2024年度の地域別最低賃金は、最高の東京都が1,163円、最低の秋田県が951円で、1,000円を超えたのは16都道府県でした。上位3つが東京都・神奈川県・大阪府なのは2010年度と同じです。
変わったのは、毎年の引き上げ額の配られ方です。2018年度までは、東京都より多く上げた道府県は毎年0〜2で、ほとんどの道府県が東京都より少なく上げていました。2024年度は27県が東京都の50円を上回り、東京都より少なく上げた道府県はありませんでした。
毎年の上げ幅を東京都と比べる
使うのは e-Stat「社会・人口統計体系」の都道府県別労働データ(f_pref_labor)に入っている地域別最低賃金(F6501)です。単位は時間額の円で、2010年度から2024年度までの47都道府県と全国の値があります。各年度の値はその年度の秋に発効した改定後の額なので、前年度との差がその年の引き上げ額になります。都道府県ごとの額は、国の中央最低賃金審議会が示す引き上げ額の目安を参考に、各都道府県の審議会の審議を経て決まります。ここでは東京都を、全国で最も額の高い団体として比べる基準に置いています。
下の図は、各年度の引き上げ額が東京都より多かった県・同じだった県・少なかった県の数です。東京都を除く46道府県を数えています。
2011年度から2019年度までは、東京都より多く上げた道府県が毎年0〜2、少なく上げた道府県が28〜45でした。2016年度から2018年度の3年間は東京都の上げ幅(25円・26円・27円)がその年の最大で、同じ額の道府県はあっても上回ったところはありません。
2020年度は東京都が据え置き、ほかの道府県も0〜3円の引き上げにとどまったため、この年だけは比べる意味がありません。
2021年度からは、東京都より多く上げたところが少なく上げたところを毎年上回っています(7対0、16対11、19対18、27対0)。2024年度は東京都の50円に対して、最大は徳島県の84円でした。
8年間と6年間でまとめて見る
1年ごとの差は数円なので、期間でまとめると向きがはっきりします。2010→2018年度の8年間と、2018→2024年度の6年間それぞれについて、期首の額を横軸、期間中の上げ幅を縦軸に47都道府県を置きました。
2010→2018年度は、期首の額が高い県ほど多く上げています(相関0.89)。上げ幅の上位は神奈川県165円・東京都164円・大阪府157円で、最小は福島県の115円でした。東京都を上回ったのは神奈川県だけで、45道府県が東京都より少なく上げています。この8年間で、最高と最低の差は179円から224円に開きました。
2018→2024年度は向きが逆になり、期首の額が低い県ほど多く上げています(相関-0.57)。上げ幅の最大は徳島県の214円で、島根県198円・鳥取県195円が続きます。最小は北海道・宮城県・奈良県・岡山県の175円で、東京都は178円でした。東京都を上回った25県には神奈川県・愛知県・千葉県・埼玉県も入っていて、額の低い県だけが多く上げたわけではありません。
差額は2018年度が最大、倍率は2014年度から毎年縮小
最高額と最低額の差(棒)と、最高額が最低額の何倍か(折れ線)を年度ごとに並べます。
差額は2010年度の179円から2018年度の224円まで毎年広がり、2024年度は212円でした。倍率は2014年度の1.312倍が最大で、そこから毎年下がり、2024年度は1.223倍と2010年度の1.279倍も下回っています。上げ幅がほぼ同じ額なら、元の額が低い県ほど率では大きく上がるので、倍率は差額より先に縮み始めました。
同じ期間に全国の値は730円から1,055円になりました。この全国の値は47都道府県の単純平均ではなく、厚生労働省が公表する全国加重平均額です。
2024年度の47都道府県
2024年度の額を高い順に並べます。棒にカーソルを合わせると、前年度からの引き上げ額と順位の動きが出ます。
下位の県は額が接近していて、秋田県951円、宮崎県・岩手県・沖縄県・熊本県・高知県の952円、長崎県・青森県・鹿児島県の953円と、9県が2円の幅に並びます。
順位が大きく動いた県もあります。徳島県は2023年度の896円(45位)から84円上げて980円(27位)になりました。秋田県は54円上げましたが、ほかの下位の県がそれ以上に上げたため、40位から47位になっています。
業務での活用
- 複数の県に事業所を持つ企業が人件費を見積もるとき、東京都と同じ額ずつ上がる前提を置くと、2018→2024年度の実績では25県で上げ幅を小さく見積もることになります
- 自県の上げ幅が東京都や近隣県と比べてどうだったかは、上の表と図から年度ごとに確かめられます。ここで比べているのは法定の下限額の改定額で、実際に支払われている賃金の伸びではありません
まとめ
- 東京都より多く上げた道府県は、2011〜2019年度は毎年0〜2でした。2021年度からは東京都より多く上げたところが少なく上げたところより多く、2024年度は27県が東京都の50円を上回り、下回った道府県はありませんでした
- 2010→2018年度は期首の額が高い県ほど多く上げ(相関0.89)、2018→2024年度は低い県ほど多く上げています(相関-0.57)
- 最高と最低の差は2018年度の224円が最大で、2024年度は212円です。倍率は2014年度の1.312倍から毎年下がり、2024年度は1.223倍でした
データの出典
本記事は e-Stat 社会・人口統計体系の都道府県別労働データを2026年9月26日時点で集計しています。元データは厚生労働省の地域別最低賃金の全国一覧で、収録は2010年度から2024年度までです。
最低賃金の地域差は、1年分の額を並べるだけでは広がっているのか縮んでいるのかが分かりません。47都道府県の引き上げ額を15年分並べてはじめて、どの時期にどの県が多く上げたかが見えてきます。Queriaは、こうした分析の土台になるデータを整えた形で公開しています。e-Statをはじめとする官公庁のオープンデータについて、列名・単位・文字コードを揃え、テーブルやカラムの意味をメタデータとして添えてあります。データを集めて加工する手間をかけずに、本記事で使った都道府県別の労働データのテーブルから、自県の最低賃金がどの年にどれだけ上がったかを確かめられます。データ整備に時間を取られず、賃金や採用の判断そのものに集中できます。
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Using Queria's open data, analyze the following: 2019年度から2024年度まで、毎年の最低賃金の引き上げ額が東京都を上回った回数を都道府県別に数えて、多い順に並べて。 Reference (this article): https://queria.io/showcase/minimum-wage-gap.md Use the Queria skill (https://docs.queria.io/queria-skill) if it is installed; otherwise connect with uvx queria.
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