人口1人あたりの図書館の貸出冊数は、都道府県によって3.0倍の開きがあります。2017年度は滋賀県が7.87冊で最も多く、秋田県が2.65冊で最も少ない県でした。ところが、人口あたりの図書館の数で並べると、秋田県は47都道府県で7番目に多い県です。図書館の数が多い県ほど本がよく借りられている、という関係はデータには表れていません。
図書館の数と貸出冊数は結びついていない
文部科学省の社会教育調査は、公立図書館の数・職員数・蔵書冊数・館外貸出冊数などを都道府県別に集計しています。e-Stat の社会・人口統計体系には、この調査から次の指標が都道府県別に入っています(e_stat.ssds.g_pref_culture)。
| コード | 内容 | 時点 |
|---|---|---|
| G1401 | 図書館数 | 10月1日現在 |
| G1402 | 図書館職員数 | 10月1日現在 |
| G1403 | 図書館蔵書数 | 10月1日現在 |
| G1404 | 図書館登録者数 | 年度間 |
| G1405 | 図書館帯出者数 | 年度間 |
| G1406 | 図書館館外貸出冊数 | 年度間 |
貸出冊数(G1406)は、自動車文庫・巡回文庫での貸出を含む、1年度間の館外貸出の延べ冊数です。最新の2020年度は新型コロナウイルス感染症の拡大で休館が相次いだ年度のため、以下の都道府県の値は平常時の最新である2017年度です。
2018年10月1日現在の図書館数を人口10万人あたりにして、2017年度の人口1人あたり貸出冊数と並べました。人口は総人口(A1101、e_stat.ssds.a_pref_population)です。社会教育調査はおおむね3年ごとの調査で、貸出冊数は調査の前年度1年間、図書館数は調査年の10月1日現在の値です。図書館数は分館も1館として数えています(項目定義 G)。
47都道府県の人口10万人あたり図書館数と1人あたり貸出冊数の相関係数は0.13で、図書館の数が多い県ほど貸出冊数が多いという傾向はほとんど見られません。図書館数の上位10県のうち、貸出冊数でも上位10県に入るのは山口県・福井県・鳥取県の3県だけです。
秋田県は人口10万人あたり4.87館で図書館数は7位ですが、貸出冊数は47位です。高知県も図書館数は4位(5.80館)で、貸出冊数は40位でした。逆に東京都は2.87館で29位、大阪府は1.66館で44位ですが、貸出冊数はそれぞれ2位と9位です。貸出冊数は県内の図書館が貸し出した冊数なので、他県から通勤・通学してくる人への貸出も入ります。2015年の昼夜間人口比率が117.8%の東京都では、常住人口で割った値が都民の利用より大きめに出ている可能性があります。
人口1人あたり貸出冊数と、職員数・蔵書冊数・1館あたりの可住地面積(次の節)との相関係数を並べます。表の後ろの2列は、人口あたり図書館数と1館あたり可住地面積の相関と、両方の順位で上位10県に入る県の数です。
人口10万人あたりの職員数と人口1人あたりの蔵書冊数は、図書館数より貸出冊数との結びつきが強く出ます。どれも47都道府県の値どうしの相関なので、職員や蔵書を増やせば貸出が増えるという因果までは示しません。
1館が受け持つ面積で見ると、秋田県は東京都の約19倍
人口あたりの館数は、館が県内のどれだけの範囲に散らばっているかを表しません。館の数を人が住める土地の広さに対して見るため、可住地面積(B1103、e_stat.ssds.b_pref_land、2018年度)を図書館数で割りました。図の横軸は対数目盛です。
1館あたり可住地面積の対数と1人あたり貸出冊数の相関係数は−0.64で、1館が受け持つ面積が広い県ほど貸出冊数が少ない傾向があります。人口10万人あたりの館数と1館あたり可住地面積の相関係数は−0.06で、2つの物差しはほぼ別のものを測っています。1館あたり可住地面積は都市部ほど小さく出る値で、この相関は人口の集まり方の違いも含んでいます。館を増やせば貸出が増えるという因果までは示しません。
秋田県は人口あたりでは館数7位ですが、1館あたり可住地面積は66.8km²で、東京都(3.6km²)の約19倍です。1館あたり可住地面積が最も広いのは北海道の147.2km²で、青森県(92.3km²)、宮城県(90.1km²)と東北の県が続きます。
人口1人あたり貸出冊数の都道府県ランキング
2017年度の人口1人あたり貸出冊数を、多い順に並べます。上位10県・中位・下位10県で色を分けています。
2017年度は滋賀県(7.87冊)と東京都(7.86冊)が並んで多く、香川県(6.51冊)が続きます。少ないほうは秋田県(2.65冊)、青森県(2.81冊)、宮崎県(3.14冊)で、最も多い滋賀県と最も少ない秋田県の差は3.0倍です。
全国では図書館が増え、貸出は2010年度がピーク
全国の貸出冊数は2010年度の6億8,234万冊が収録期間で最も多く、2017年度は6億5,379万冊でした。2020年度は5億3,078万冊で、2017年度から18.8%減っています。2020年度は新型コロナウイルス感染症の拡大で多くの図書館が休館や利用制限を行った年度です。
図書館数は2005年の2,979館から2021年の3,394館まで、調査のたびに増えています。
自治体の図書館政策への活用
- 図書館の整備計画を担当する県の職員は、館数の目標を人口あたりで決める前に、1館あたり可住地面積でも自県を他県と比べられます。人口あたりの館数が同じくらいの秋田県(4.87館)と福井県(4.76館)でも、1館あたり可住地面積は秋田県が66.8km²、福井県が29.1km²で、貸出冊数は2.65冊と6.33冊です
- 貸出冊数が多い県と少ない県で職員数・蔵書冊数がどう違うかを、同じテーブルの
G1402・G1403で比べられます
データの出典
本記事は総務省統計局の社会・人口統計体系に収録された文部科学省の社会教育調査の都道府県別データを、2026-10-22 時点で集計しています。
Queriaは、e-Statをはじめとする官公庁のオープンデータを、列名・単位をそろえ、テーブルやカラムの意味を添えた形で公開しています。記事内のSQLを実行して数字を確かめたり、本記事で使った都道府県別の社会教育統計テーブルで自県と近隣県の図書館数・職員数・貸出冊数の推移を見比べたりできます。
Dig deeper with an AI agent
Connect Queria to Claude or ChatGPT, or use Claude Code or Codex, and paste the prompt below. It also works from your phone or browser.
For example, you could explore “図書館館外貸出冊数(G1406)を総人口(A1101)で割った人口1人あたり貸出冊数と、人口10万人あたり図書館数(G1401)・図書館職員数(G1402)を2017年度・2018年度の都道府県別で並べ、自分の県と近い県を比べて”.
Using Queria's open data, analyze the following: 図書館館外貸出冊数(G1406)を総人口(A1101)で割った人口1人あたり貸出冊数と、人口10万人あたり図書館数(G1401)・図書館職員数(G1402)を2017年度・2018年度の都道府県別で並べ、自分の県と近い県を比べて Reference (this report): https://queria.io/showcase/library-lending-regional-gap.md Connect with the Queria connector (https://queria.io/mcp) or the Queria CLI (uvx queria). Run uvx queria --help and uvx queria docs list to learn the CLI.
Start in a terminal (CLI)
claude "Using Queria's open data, analyze the following: 図書館館外貸出冊数(G1406)を総人口(A1101)で割った人口1人あたり貸出冊数と、人口10万人あたり図書館数(G1401)・図書館職員数(G1402)を2017年度・2018年度の都道府県別で並べ、自分の県と近い県を比べて Reference (this report): https://queria.io/showcase/library-lending-regional-gap.md Connect with the Queria connector (https://queria.io/mcp) or the Queria CLI (uvx queria). Run uvx queria --help and uvx queria docs list to learn the CLI."