わせて延びるので、まちの面積が変われば、1人が支える施設の量も変わります。
この記事では、市町村が固定資産税を課すために毎年数えている宅地の面積と、住民基本台帳の人口を、同じ市区町村・同じ年度で並べます。使うのは総務省の固定資産の価格等の概要調書と住民基本台帳に基づく人口で、どちらも e-Stat の社会・人口統計体系に、自然環境と人口・世帯として地域別・年度別で収録されています。
全国では、人口が減り始めたあとも宅地は増え続けている
宅地の面積は、社会・人口統計体系の自然環境(b_pref_land / b_municipal_land)にある「評価総地積」から取ります。市町村が固定資産税の課税対象として評価した土地の面積で、地目ごとに次の3つが1975年度から収録されています。
| コード | 内容 |
|---|---|
| B120101 | 評価総地積(田) |
| B120102 | 評価総地積(畑) |
| B120103 | 評価総地積(宅地) |
山林・牧場・原野・その他の4つも同じ体系にありますが、収集は2007年度で止まっています。
ここで使う宅地(B120103)は、住宅の敷地だけではありません。店舗・工場・事務所など、建物が建っている土地とその利用に必要な土地をまとめた地目です。また、国や自治体が持つ公有地・公共用地、学校用地、境内地などは固定資産税がかからないため、この面積には入りません。数えているのは「課税対象になっている建物の敷地」です。
人口は同じ体系の人口・世帯(a_pref_population / a_municipal_population)にある住民基本台帳人口(A2101)を使います。住民基本台帳に記録された日本人住民の数で、外国人住民は含みません。まず全国の推移を、2000年度を100とした指数で重ねます。
2本の線は2008年度で分かれます。人口は2008年度の12,707.6万人を頂点に減りに転じ、2023年度は12,156.2万人で、2000年度の96.3%になりました。宅地面積は同じ期間に15,647.1km²から17,608.2km²へ、2000年度の112.5%まで増えています。人口が減り始めてからの15年間も、増え方の傾きはほとんど変わっていません。
人口を日本人住民に限っている点は、この開きを大きく見せる方向に働きます。外国人住民を含めた総計の収録は2013年3月31日に始まり、基準日が1月1日にそろうのは2014年1月1日からです。そこから2024年1月1日までに日本人住民は487万人減ったのに対し、外国人住民を足した総計の減少は355万人でした。外国人住民の増加を織り込んでも、人口が減る一方で宅地が増えるという向きは変わりません。
割り算にすると、1人あたりの宅地面積は2000年度の123.9m²から2023年度の144.8m²へ、23年で約17%広がりました。宅地に沿って延びる道路や管路の量が変わらなかったとしても、それを支える人数のほうは薄くなっていると考えられます。
市区町村ごとに見ると、9割で同じことが起きている
全国の平均は、人口が増え続けた都市部と減り続けた地方を混ぜた値です。そこで市区町村ごとに、2000年度から2023年度への人口の変化率(横軸)と宅地面積の変化率(縦軸)を1点ずつ打ちます。対象は両方の数値が24年分そろう1,715市区町村で、東京23区は個別の収録が2008年度で終わるため「特別区部」としてまとめて1件に数えています。
点は左上に大きく偏ります。人口が減ったのは1,420市区町村で、そのうち1,296、割合にして91%で宅地面積は増えていました。人口が2割以上減った858市区町村に絞っても、747で宅地は増えています。1人あたりの宅地面積が広がった市区町村は1,641で、全体の96%にあたります。減った人口の分だけ土地が使われなくなる、という形にはなっていません。
縦軸は見やすさのために100%までを表示しています。23年で宅地面積が2倍を超えた市区町村が3つあり、その3点は図の外にあります。
市区町村単位の数字を1年ずつ追うときは、固定資産税の課税台帳が出どころであることが効いてきます。地目の認定を見直した年に面積がまとまって動くことがあり、単年の増減がそのまま開発の量を表すとは限りません。ここで見ている23年の変化の向きは、そうした見直しを含んだうえでの結果です。
1人あたりの宅地面積が減ったのは、東京都だけ
1人あたりの宅地面積が23年でどれだけ増えたかを、都道府県別に並べます。値は各年度の県内の宅地面積を県の人口で割ったもので、増加量をm²で表しています。
最も増えたのは秋田県で、197.8m²から280.9m²へ83.1m²広がりました。岩手県が77.7m²、青森県が72.9m²と続きます。上位10県はいずれも人口が11%以上減っており、人口の減り方が大きい県ほど1人あたりの面積が伸びる関係になっています。逆に増加が小さいのは大都市を抱える府県で、神奈川県は67.0m²から68.0m²へ1.0m²しか動いていません。47都道府県で唯一減ったのが東京都で、46.7m²から44.0m²へ2.7m²縮んでいます。この23年で人口が12.2%増えたためです。
秋田県と東京都の1人あたり宅地面積は、2000年度の時点で4.2倍の差がありました。2023年度にはこれが6.4倍に開いています。同じ広さのまちを受け持つ人数の差が、23年でさらに開いたことになります。
増えた宅地はどこから来たのか
評価総地積は地目ごとに分かれているので、宅地が増えた分、どの地目が減ったのかを同じ台帳の中で見られます。収録が1975年度まで遡る田・畑と並べます。
宅地は1975年度の10,682km²から2023年度の17,608km²へ1.6倍になりました。収録が始まった1975年度以降、前年を下回ったのは2010年度の一度だけです。同じ期間に田は30,526km²から25,181km²へ5,345km²、畑は25,881km²から23,169km²へ2,712km²減っています。宅地が増えた6,926km²と、田畑が減った8,057km²は近い大きさです。
ただし、この3本は課税対象になっている土地だけを数えたものなので、減った田畑がそのまま宅地になったことを示すわけではありません。田畑が山林や原野として扱われるようになった分も、道路や公園になって非課税に移った分も、同じように減少として現れます。台帳の上で農地が細り、建物の敷地が太ってきたという事実までが、この図から読み取れることです。
この数字を業務でどう使うか
- 自分の市区町村の宅地面積と人口を年度ごとに並べると、1人あたりの面積がいつから広がり始めたかが分かります。立地適正化計画の見直しで、居住誘導区域の密度をどこまで保つかを議論する出発点になります
- 同じ県内で人口規模の近い市町村と1人あたりの宅地面積を比べると、上下水道や道路の維持費が住民1人あたりでどれだけ重くなりやすい構造かを相対的に把握できます
- 宅地・田・畑の3つを自分の県で並べると、農地から宅地への移り方が全国と比べて速いか遅いかが見えます。開発許可や農地転用の運用を説明する材料になります
データの出典
本記事は e-Stat の社会・人口統計体系のうち、自然環境と人口・世帯を2026年9月7日時点で集計しています。宅地・田・畑の面積は総務省の固定資産の価格等の概要調書、人口は総務省の住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数が元データです。記事の年度表記はこの体系の収録どおりで、実際の時点はいずれも年度の翌年にあたります。面積は翌年1月1日(固定資産税の賦課期日)、人口は2013年度以降が翌年1月1日、2012年度までが翌年3月31日です。2023年度はどちらも2024年1月1日の値になります。
宅地が増え続けているという事実は、全国の集計だけを見ても分かります。それが自分の市区町村でも起きているのか、近隣と比べてどうなのかは、面積と人口を同じ地域・同じ年度でそろえて初めて確かめられます。こうした分析の土台になるデータを、Queriaは整えた形で公開しています。50年分の統計表が地目や指標のコードで引ける1つのテーブルにまとまっていて、単位や項目の意味をメタデータとして添えてあります。本記事で使った市区町村の土地テーブルと市区町村の人口テーブルから、自分の担当地域の数値を年度ごとに確かめたり、近隣市町村と並べたりできます。統計を集めて桁と地域コードをそろえる手間をかけずに、計画に載せる数字の検討そのものに時間を使えます。
Dig deeper with an AI agent
Connect Queria to Claude or ChatGPT, or use Claude Code or Codex, and paste the prompt below. It also works from your phone or browser.
For example, you could explore “e_stat.ssds.b_municipal_land の B120103(宅地)と e_stat.ssds.a_municipal_population の A2101(住民基本台帳人口)から、自分の市区町村の2000年度以降の宅地面積・人口・1人あたり宅地面積を年度ごとに出して。同じ県の他の市町村とも比べて”.
Using Queria's open data, analyze the following: e_stat.ssds.b_municipal_land の B120103(宅地)と e_stat.ssds.a_municipal_population の A2101(住民基本台帳人口)から、自分の市区町村の2000年度以降の宅地面積・人口・1人あたり宅地面積を年度ごとに出して。同じ県の他の市町村とも比べて Reference (this report): https://queria.io/showcase/residential-land-vs-population.md Connect with the Queria connector (https://queria.io/mcp) or the Queria CLI (uvx queria). Run uvx queria --help and uvx queria docs list to learn the CLI.
Start in a terminal (CLI)
claude "Using Queria's open data, analyze the following: e_stat.ssds.b_municipal_land の B120103(宅地)と e_stat.ssds.a_municipal_population の A2101(住民基本台帳人口)から、自分の市区町村の2000年度以降の宅地面積・人口・1人あたり宅地面積を年度ごとに出して。同じ県の他の市町村とも比べて Reference (this report): https://queria.io/showcase/residential-land-vs-population.md Connect with the Queria connector (https://queria.io/mcp) or the Queria CLI (uvx queria). Run uvx queria --help and uvx queria docs list to learn the CLI."